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ガーナのコーヒー豆生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによると、ガーナのコーヒー豆生産量は、大きな増減を何度も繰り返しており、近年では安定して736トンを維持しています(2018年から2022年)。1960年代には一時的に大幅な増加が見られましたが、1980年代以降は全体的に低い水準にとどまっています。この傾向は、農業政策や環境要因、経済状況の変動に大きく影響されているものと考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 736
2021年 736
2020年 736
2019年 736
2018年 736
2017年 736
2016年 736
2015年 736
2014年 736
2013年 698
2012年 600
2011年 550
2010年 1,200
2009年 1,860
2008年 1,620
2007年 1,860
2006年 1,740
2005年 1,200
2004年 1,140
2003年 900
2002年 1,464
2001年 1,379
2000年 1,956
1999年 3,965
1998年 8,370
1997年 2,880
1996年 6,330
1995年 3,575
1994年 3,000
1993年 4,000
1992年 2,400
1991年 2,300
1990年 1,000
1989年 700
1988年 377
1987年 791
1986年 531
1985年 500
1984年 700
1983年 1,300
1982年 1,500
1981年 1,500
1980年 1,500
1979年 1,700
1978年 1,770
1977年 3,800
1976年 5,500
1975年 4,000
1974年 2,455
1973年 3,910
1972年 7,550
1971年 7,322
1970年 6,510
1969年 4,700
1968年 6,440
1967年 4,057
1966年 8,610
1965年 1,644
1964年 6,700
1963年 2,650
1962年 3,920
1961年 1,700

ガーナのコーヒー豆生産は1960年代の初頭から記録が残されています。この期間では、生産量が1,700トンから始まり、1964年には6,700トン、1966年にはピークの8,610トンを記録するなど、当初は急速な拡大を見せました。しかし、1967年以降は減少傾向を示し始め、1960年代の終わりから1970年代にかけては生産量が安定しない状況が続きました。1970年代の後半にかけては減少が顕著になり、1984年には最低値である700トンを記録しました。さらに1980年代後半には500トン前後という厳しい水準に落ち込みました。

この背景には、コーヒー豆の市場価格低迷や、カカオ栽培の拡大が挙げられます。ガーナはカカオの主要生産国として世界的にも知られており、一部の農家がカカオに重点を置いたため、コーヒー豆の生産が後回しにされた可能性があります。また、この時期における国内の経済的混乱やインフラの未整備も、農業生産全般に影響を与えた要因と考えられます。

1990年代に入ると、一部の復興が見られ、1993年には4,000トン、1998年には8,370トンと一時的に回復しました。しかし2000年代以降は再び低迷が続き、近年では736トン前後で安定しています。これは、ガーナにおけるコーヒー産業がもはや優先的な農産業としての地位を失っていることを示唆しています。同じ西アフリカ地域のエチオピアやウガンダといった国々が世界市場で多くのシェアを占める中、ガーナのコーヒー生産は競争力を欠いています。

環境要因も考慮する必要があります。気候変動によりガーナ国内の農業環境が変化しており、高品質のコーヒー栽培に最適な気象条件や土地利用が困難な状況にあると言えます。また、国内のインフラ未整備や農業における技術支援の不足も生産の安定化を妨げた可能性があります。他の国々、例えばコロンビアやベトナムなどでは、生産技術の向上や気候に適応した新品種の導入を進め、大規模な生産体制の確立に成功しています。これら国々の事例はガーナにも参考になるかもしれません。

ガーナのコーヒー生産を再活性化するためには、いくつかの具体的な施策が考えられます。一つ目は、コーヒー豆の多様性や品質改良に向けた研究の推進です。特に気候変動に適応した種の開発が重要となります。二つ目は、農家に対する技術的指導や資金援助の強化です。これにより、小規模農家が持つ潜在力を引き出し、農業全体の生産性を向上させることが期待されます。さらに、地元市場だけでなく、国際市場向けにその価値を高めるためのマーケティング戦略を構築することも必要でしょう。

将来的には、ガーナ政府や地元のコーヒー栽培コミュニティが国際協力機関と連携し、持続可能な農業モデルを導入することが鍵となります。また、地域間の協力体制を通じて農業技術や知識を共有し合うことも有効と考えられます。これらの取り組みによって、今後ガーナが再びコーヒー主要生産国として名を馳せる日が訪れるかもしれません。