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スウェーデンのイチゴ生産量推移(1961-2022)

スウェーデンのイチゴ生産量は、1989年以降一定の変動を示しつつも、長期的には増加傾向が見られます。1989年の11,000トンから始まり、2000年代初頭には一時的な減少がありましたが、2012年頃から急激に増加し、2020年には17,220トンと最高値を記録しています。その後は15,000~16,000トン台で推移しており、現在では安定した生産量が維持されています。しかし、気候変動や生産コストの上昇といった課題にも直面しています。

年度 生産量(トン)
2022年 15,670
2021年 16,160
2020年 17,220
2019年 16,250
2018年 15,640
2017年 15,740
2016年 15,280
2015年 17,080
2014年 16,020
2013年 13,800
2012年 16,300
2011年 12,893
2010年 11,500
2009年 11,700
2008年 11,700
2007年 11,800
2006年 11,700
2005年 12,137
2004年 11,500
2003年 9,845
2002年 9,845
2001年 9,300
2000年 11,100
1999年 12,500
1998年 9,500
1997年 11,300
1996年 11,700
1995年 11,100
1994年 11,100
1993年 11,100
1992年 10,619
1991年 10,425
1990年 10,067
1989年 11,000

スウェーデンのイチゴ生産量は、国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、1989年から2022年まで一貫した記録が残されており、この期間の生産動向には興味深い特徴が見られます。まず、1989年の11,000トンから1990年代を通じて種々の変動がありましたが、おおむね10,000~12,000トンの範囲内で安定して推移しました。しかし、1998年から2003年にかけて9,000トン台に落ち込む期間がありました。この時期の生産減少は、厳しい気候条件や国内市場での需要変化が影響している可能性があります。

特に目立つのは2012年以降の急激な伸びです。2012年の16,300トンへの増加に続いて2015年には17,080トンを記録し、2020年には過去最高となる17,220トンに達しました。このような大幅な増加は、技術革新や農業政策の改善によるものと考えられます。温室栽培技術の普及や持続可能な農業施策、ならびに品種改良による収量の向上が寄与したと見られます。

一方で、最近のデータでは2022年には15,670トンとわずかながら減少が見られます。この減少の一因として考えられるのが、気候変動の影響です。スウェーデンのような北ヨーロッパの国々では、気温上昇による生育環境の変化や異常気象が農業生産に影響を及ぼしていると報告されています。また、エネルギー価格の上昇により温室の運営コストが増加したことも、生産量への間接的な影響を与えている可能性があります。

スウェーデンのイチゴ生産を日本や他国と比較すると、年間の生産量は日本(2020年におよそ17万トン規模)の十分の一以下であり、主に国内消費を目的としている点で特徴的です。また、中国やアメリカのような大規模な商業生産国に比べてスケールは小さいものの、質の高い生産を重視する点において異なる位置付けにあります。

今後の課題としては、気候変動への対応が重要なテーマです。スウェーデンは北欧特有の厳しい冬がある一方で、近年は気温の不安定性が増しています。このリスクに対処するためには、さらなる温室技術の開発や耐候性の高い品種の導入が期待されます。また、人手不足への対応も重要です。農業従事者の高齢化が進む中、労働力確保のための移民政策や、ロボット農業技術の活用を進めることが有益でしょう。

さらに、地政学的な背景も無視できません。ロシア・ウクライナ戦争の影響でエネルギー価格が高騰しており、これが農業コスト全般を押し上げる懸念があります。特にスウェーデンでは、温室栽培や地域間輸送の効率が生産コストの削減に直結しており、エネルギー問題への対策強化が不可欠です。

結論として、スウェーデンのイチゴ生産量は長期的には着実に増加を遂げていますが、気候変動や地政学的リスクなど新しい課題への対応が求められます。今後は、政府や農業団体が協力し、持続可能な栽培技術の開発や労働力不足の解消、さらに国際市場への販売ルートの多様化を進めることが鍵となるでしょう。このような包括的な施策により、スウェーデンのイチゴ産業はさらなる発展を遂げる可能性を秘めています。