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カナダの馬肉推移(1961年~2023年)

カナダの馬肉生産量は、1961年の13,000トンをピークに一旦減少に転じましたが、その後1970年代から80年代後半にかけて増加し、1987年には25,000トンとなりました。その後も継続的に増加を示し、2001年には一時30,675トンに達しました。しかしながら近年では減少傾向となり、2023年には20,864トンとなっています。

年度 (トン) 増減率
2023年 20,864
-3.74% ↓
2022年 21,674
1.11% ↑
2021年 21,436
1.08% ↑
2020年 21,207
0.59% ↑
2019年 21,083
3.35% ↑
2018年 20,400
-3.63% ↓
2017年 21,169
-2.02% ↓
2016年 21,606
0.06% ↑
2015年 21,594
-5.28% ↓
2014年 22,798
-13.46% ↓
2013年 26,343
-7.57% ↓
2012年 28,500
5.56% ↑
2011年 27,000
5.47% ↑
2010年 25,600
2.4% ↑
2009年 25,000
-16.67% ↓
2008年 30,000
66.67% ↑
2007年 18,000 -
2006年 18,000 -
2005年 18,000 -
2004年 18,000 -
2003年 18,000 -
2002年 18,000
-41.32% ↓
2001年 30,675
70.42% ↑
2000年 18,000 -
1999年 18,000 -
1998年 18,000
-2.7% ↓
1997年 18,500
32.14% ↑
1996年 14,000
-3.45% ↓
1995年 14,500
-3.33% ↓
1994年 15,000
-25% ↓
1993年 20,000
-9.09% ↓
1992年 22,000
-21.43% ↓
1991年 28,000
3.7% ↑
1990年 27,000
-2.88% ↓
1989年 27,800
-0.71% ↓
1988年 28,000
12% ↑
1987年 25,000
13.64% ↑
1986年 22,000
22.22% ↑
1985年 18,000
7.14% ↑
1984年 16,800
20% ↑
1983年 14,000
-14.11% ↓
1982年 16,300
-4.73% ↓
1981年 17,110
-8.4% ↓
1980年 18,680
-3.3% ↓
1979年 19,317
1.67% ↑
1978年 19,000
5.56% ↑
1977年 18,000
2.86% ↑
1976年 17,500
-12.5% ↓
1975年 20,000
17.65% ↑
1974年 17,000
-5.56% ↓
1973年 18,000
63.64% ↑
1972年 11,000
22.22% ↑
1971年 9,000
-10% ↓
1970年 10,000 -
1969年 10,000 -
1968年 10,000
11.11% ↑
1967年 9,000
-10% ↓
1966年 10,000
25% ↑
1965年 8,000
-5.88% ↓
1964年 8,500
6.25% ↑
1963年 8,000 -
1962年 8,000
-38.46% ↓
1961年 13,000 -

カナダの馬肉生産量の動向を観察すると、時代や経済状況、文化的背景の影響が顕著です。特に1961年から1973年の間は、13,000トンから8,000トン台へと減少し、1974年以降徐々に回復していきました。この回復は、1970年代後半からの需要の増加や輸出市場の拡大が背景にあります。その後、1980年代後半から1990年代初頭にかけては、生産量が約25,000トン前後で推移し、2001年には30,000トンを超える新たなピークを迎えました。

しかし、2000年代以降、馬肉市場は幾度かの浮き沈みを経験しました。2008年には再び30,000トンを記録しましたが、これはおそらく国際価格の高騰や特定地域での需要増加が影響したと考えられます。それ以降の時期には全体として減少傾向が続き、2023年には20,864トンとなっています。

馬肉生産量の低迷の要因として考えられるのが、動物福祉への関心の高まりです。馬は主に家畜ではなく愛玩動物や働き手として認識されることが多く、その結果、消費を敬遠する文化が徐々に広がっています。また、主要輸出先であるヨーロッパやアジアにおける規制の強化も一因です。特にEU諸国が輸入馬肉に関する基準を厳格化したことが、輸出減少へ直結しました。

現在の生産量は比較的安定しているものの、持続可能な生産体制の実現が課題です。生産現場において倫理的飼育や質の向上を目指した取り組みが求められています。同時に輸出市場の多様化も重要です。例えば、中国や韓国では馬肉の需要が一定数存在しており、それに向けたプロモーション活動を展開することで新たな市場を開拓する可能性があります。一方で、国内消費の促進もカギとなります。馬肉が栄養価の面でも優れていることを強調し、健康意識の高い層への普及を図ることが考えられます。

地政学的な観点では、カナダは農業および畜産物の輸出国としての位置を強化していますが、馬肉生産が他の畜産物と比較して市場規模が限られている点も課題です。国際的な競争に打ち勝つには、企業と政府が一丸となって規制対応や品質保証を進める必要があります。また、気候変動や自然災害といったリスクも、農業全体に影響を及ぼしているため、堅牢なサプライチェーンと災害対応能力を備えることが不可欠です。

結論として、カナダの馬肉生産の未来に向けては、国際市場のニーズや文化的背景を十分に考慮した柔軟な政策が必要です。輸出先の多角化、国内需要の喚起、動物福祉への配慮、品質重視の生産体制の確立、並びに規制基準への適応力強化を推進することで、持続可能な成長が期待できるでしょう。