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オーストラリアのイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、オーストラリアのイチゴ生産量は、1961年の1,450トンから2022年には58,979トンへと大幅な増加を見せています。特に1990年代以降の成長率が目覚ましく、2002年以降は2万トンを超え、その後も着実に増加を続けてきました。2020年以降は増減が見られるものの、全体的な上昇傾向は保たれています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 65,824
11.61% ↑
2022年 58,979
3.76% ↑
2021年 56,843
-3.67% ↓
2020年 59,006
-13.9% ↓
2019年 68,534
19.43% ↑
2018年 57,384
26.81% ↑
2017年 45,251
-6.51% ↓
2016年 48,401
6.13% ↑
2015年 45,604
18.78% ↑
2014年 38,394
18.48% ↑
2013年 32,405
5.18% ↑
2012年 30,809
-0.28% ↓
2011年 30,897
5.33% ↑
2010年 29,334
3.85% ↑
2009年 28,246
15.26% ↑
2008年 24,506
-14.19% ↓
2007年 28,559
4.47% ↑
2006年 27,336
15.16% ↑
2005年 23,737
17.4% ↑
2004年 20,219
-11.45% ↓
2003年 22,834
13.67% ↑
2002年 20,088
29.13% ↑
2001年 15,556
5.31% ↑
2000年 14,772
4.02% ↑
1999年 14,201
5.71% ↑
1998年 13,434
19.5% ↑
1997年 11,242
4.02% ↑
1996年 10,808
26.68% ↑
1995年 8,532
-5.2% ↓
1994年 9,000
18.37% ↑
1993年 7,603
2.42% ↑
1992年 7,423
34.99% ↑
1991年 5,499
9.32% ↑
1990年 5,030
6.55% ↑
1989年 4,721
-2.98% ↓
1988年 4,866
-9.28% ↓
1987年 5,364
24.17% ↑
1986年 4,320
5.11% ↑
1985年 4,110
5.66% ↑
1984年 3,890
14.11% ↑
1983年 3,409
4.6% ↑
1982年 3,259
7.13% ↑
1981年 3,042
-13.14% ↓
1980年 3,502
5.45% ↑
1979年 3,321
17.18% ↑
1978年 2,834
5.39% ↑
1977年 2,689
-0.37% ↓
1976年 2,699
-10.75% ↓
1975年 3,024
-6.67% ↓
1974年 3,240
-6.36% ↓
1973年 3,460
3.53% ↑
1972年 3,342
-4.98% ↓
1971年 3,517
-8.03% ↓
1970年 3,824
10.78% ↑
1969年 3,452
36.28% ↑
1968年 2,533
11.64% ↑
1967年 2,269
25.01% ↑
1966年 1,815
-10.28% ↓
1965年 2,023
12.51% ↑
1964年 1,798
-1.59% ↓
1963年 1,827
26% ↑
1962年 1,450 -
1961年 1,450 -

1961年から2022年までのオーストラリアのイチゴ生産量の推移を見ると、初期には年間3,000トンを下回る生産量が続いていましたが、1990年代に入ると急激な成長を遂げ、1992年に初めて7,000トンを超えました。その後、2000年代にかけて1万トンを超えるペースでの成長が見られ、2010年代には3万トン、2018年には5万トンを突破しています。特に2002年から2015年の間の急成長期には、大量生産を可能にする技術の導入や輸出市場の拡大が大きな要因となりました。

このデータからは、オーストラリアがイチゴ産業において、着実にその立場を強化していたことがうかがえます。オーストラリアは、温暖な気候を活かし、効率的な生産手法を取り入れることで、市場競争力のある品質と量を兼ね備えた農産物を生産してきました。また、国際市場と国内市場の両方で需要が高いため、安定した供給が維持されていると考えられます。

しかし、2020年以降のデータでは新型コロナウイルスのパンデミックがイチゴ生産に一定の影響を及ぼした可能性が指摘されています。この時期には、農業従事者の不足や輸送面の制約がイチゴの収穫・出荷に影響を与え、59,006トンまで一時的に減少しました。その後も、2021年と2022年において回復の兆しが見られるものの、2019年のピークである68,534トンの水準には達していません。

この推移をもとに課題を考えてみると、まず挙げられるのが、持続可能な生産へのアプローチです。気候変動による天候の変動が、今後の生産量に影響を及ぼす可能性があります。特に、オーストラリアでは熱波や干ばつといった極端な気象災害が頻発していることから、地域ごとに異なる環境リスクに対応する必要があります。また、労働力不足も深刻な課題です。季節労働者に依存している農業分野では移民政策や国内労働力の活用を見直す必要があります。

未来に向けた提言としては、まず第一に、気候変動への適応策として耐暑性・耐寒性の高いイチゴ品種の育成やスマート農業技術の導入が推奨されます。これにより、天候リスクへの対応力を高めつつ、生産効率を向上させることが可能です。次に、国内における食品ロス発生の削減および輸出市場のさらなる拡大に向けたインフラ整備が重要です。たとえば、イチゴの加工食品産業を活性化することで、付加価値を高める取り組みが考えられます。また、農業従事者不足への対策として、賃金や雇用条件の改善や若年層を対象とした農業教育プログラムの強化も有効でしょう。

結論として、オーストラリアのイチゴ生産量は長期的な拡大傾向を維持していますが、近年の減少傾向や自然環境の脅威など、解決すべき課題も存在します。これに対応するためには、効率的かつ環境に配慮した生産システムと強固なサプライチェーン構築が必須です。同時に、国際市場における競争力をさらに向上させるための戦略の策定が求められます。このような取り組みが進むことで、オーストラリアのイチゴ産業はさらなる躍進を遂げることでしょう。