Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新のデータから、カナダのキュウリ類の生産量は1960年代から2023年にかけて短期的な変動を繰り返しつつ、全体として緩やかな推移を見せています。特に1990年にはこれまでで最高となる121,768トンを記録しましたが、その後大きく減少し、その後の数十年間は安定的ですが中程度の生産量で推移しています。近年では2022年が60,721トン、2023年が59,213トンで、微減傾向にあることが読み取れます。
カナダのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 59,213 |
-2.48% ↓
|
2022年 | 60,721 |
5.2% ↑
|
2021年 | 57,720 |
0.11% ↑
|
2020年 | 57,655 |
-11.86% ↓
|
2019年 | 65,416 |
14.17% ↑
|
2018年 | 57,295 |
-7.89% ↓
|
2017年 | 62,204 |
-3.23% ↓
|
2016年 | 64,280 |
15.75% ↑
|
2015年 | 55,532 |
-17.84% ↓
|
2014年 | 67,590 |
16.36% ↑
|
2013年 | 58,089 |
12.37% ↑
|
2012年 | 51,694 |
5.31% ↑
|
2011年 | 49,088 |
-9.05% ↓
|
2010年 | 53,970 |
-16.23% ↓
|
2009年 | 64,428 |
63.31% ↑
|
2008年 | 39,451 |
-11.56% ↓
|
2007年 | 44,610 |
16.15% ↑
|
2006年 | 38,406 |
-29.25% ↓
|
2005年 | 54,281 |
-28.75% ↓
|
2004年 | 76,179 |
-10.3% ↓
|
2003年 | 84,922 |
4.53% ↑
|
2002年 | 81,243 |
11.83% ↑
|
2001年 | 72,650 |
-11.57% ↓
|
2000年 | 82,155 |
1.21% ↑
|
1999年 | 81,174 |
21.38% ↑
|
1998年 | 66,878 |
16.92% ↑
|
1997年 | 57,200 |
-1.27% ↓
|
1996年 | 57,933 |
1.27% ↑
|
1995年 | 57,208 |
7.18% ↑
|
1994年 | 53,378 |
7.8% ↑
|
1993年 | 49,516 |
9.86% ↑
|
1992年 | 45,070 |
-6.48% ↓
|
1991年 | 48,194 |
-60.42% ↓
|
1990年 | 121,768 |
26.45% ↑
|
1989年 | 96,300 |
13.43% ↑
|
1988年 | 84,900 |
3.36% ↑
|
1987年 | 82,140 |
-5.02% ↓
|
1986年 | 86,480 |
10.55% ↑
|
1985年 | 78,230 |
-9.6% ↓
|
1984年 | 86,540 |
11.39% ↑
|
1983年 | 77,690 |
6.1% ↑
|
1982年 | 73,220 |
-0.79% ↓
|
1981年 | 73,800 |
5.78% ↑
|
1980年 | 69,770 |
-23.66% ↓
|
1979年 | 91,395 |
7.84% ↑
|
1978年 | 84,748 |
20.08% ↑
|
1977年 | 70,575 |
3.48% ↑
|
1976年 | 68,202 |
-5.02% ↓
|
1975年 | 71,806 |
7.89% ↑
|
1974年 | 66,557 |
-8.73% ↓
|
1973年 | 72,925 |
34.92% ↑
|
1972年 | 54,051 |
-19% ↓
|
1971年 | 66,733 |
-11.95% ↓
|
1970年 | 75,793 |
8.78% ↑
|
1969年 | 69,673 |
1.84% ↑
|
1968年 | 68,414 |
45.81% ↑
|
1967年 | 46,919 |
-14.17% ↓
|
1966年 | 54,665 |
47.11% ↑
|
1965年 | 37,160 |
-22.64% ↓
|
1964年 | 48,035 |
17% ↑
|
1963年 | 41,055 |
36.78% ↑
|
1962年 | 30,016 |
-17.78% ↓
|
1961年 | 36,509 | - |
カナダにおけるキュウリ類の生産量推移データは、この農産物が気候条件や経済的要因にどのように対応してきたかを表しています。まず、1960年代から1980年代後半にかけての生産量は全体的に増加傾向を示しており、特に1990年の121,768トンという記録がこの時期のピークを象徴しています。しかしその後、大幅な生産量の減少が始まり、1991年には48,194トンと、わずか1年で半分以下にまで減少しました。これは農業政策や経済状況の変化、農業技術の転換、あるいは国際市場価格の変動など、外部的な要因が影響した可能性があります。
その後、1990年代末から2000年代初頭にかけて緩やかな生産回復が見られましたが、それも一時的で、2006年には再び38,406トンと著しく減少しました。この期間の減少は気候条件の変動、特に異常気象や洪水、または市場における価格や需要の減少などが原因と考えられます。また、世界的な経済危機の影響も否定できません。
直近の2020年代に目を向けると、ここ数年の生産量はほぼ横ばいで推移しており、2022年は60,721トン、2023年は59,213トンと、安定しながらも若干の減少を見せています。カナダの気候はキュウリ生産に適している地域が限られており、それを補うためには温室栽培や技術的な革新が進められてきたものの、特に新型コロナウイルス感染症の世界的流行により労働力確保や輸送面での課題が生じた可能性があります。
地域課題として考えられるのは、カナダにおける農業従事者の高齢化、また輸入に依存する国内市場の動向です。キュウリなどの日持ちしない作物については、国内生産の強化が輸入コスト削減や消費者のニーズを満たすために重要とされていますが、季節労働者の確保や栽培エリアの拡大にはまだ課題が山積しています。
気候変動の視点で見ると、今後ますます重要になるのは雪解け水への依存に対応する持続可能な農業技術の導入です。また、技術革新による温室効果ガス削減と収量向上が、今後のカナダ農業の持続可能性を支える重要な要因となるでしょう。この点で、アメリカやドイツなどの先進農業国からの技術協力や輸入資源に依存しすぎることなく、国内で自立した農業環境構築が期待されます。
将来的な具体的提案としては、農業技術者の育成や次世代への技術移転、さらに自動化技術やAIの活用を進めることが効率化につながると思われます。また、地域間協力を強化し、気候変動リスクを共有する枠組みを構築することで、地政学的なリスクを軽減し、競争力のある農業を実現するための国際的な支援が必要です。特に政府や国際機関の支援を拡大し、持続可能な発展を目指すことで、キュウリ類の安定的な供給と生産量の増大を図ることが可能になるでしょう。
データから見る限り、カナダの農業政策には未解決の課題がいまだ多く存在しますが、それを解決することで新たな需要に対応し、さらには国内自給率の向上という目標も達成できる可能性があります。そのため、今後の政策や投資の方向性が極めて重要です。