国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したカナダのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量データから、同国の生産量は1990年代以降一貫して増加していることが読み取れます。1993年には12,290トンと比較的小規模でしたが、2016年には137,418トン、2020年には146,434トンに達し、特に2010年代以降の増加が顕著です。ただし、近年は2021年の129,040トンに始まる下落を経て、2023年には132,491トンへとやや持ち直したものの、ピーク時と比べると鈍化傾向が見られます。
カナダのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 132,491 |
-1.85% ↓
|
2022年 | 134,995 |
4.61% ↑
|
2021年 | 129,040 |
-11.88% ↓
|
2020年 | 146,434 |
12.81% ↑
|
2019年 | 129,802 |
-1.74% ↓
|
2018年 | 132,106 |
-0.79% ↓
|
2017年 | 133,163 |
-3.1% ↓
|
2016年 | 137,418 |
8.4% ↑
|
2015年 | 126,765 |
-0.87% ↓
|
2014年 | 127,874 |
30.87% ↑
|
2013年 | 97,709 |
-11.74% ↓
|
2012年 | 110,711 |
14% ↑
|
2011年 | 97,117 |
24.51% ↑
|
2010年 | 77,998 |
-3.47% ↓
|
2009年 | 80,804 |
16.59% ↑
|
2008年 | 69,307 |
6.34% ↑
|
2007年 | 65,175 |
-8.91% ↓
|
2006年 | 71,548 |
13.05% ↑
|
2005年 | 63,290 |
6.11% ↑
|
2004年 | 59,647 |
1.31% ↑
|
2003年 | 58,877 |
24.1% ↑
|
2002年 | 47,444 |
8.91% ↑
|
2001年 | 43,561 |
19.75% ↑
|
2000年 | 36,376 |
-21.04% ↓
|
1999年 | 46,069 |
33.92% ↑
|
1998年 | 34,401 |
-5.26% ↓
|
1997年 | 36,310 |
-13.81% ↓
|
1996年 | 42,130 |
-3.57% ↓
|
1995年 | 43,690 |
13.1% ↑
|
1994年 | 38,630 |
214.32% ↑
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1993年 | 12,290 | - |
カナダのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量は、気候条件、農業技術の進歩、国内外の需要などの要因に依存して投資されてきました。1993年から2023年までのデータを見ると、特に2000年代中盤から2010年代にかけて急速な成長を遂げ、2016年にはピークの137,418トンを迎えました。このような成長の背景には、耐寒性作物としての特性を生かした栽培技術の向上や、アジア、北米市場での消費者需要の拡大があります。
しかし、2020年以降における生産量の変動は、気候変動や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサプライチェーンへの影響を反映している可能性があります。カナダでは、近年の温暖化や極端気象が農業全般に悪影響を及ぼしており、一部地域では水不足や洪水が収穫量に影響した事例も報告されています。また、COVID-19の流行は労働力不足と物流の混乱を引き起こし、生産や流通の効率を左右しました。
国際的な視点から見ると、アメリカや中国といった主要生産国と比較してカナダの生産量はまだ限られており、需要を完全には満たしていません。例えば、アメリカでは年間生産量が約800万トンに達するとされ、これはカナダの規模を大幅に上回っています。一方で、中国は特にカボチャ類の主要輸出国として台頭しており、日本や韓国もまた国内供給を重視した生産量調整を行っています。カナダがこうした競争環境の中で競争力を強化するためには、付加価値の付いた製品(例:冷凍食品やオーガニック製品)の市場拡大を図る必要があります。
また、地政学的な課題として、カナダの生産量はアメリカ市場との密接な関係が影響しています。アメリカとの貿易契約条件や関税政策の変化がカボチャ類の輸出数量に影響を与えるため、適切な協議やFTA(自由貿易協定)の枠組みが必要です。そのほか、肥料や種苗の価格が地政学的リスクによって変動する可能性も無視できません。
未来に向けて、カナダがこの分野で成長を維持・発展させるためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動への対応として、耐久性の高い作物の選定や最適化された農業技術の普及が挙げられます。そして、生産過程における効率化や温室効果ガスの排出削減を通じて、環境に配慮したモデルを構築することも重要です。また、新型コロナウイルス感染症の影響を教訓化し、供給チェーンの複雑さを緩和する取り組みや、地域内での消費連携を強化することが推奨されます。
最終的に、カナダの農業政策の課題は、国内外の需要の変化を正確に把握し、納期や品質を確保することにあります。国際社会に向けた市場開拓や農業サポート政策を強化することで、カナダは他国との競争を勝ち抜き、この作物群での収益を持続的に増加させることができるでしょう。