Skip to main content

ガボンのコーヒー豆生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表したデータによれば、ガボンのコーヒー豆生産量は1960年代初頭には年間1,100トン程度で始まり、その後1962年に一時的に2,500トンに達していました。しかし、その後は増減を繰り返しつつも全体的に減少傾向が続き、1990年代半ば以降では年間200トンを下回るようになっています。2000年代以降ではさらに減衰し、2010年代から2020年代にかけての生産量は年間120トン未満で推移しています。2022年時点では104トンとなっており、過去のピーク時に比べ大幅な生産量減少が続いています。

年度 生産量(トン)
2022年 104
2021年 104
2020年 104
2019年 104
2018年 105
2017年 102
2016年 105
2015年 107
2014年 109
2013年 114
2012年 117
2011年 119
2010年 122
2009年 123
2008年 126
2007年 125
2006年 120
2005年 100
2004年 134
2003年 120
2002年 180
2001年 78
2000年 198
1999年 125
1998年 145
1997年 154
1996年 219
1995年 159
1994年 259
1993年 256
1992年 193
1991年 451
1990年 269
1989年 1,920
1988年 1,774
1987年 1,724
1986年 1,332
1985年 1,295
1984年 1,200
1983年 1,400
1982年 1,850
1981年 750
1980年 680
1979年 269
1978年 502
1977年 360
1976年 145
1975年 259
1974年 600
1973年 540
1972年 900
1971年 600
1970年 900
1969年 1,200
1968年 1,200
1967年 900
1966年 900
1965年 1,100
1964年 1,100
1963年 1,100
1962年 2,500
1961年 1,100

ガボンのコーヒー豆生産量は1960年代には比較的安定した1,000トン~2,500トンを記録しており、この時期の生産は、アフリカにおける中規模のコーヒー産出国としての地位を示していました。しかし、1966年以降には生産量が徐々に下降し始め、その背景にはガボンが抱えるいくつかの課題が影響していると考えられます。この傾向は1970年代から顕著になり始め、特に1975年以降は生産量が急激に減少しました。この期間のガボンでは、農業基盤の脆弱性、気候変動、そしてインフラの未整備が生産低下の主な要因の一つと考えられます。

1980年代には一時的な回復が見られ、1982年と1989年には1,800~1,900トンという成績を見せていますが、この復調は一時的なものであり、長期的なトレンドとしては減少が続いています。特に1990年代以降は、市場競争の激化、国内の農業政策の不十分さ、さらには都市化の進展が農村部の労働力減少を招き、生産力が著しく低下しました。1990年以降のデータでは、年間500トンを超えることが稀になり、2000年代に入るとほぼ毎年200トンを下回る状況が続いています。

また、2010年代には年間100トン前後という非常に低い水準で推移しており、この頃にはガボン国内でのコーヒー豆の生産がほぼ商業的競争力を失った状態と言えます。こうした中で近年では持続可能な農業の取り組みや、特産品としての高品質コーヒーの生産を進める努力が求められていますが、現状ではそれも顕著な成果につながっておらず、2022年には年間104トンに留まっています。

生産量低下の要因として挙げられるのは、第一に気候変動の影響です。ガボンのような熱帯地域では、気温上昇や降水パターンの変化によりコーヒー栽培に適した環境が失われつつあります。第二に、国内農業政策の優先順位が石油や鉱物資源への依存に傾いたことも、農業分野への投資を減少させています。また、世界市場での他国の競争力が拡大する中で、ガボンは品質面や生産規模で後れを取る結果となっています。

ガボンの現状を踏まえると、今後の課題には農業支援インフラの強化、気候変動への適応策の策定、地域共同体による生産の効率化が含まれます。具体的な対策としては、例えばコーヒー生産者への融資制度の拡充や、気候変動に強い新種のコーヒーの導入、そして農業教育プログラムの展開などが考えられます。また、ガボンが国際市場で競争力を再び向上させるためには、オーガニックや高品質コーヒー豆の生産に焦点を当てるなど、新しい市場ニーズへの対応が不可欠です。

アフリカ全体で見ても、多くの生産国が気候変動や国際市場の変化に直面しており、ガボンの状況は特殊なものではありません。ただし、ガボンは石油を筆頭とする資源依存型経済が農業以外の柱を作っているため、農業政策への優先順位がやや低いという特徴があります。将来的には、こうした産業のバランスを改善し、コーヒー産業を含む農業分野への投資を拡大することで、多方面における持続可能な経済成長が期待されます。国際機関や多国間協力の枠組みを活用しつつ、より効率的な産業構造の構築が求められるでしょう。