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カナダのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に発表したデータによると、カナダのニンジン・カブ類の生産量は、長期的な上昇傾向を示していた1960年代後半から1990年代までの期間を経て、2000年代以降は増加と減少を繰り返しながらも、近年では減少傾向が顕著になっています。特に1961年の約12万5千トンから1982年には28万トンを超えるまで増加しましたが、2023年には33万7,810トンまで低下しており、2009年以降の生産量のピークである43万4,227トン(2011年)から着実に減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 337,810
-2.97% ↓
2022年 348,135
-2.01% ↓
2021年 355,271
-1.38% ↓
2020年 360,226
-0.76% ↓
2019年 362,984
0.4% ↑
2018年 361,539
-6.25% ↓
2017年 385,627
4.65% ↑
2016年 368,479
-2.02% ↓
2015年 376,070
9.21% ↑
2014年 344,340
-9.05% ↓
2013年 378,593
-7.13% ↓
2012年 407,655
-6.12% ↓
2011年 434,227
4.79% ↑
2010年 414,382
15.43% ↑
2009年 358,991
29.57% ↑
2008年 277,072
-9.68% ↓
2007年 306,769
1.06% ↑
2006年 303,560
3.67% ↑
2005年 292,808
-0.34% ↓
2004年 293,810
-6.23% ↓
2003年 313,344
9.37% ↑
2002年 286,496
2.67% ↑
2001年 279,050
6.8% ↑
2000年 261,284
-11.18% ↓
1999年 294,183
-9.44% ↓
1998年 324,842
11.82% ↑
1997年 290,510
-9.33% ↓
1996年 320,400
10.98% ↑
1995年 288,710
-13.24% ↓
1994年 332,760
13.25% ↑
1993年 293,830
-0.01% ↓
1992年 293,850
0.63% ↑
1991年 292,000
-5.57% ↓
1990年 309,230
16.37% ↑
1989年 265,720
3.16% ↑
1988年 257,580
-5.59% ↓
1987年 272,820
18.5% ↑
1986年 230,220
-4.46% ↓
1985年 240,970
-10.59% ↓
1984年 269,500
7.83% ↑
1983年 249,920
-10.8% ↓
1982年 280,190
15.19% ↑
1981年 243,232
16.75% ↑
1980年 208,330
-19.43% ↓
1979年 258,570
22.23% ↑
1978年 211,540
30.5% ↑
1977年 162,100
-9.94% ↓
1976年 180,000
-17.35% ↓
1975年 217,790
16.65% ↑
1974年 186,700
18.4% ↑
1973年 157,680
5.85% ↑
1972年 148,960
-0.73% ↓
1971年 150,050
-13.43% ↓
1970年 173,320
12.33% ↑
1969年 154,300
0.37% ↑
1968年 153,734
11.29% ↑
1967年 138,137
-14.74% ↓
1966年 162,012
27.06% ↑
1965年 127,512
-14.6% ↓
1964年 149,317
-0.59% ↓
1963年 150,200
-1.12% ↓
1962年 151,904
21.09% ↑
1961年 125,449 -

カナダのニンジン・カブ類の生産量は、長期的な視野で見ると大きな変化がありました。1960年代は年12~16万トン程度の生産量に留まっていましたが、1970年代から徐々に増加基調が見られ、生産力の向上と市場需要の拡大が要因と考えられます。特に1980年代と1990年代には、30万トンを超える生産量が安定的に記録されました。しかし、2000年代以降、生産量は増減を繰り返しながらも大きな成長を遂げることはなく、ピークとなった2011年を挟み近年では減少の一途をたどっています。2023年時点での生産量は33万7,810トンと、2011年の43万4,227トンから約22%にも及ぶ減少を記録しました。

生産量のこうした推移の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、気候変動の影響が挙げられます。カナダ、特に主要農業地帯である平原部を中心に、気温や降水量パターンの変化が生産量に影響を与えている可能性があります。また、農業労働力の減少や農作地の都市化に伴う土地利用の変化も一因と考えられるでしょう。

さらに、地政学的背景として、国際的な食糧市場の需要と供給の変動やカナダ国内の政策変更が、生産量減少に影響を与えていることが推測されます。たとえば、国内外での消費需要や輸出競争力の変化が、農業全体の経済性に影響を与えた結果として、ニンジンやカブ類の生産にも影響を及ぼしている可能性があります。2020年以降は新型コロナウイルスのパンデミックの影響も無視できない要因であり、労働力不足や流通の停滞といった課題が生産規模に影響を与えたと考えられます。

こうした状況に対し、いくつかの対策が求められます。一つは、農業生産性の向上に向けて新たな農業技術や品種改良の導入を推進することです。耐乾燥性や病害虫耐性を備えた品種の開発や、省力化技術を取り入れることで生産の安定化を図ることができます。また、気候変動に適応するためには、政府と地域レベルでの農業環境の保護政策や水資源管理の強化が必要です。さらに、若手農業者の育成や都市部と地方部を結ぶ食のサプライチェーンを強化することで、農業分野全体の競争力の向上を目指すべきです。

将来的な視点から考えると、カナダが他国と比較して競争力を持つためには、環境変化に対応する持続可能な農業が重要なカギとなるでしょう。特に、中国やインドなどの急速な経済成長国では食需要が高まっており、カナダとしてはこれらの市場に対応した輸出戦略を強化する必要があります。また、EU諸国やアメリカなどの生産量の多い国々との競合を考慮すれば、品質向上や差別化された製品を市場に投入する際の国際規格の遵守にも注力するべきです。

結論として、近年の生産量減少の背景には、気候変動や政策的な課題、国際競争など多岐にわたる要因が存在しています。これらに対応していくためには、カナダ国内での生産インフラの整備、農業支援策の強化、そして国際市場との連携を重視した農業戦略が求められます。このような取り組みによって、カナダのニンジン・カブ類生産が持続可能な形で再び安定し、さらには成長軌道に乗る未来が期待できるでしょう。