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南アフリカのイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、南アフリカのイチゴ生産量は数十年にわたって増加傾向を示しており、2022年には12,863トンに達しました。これにより、過去最も低生産量であった1961年の590トンと比較すると、約22倍の生産量増加が見られます。特に2000年代後半以降の生産量増加は顕著で、2020年以降は年ごとに1,000トン以上の増加を記録しています。このデータは、南アフリカがイチゴ生産量を拡大する能力を持っているだけでなく、今後の農業生産の可能性を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 13,274
3.19% ↑
2022年 12,863
10.54% ↑
2021年 11,637
7% ↑
2020年 10,876
5.63% ↑
2019年 10,296
14.3% ↑
2018年 9,008
10.57% ↑
2017年 8,147
7.14% ↑
2016年 7,604
7.93% ↑
2015年 7,045
1.5% ↑
2014年 6,941
-10.5% ↓
2013年 7,755
14.03% ↑
2012年 6,801
14.44% ↑
2011年 5,943
10.12% ↑
2010年 5,397
-10.36% ↓
2009年 6,021
-13.42% ↓
2008年 6,954
39.5% ↑
2007年 4,985
16.53% ↑
2006年 4,278
-22.82% ↓
2005年 5,543
-4.55% ↓
2004年 5,807
5.07% ↑
2003年 5,527
28.3% ↑
2002年 4,308
-11.72% ↓
2001年 4,880
-35.27% ↓
2000年 7,539
66.13% ↑
1999年 4,538
6.45% ↑
1998年 4,263
12.6% ↑
1997年 3,786
14.62% ↑
1996年 3,303
-6.85% ↓
1995年 3,546
-13.36% ↓
1994年 4,093
2.76% ↑
1993年 3,983
0.84% ↑
1992年 3,950
-20.75% ↓
1991年 4,984
4.38% ↑
1990年 4,775
-28.42% ↓
1989年 6,671
30.91% ↑
1988年 5,096
-5.61% ↓
1987年 5,399
31.14% ↑
1986年 4,117
12.67% ↑
1985年 3,654
15.45% ↑
1984年 3,165
-8.63% ↓
1983年 3,464
25.83% ↑
1982年 2,753
2.46% ↑
1981年 2,687
-12.73% ↓
1980年 3,079
12.33% ↑
1979年 2,741
-5.71% ↓
1978年 2,907
2.79% ↑
1977年 2,828
2.54% ↑
1976年 2,758
5.11% ↑
1975年 2,624
34.56% ↑
1974年 1,950
-9.89% ↓
1973年 2,164
40.34% ↑
1972年 1,542
68.52% ↑
1971年 915
-2.56% ↓
1970年 939
10.08% ↑
1969年 853
8.39% ↑
1968年 787
12.91% ↑
1967年 697
-21.95% ↓
1966年 893
-5.5% ↓
1965年 945
25.33% ↑
1964年 754
-28.8% ↓
1963年 1,059
67.3% ↑
1962年 633
7.29% ↑
1961年 590 -

南アフリカでのイチゴの生産量推移を詳細に見ると、最初(1961年)の生産量は非常に少なく、590トンに過ぎませんでした。その後、1970年代までは増加と減少を繰り返しており、不安定な動きを見せていました。しかし、1980年代以降、生産量は比較的安定し始め、特に1987年以降は生産量が著しく増加する傾向にあります。このような増加は、農業技術の改良、灌漑システムの導入、新しい市場への供給需要の拡大、輸出志向の政策の総合的な要因に起因していると考えられます。

2000年以降、大幅な生産量の増加が観察され、特に2019年以降の増加ペースは顕著です。2018年の9,008トンから2022年の12,863トンへと、わずか4年間で約30%以上の伸びを記録しています。この急激な成長は、南アフリカがイチゴ栽培を戦略的産業化の一環として推進していることを示唆します。輸出市場の拡大や、新型コロナウイルス禍を通じて食品需要が増加したことが、この成長を後押しした可能性があります。特に、COVID-19の影響で生鮮食品の消費が増えたことや、輸出に依存するリスクを軽減するための国内供給へのシフトなどが、ポジティブな効果をもたらしたと見ることができます。

一方で、課題も存在します。過去のデータを見ると、1990年代の生産量は1990年の4,775トンをピークに1996年まで減少傾向が続いています。この時期の減少は、主に気候変動における不安定性や農業政策の変化に起因している可能性があります。水資源の不足、大規模な干ばつ、農作物の貿易障壁など、南アフリカ特有の地政学的および環境的なリスクが顕在化していたことも影響したと推測されます。こうしたリスクは現在も存在しており、今後の生産拡大に向けても注意が必要です。

将来的にさらに大きな課題となり得るのが、気候変動の影響と土地資源の管理です。イチゴなどの軟果樹は、その栽培に特化した気候条件(温暖で適度な雨量)を必要とするため、気温の上昇や降雨量の減少は生産に大きな影響を与えます。また、都市化が進む地域では農業用地の確保も困難になっています。このため、政府は持続可能な農業技術の導入や、耕地面積の最適化、天候変化に強い品種の開発に集中する必要があります。

具体的な対策としては、灌漑効率の向上を目指した技術革新や、小規模農家が参加可能な補助金制度の拡大が挙げられます。また、地域間の協力を通じて輸出市場のさらなる強化を図ることも効果的でしょう。たとえば、中国やインドの成長市場へのアクセスを深める政策が不可欠です。さらに、EU(ヨーロッパ連合)などとの貿易協定の強化を通じて、国際的な競争力を向上させることも重要です。

結論として、今回のデータは南アフリカのイチゴ生産が着実に成長していることを示しています。しかし、気候変動や都市化といった外的要因のリスクに対応するための明確な政策措置が求められます。特に地方農業においては、環境に配慮した持続的な方法で生産を拡大することが、将来的な食料供給の確保につながるでしょう。政府や国際機関による支援と共同の取り組みが、南アフリカだけでなく世界全体の農業分野にも大きな利益をもたらすと期待されます。