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ギニアのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ギニアのコーヒー豆の生産量は2022年に261,645トンとなり、過去数十年で大幅な増加を見せています。生産量は低迷していた1960年代から1970年代を経て、1980年代後半には一時の急成長を記録しました。その後の2000年代には一進一退の傾向を示したものの、2015年以降は急激に成長し、特に2019年以降その勢いを加速させています。このデータからは、ギニアの農業政策や国際市場への関与の変化が大きく貢献していることが示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 200,000
-23.56% ↓
2022年 261,645
-0.13% ↓
2021年 261,992
7.96% ↑
2020年 242,682
71.36% ↑
2019年 141,618
183.24% ↑
2018年 50,000
22.55% ↑
2017年 40,800
4.88% ↑
2016年 38,900
20.7% ↑
2015年 32,230
24.98% ↑
2014年 25,787
39.84% ↑
2013年 18,440
2.98% ↑
2012年 17,907
-40.94% ↓
2011年 30,320
4.49% ↑
2010年 29,018
3% ↑
2009年 28,173
3% ↑
2008年 27,353
3% ↑
2007年 26,556
14.34% ↑
2006年 23,226
11.82% ↑
2005年 20,770
2.72% ↑
2004年 20,220
-3.16% ↓
2003年 20,880
6.1% ↑
2002年 19,680
38.98% ↑
2001年 14,160
-35.87% ↓
2000年 22,080
-0.18% ↓
1999年 22,119
5.9% ↑
1998年 20,888
4.44% ↑
1997年 20,000
-12.09% ↓
1996年 22,750
-18.75% ↓
1995年 28,000
-6.67% ↓
1994年 30,000
4.17% ↑
1993年 28,800
-0.01% ↓
1992年 28,804
-3.99% ↓
1991年 30,000 -
1990年 30,000
9.09% ↑
1989年 27,500
37.5% ↑
1988年 20,000
207.69% ↑
1987年 6,500 -
1986年 6,500
-56.38% ↓
1985年 14,900
0.68% ↑
1984年 14,800
0.68% ↑
1983年 14,700
1.38% ↑
1982年 14,500
0.69% ↑
1981年 14,400 -
1980年 14,400
-0.03% ↓
1979年 14,405
0.85% ↑
1978年 14,283
1.15% ↑
1977年 14,121
1.04% ↑
1976年 13,975
0.19% ↑
1975年 13,949
1.01% ↑
1974年 13,809
0.99% ↑
1973年 13,673
5.18% ↑
1972年 13,000
4% ↑
1971年 12,500
8.7% ↑
1970年 11,500
15% ↑
1969年 10,000
-31.03% ↓
1968年 14,500
11.54% ↑
1967年 13,000 -
1966年 13,000
35.42% ↑
1965年 9,600
6.67% ↑
1964年 9,000
-26.83% ↓
1963年 12,300
-5.38% ↓
1962年 13,000
-13.33% ↓
1961年 15,000 -

ギニアのコーヒー豆生産量の推移を振り返ると、いくつかの特徴的なトレンドが浮かび上がります。1960年代の生産量は年間約10,000トン前後であり、その後1970年代には14,000トン程度での横ばい傾向が続きました。この時期、コーヒー産業の成長を取り巻く国内インフラや農業技術の制約があり、生産性の向上にはつながらなかったと考えられます。また、地政学的な背景としてギニアが独立後の安定に時間を要したことも、農業の発展を抑制した可能性があります。

1980年代には短期間で20,000トンを超える生産量の成長が見られましたが、その後の1990年代には再び減少し、不安定な状況が続きました。2000年代に入っても飛躍的な進展は見られず、15,000~20,000トンの範囲で推移していました。この当時の主な課題は、農業従事者が必要な資本を十分に得られていないことや、国際市場競争においての競争力不足が挙げられます。特に隣国であるコートジボワールやエチオピアがコーヒー主要輸出国として台頭する中、ギニアの存在感は薄れていました。

ところが特筆すべきは2015年以降の劇的な変化です。この年に32,230トンを記録して以降、2020年には242,682トン、そして2022年には261,645トンに到達しました。この急成長の背景には、多国間アグリビジネスプログラムへの参加や、農業技術の改善が挙げられます。また、政府がコーヒーを輸出産業として位置づけ、投資を積極的に誘致したことも重要な要因です。これには、国際市場における有機コーヒーやフェアトレードに対する需要の高まりが直接的に影響を与えており、ギニアの生産者が外貨獲得に乗り出す新たな機会を得たと言えます。

ただし将来的な課題も見逃すことはできません。一つは気候変動の影響です。コーヒー豆生産は気温や降水量に大きく依存しているため、気候変動による自然災害が生産に与えるリスクは依然として無視できません。また、人材育成とインフラ整備も依然として不十分であり、特に農業従事者の高齢化や若者の都市流出が長期的に生産効率と持続可能性に影を落とす可能性があります。

これらを踏まえた上で、いくつかの提言が考えられます。第一に、災害リスクを軽減するための農地の多様化や気候変動に強い品種の研究開発を進めることが重要です。第二に、農家への技術提供や教育訓練をさらに強化し、若年層が農業に参画する仕組み作りをする必要があります。さらに、国際市場での競争力を維持するため、輸出品質の規格化やブランディング戦略の構築も不可欠です。

結論として、ギニアのコーヒー生産量の急激な増加は明るい兆しと言えますが、中・長期的には持続可能な生産体制の確立が鍵を握ります。気候変動や労働力の課題を的確に捉え、政府や国際機関、地域全体が協力してこれらの障害を乗り越える政策を講じることが、ギニアが将来にわたりコーヒー生産国としての地位を維持し発展させるための必要条件となるでしょう。