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パラグアイのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、1961年から2022年にかけてのパラグアイのコーヒー豆生産量は大きな変動を見せています。特に1980年代には一時的にピークを迎え、生産量が年間18,000トンを超えた時期もありましたが、その後は大幅な減少を経験し、2022年時点では341トンにまで減少しています。この長期的な減少傾向には、国内外の経済情勢、農業政策、天候条件、競争状況など、複数の要因が関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 267
-21.53% ↓
2022年 341
-12.2% ↓
2021年 388
1.84% ↑
2020年 381
-4.51% ↓
2019年 399
-9.52% ↓
2018年 441
-0.23% ↓
2017年 442
11.9% ↑
2016年 395 -
2015年 395
2.33% ↑
2014年 386
1.05% ↑
2013年 382
3.24% ↑
2012年 370 -
2011年 370 -
2010年 370
31.67% ↑
2009年 281
2.93% ↑
2008年 273
-91.19% ↓
2007年 3,100
1.97% ↑
2006年 3,040
4.83% ↑
2005年 2,900
-13.51% ↓
2004年 3,353
8.69% ↑
2003年 3,085
26.75% ↑
2002年 2,434
-11.52% ↓
2001年 2,751
-23.28% ↓
2000年 3,586
-24.12% ↓
1999年 4,726
-0.55% ↓
1998年 4,752
-1.47% ↓
1997年 4,823
19.86% ↑
1996年 4,024
0.4% ↑
1995年 4,008
-19.87% ↓
1994年 5,002
1.05% ↑
1993年 4,950
2.06% ↑
1992年 4,850
7.32% ↑
1991年 4,519
-74.29% ↓
1990年 17,576
-0.16% ↓
1989年 17,605
-3.98% ↓
1988年 18,335
0.32% ↑
1987年 18,276
-4.16% ↓
1986年 19,070
5.16% ↑
1985年 18,134
-1.23% ↓
1984年 18,359
22.14% ↑
1983年 15,031
8.41% ↑
1982年 13,865
7.85% ↑
1981年 12,856
64.82% ↑
1980年 7,800
3.17% ↑
1979年 7,560
5% ↑
1978年 7,200
20% ↑
1977年 6,000
53.45% ↑
1976年 3,910
-53.12% ↓
1975年 8,340
-1.65% ↓
1974年 8,480
22.37% ↑
1973年 6,930
-9.53% ↓
1972年 7,660
31.84% ↑
1971年 5,810
34.8% ↑
1970年 4,310
-29.23% ↓
1969年 6,090
-17.03% ↓
1968年 7,340
3.23% ↑
1967年 7,110
9.22% ↑
1966年 6,510
8.18% ↑
1965年 6,018
-16.42% ↓
1964年 7,200
0.84% ↑
1963年 7,140
15.53% ↑
1962年 6,180
3% ↑
1961年 6,000 -

パラグアイのコーヒー豆生産量は、国際的にはさほど大きな規模ではありませんが、国内の農業基盤や地域経済にとって重要な位置を占めています。1961年に6,000トンという規模で始まった生産量は、特に1980年代において大きな成長を遂げた時期が見られ、1986年には19,070トンと、過去最高の記録を達成しました。この成長は、当時の農業技術の向上、国内外の市場需要の増加、そして政府の輸出支援政策の影響によるものであるとみられます。しかし、1990年以降、この勢いは急激に失われ、特に1991年以降のデータでは、成長基調から急降下しています。この年を境に、生産量は20,000トン近い高水準から一気に4,000トン台に減少し、その後も減少傾向を続けています。

このような生産量の低迷には複数の要因が存在しています。まず、国際市場でのコーヒー豆価格の変動が挙げられます。特にブラジルやコロンビアなどの主要生産国との価格競争において、規模の小さいパラグアイは競争力を維持するのが困難でした。また、農家がトウモロコシや大豆など、より収益性の高い作物に転換した結果、コーヒー産業への投資が減少し、その生産基盤が縮小したことも大きな要因と考えられます。

さらに、気候変動による降雨パターンの変化や気温上昇も、作物の生育に大きく影響を与えました。これにより、一部の農地ではコーヒー栽培に適した環境が失われ、収量の減少が進みました。特に近年のデータでは、2008年から2014年の間で生産量が300トン前後にまで減少しており、この時期が近代の最低水準といえます。この減少には、農業技術やインフラの不足だけでなく、地域紛争や市場の不確実性も影響を与えたと考えられます。

近年、わずかに生産量は持ち直しているものの、2022年の341トンという数字は、ピーク時の19,000トンと比較すると依然として低水準です。この状況を改善するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、政府主導での農業支援政策の強化が重要です。たとえば、高品質なコーヒー豆の生産を目指した育種プログラムや、農家への技術指導、低利融資の提供などが挙げられます。また、有機農業やフェアトレードを推進することで、世界市場での差別化を図ることも効果的です。さらに、地域共同体間での協力体制の構築や、輸出への障壁を低減するための国際協定の強化も検討すべきです。

地政学的な観点からは、パラグアイの地理的位置は主な輸出市場であるブラジルやアルゼンチンに近いものの、物流インフラが十分に整備されていないことが課題です。これが輸送コストを押し上げ、国際市場での競争力低下につながっています。今後、輸出インフラの改善や、周辺国との経済協力の強化が重要です。

また、新型コロナウイルスの影響による世界的な供給チェーンの混乱も、パラグアイの生産者や輸出業者に打撃を与えました。こうしたリスクに備えるためには、農業以外の分野への多角化も含めた国内経済の安定化が鍵となります。

結論として、パラグアイのコーヒー豆生産量を復活させ、持続可能な成長を実現するためには、農業技術の向上、気候変動への適応策、そして地域間および国際間での積極的な協力が必要です。国際機関や近隣諸国と連携し、支援体制を構築することで、競争力を取り戻し、この重要な農業セクターの再活性化に繋がる可能性を秘めています。