Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した赤道ギニアのコーヒー豆生産量データによると、1960年代から2020年代までの生産量は、一貫して減少傾向となっています。特に、1961年の6,600トンをピークに、2022年には4,119トンまで減少しました。この間、生産量の大きな変動が見られる初期の契機を経て、その後数十年間にわたり安定的な低水準を維持しています。この推移から、環境的要因や社会経済的な課題が長期的に影響を及ぼしていることが伺えます。
赤道ギニアのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 4,092 |
-0.67% ↓
|
2022年 | 4,119 |
-0.47% ↓
|
2021年 | 4,139 |
-0.46% ↓
|
2020年 | 4,157 |
0.47% ↑
|
2019年 | 4,138 |
0.6% ↑
|
2018年 | 4,113 |
-0.5% ↓
|
2017年 | 4,134 |
-0.95% ↓
|
2016年 | 4,174 |
-1.89% ↓
|
2015年 | 4,254 |
-2.99% ↓
|
2014年 | 4,385 |
-0.37% ↓
|
2013年 | 4,402 |
-4.2% ↓
|
2012年 | 4,595 |
5.81% ↑
|
2011年 | 4,343 |
2.16% ↑
|
2010年 | 4,251 |
6.27% ↑
|
2009年 | 4,000 |
-6.97% ↓
|
2008年 | 4,300 |
-2.23% ↓
|
2007年 | 4,398 |
-2.28% ↓
|
2006年 | 4,500 |
12.5% ↑
|
2005年 | 4,000 | - |
2004年 | 4,000 |
-20% ↓
|
2003年 | 5,000 | - |
2002年 | 5,000 | - |
2001年 | 5,000 | - |
2000年 | 5,000 |
42.86% ↑
|
1999年 | 3,500 |
-30% ↓
|
1998年 | 5,000 | - |
1997年 | 5,000 | - |
1996年 | 5,000 |
11.11% ↑
|
1995年 | 4,500 |
-10% ↓
|
1994年 | 5,000 |
-6.18% ↓
|
1993年 | 5,329 |
-3.1% ↓
|
1992年 | 5,500 |
-8.33% ↓
|
1991年 | 6,000 |
-7.69% ↓
|
1990年 | 6,500 |
-7.14% ↓
|
1989年 | 7,000 | - |
1988年 | 7,000 | - |
1987年 | 7,000 | - |
1986年 | 7,000 | - |
1985年 | 7,000 |
2.94% ↑
|
1984年 | 6,800 |
1.49% ↑
|
1983年 | 6,700 | - |
1982年 | 6,700 |
1.52% ↑
|
1981年 | 6,600 |
10% ↑
|
1980年 | 6,000 | - |
1979年 | 6,000 |
11.11% ↑
|
1978年 | 5,400 |
12.5% ↑
|
1977年 | 4,800 |
-11.11% ↓
|
1976年 | 5,400 | - |
1975年 | 5,400 |
-18.18% ↓
|
1974年 | 6,600 |
4.76% ↑
|
1973年 | 6,300 |
-8.7% ↓
|
1972年 | 6,900 | - |
1971年 | 6,900 |
-4.17% ↓
|
1970年 | 7,200 | - |
1969年 | 7,200 |
-4% ↓
|
1968年 | 7,500 |
-13.79% ↓
|
1967年 | 8,700 |
35.94% ↑
|
1966年 | 6,400 |
-3.96% ↓
|
1965年 | 6,664 |
-19.08% ↓
|
1964年 | 8,235 |
22.91% ↑
|
1963年 | 6,700 |
-17.28% ↓
|
1962年 | 8,100 |
22.73% ↑
|
1961年 | 6,600 | - |
赤道ギニアのコーヒー豆生産量は、1960年代の6,000から8,000トン規模のピークを迎えた後、1970年代以降減少し、近年では安定しながらも極めて低い水準にとどまっています。データからは1961年の6,600トンから始まり、1980年代後半には7,000トン前後で推移しましたが、1990年代以降4,000トン前後に減少し、2022年には4,119トンに留まりました。こうした長期的な減少傾向は、単なる短期的な市場変動ではなく、構造的な問題を示している可能性があります。
背景には複数の要因が絡んでいると考えられます。まず、気候変動による影響が挙げられます。赤道ギニアは熱帯地域に位置し、天候の変動が農作物に直接的に影響を及ぼします。気温上昇や土壌の劣化、降水量の変動によって、農業の生産性が低下したと考えられます。また、国際コーヒー市場における価格の下落や他国との競争も、生産量減少を引き起こす要因の一つです。
さらに、赤道ギニアは石油資源の経済への依存度が高く、農業への投資が後回しにされてきたことも影響しています。このため、コーヒー豆生産の効率化やインフラ整備が遅れた可能性があります。農業労働力の減少も深刻な問題であり、若年層が農村部を離れ都市に移住することで慢性的な人材不足が発生しています。
地域的な課題の解決にはいくつかの取り組みが必要です。まず、気候レジリエンス向上のための技術革新が不可欠です。例えば、干ばつ耐性に優れたコーヒー品種の導入や、持続可能な農業方法を導入することで、生産性の向上が期待されます。また、国際市場の変動に対抗するためには、付加価値を高めたコーヒー製品の生産や現地加工による収益向上を目指すことが重要といえます。さらに、農業支援政策や農村部への経済支援を増加させ、若者の農業参加を促進する取り組みも効果的です。
地政学的に、赤道ギニアはアフリカ大陸の中部に位置し、地域的な紛争リスクや経済的不安定が隣国との関係に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクが農業輸送や輸出に影響する場合もあります。したがって、地域間協力を強化し、農業に関する技術共有や市場拡大を推進する枠組みも必要です。
結論として、赤道ギニアのコーヒー豆生産量は、1960年代の隆盛から現代にかけて著しく低下しており、構造的な課題に直面しています。この状況を克服するには、気候変動への適応、農業の効率化、若年層の参入促進、そして地域的および国際的な協力が求められます。今後、農産業への戦略的な投資と政策転換が、赤道ギニアのコーヒー産業の再生に向けた鍵となるでしょう。