世界の羊の毛生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

2018年の羊の毛生産量ランキングによると、オーストラリアが圧倒的な首位を占めており、その生産量は385,945トンに達しました。次いで中国（356,608トン）、ニュージーランド（148,467トン）が続いています。これら上位3か国で、全体の生産量の大部分を占めていることが目立ちます。一方、アメリカ合衆国（11,068トン）や日本を含む国々の存在感は非常に小さく、地域間の生産量には大きな差があると言えます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	オーストラリア	オセアニア	385,945
2	中国	アジア	356,608
3	ニュージーランド	オセアニア	148,467
4	イギリス	ヨーロッパ	69,282
5	トルコ	アジア	66,975
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	61,290
7	モロッコ	アフリカ	60,260
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	55,471
9	南アフリカ	アフリカ	45,344
10	パキスタン	アジア	45,043
11	トルクメニスタン	アジア	42,354
12	アルゼンチン	南アメリカ	40,424
13	インド	アジア	40,400
14	カザフスタン	アジア	39,166
15	アルジェリア	アフリカ	37,049
16	ウズベキスタン	アジア	34,615
17	ウルグアイ	南アメリカ	26,634
18	インドネシア	アジア	26,118
19	イラク	アジア	16,950
20	シリア・アラブ共和国	アジア	16,894
21	アゼルバイジャン	アジア	15,849
22	モンゴル	アジア	14,999
23	アフガニスタン	アジア	14,800
24	サウジアラビア	アジア	13,112
25	キルギスタン	アジア	11,937
26	エジプト	アフリカ	11,584
27	アメリカ合衆国	北アメリカ	11,068
28	リビア	アフリカ	9,981
29	チュニジア	アフリカ	9,662
30	イエメン	アジア	8,724
31	ブラジル	南アメリカ	8,681
32	ペルー	南アメリカ	8,056
33	エチオピア	アフリカ	7,334
34	タンザニア連合共和国	アフリカ	7,270
35	タジキスタン	アジア	7,073
36	チリ	南アメリカ	6,940
37	メキシコ	南アメリカ	4,530
38	ヨルダン	アジア	4,517
39	コロンビア	南アメリカ	4,354
40	ノルウェー	ヨーロッパ	3,912
41	レソト	アフリカ	3,661
42	アルバニア	ヨーロッパ	3,000
43	セルビア	ヨーロッパ	2,844
44	レバノン	アジア	2,648
45	ジンバブエ	アフリカ	2,596
46	バングラデシュ	アジア	2,441
47	ケニア	アフリカ	2,078
48	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	1,966
49	モルドバ共和国	ヨーロッパ	1,918
50	ウクライナ	ヨーロッパ	1,908
51	グルジア	アジア	1,900
52	ナミビア	アフリカ	1,481
53	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	1,384
54	エリトリア	アフリカ	1,288
55	カナダ	北アメリカ	1,238
56	エクアドル	南アメリカ	1,185
57	イスラエル	アジア	1,162
58	アルメニア	アジア	1,032
59	北マケドニア	ヨーロッパ	990
60	クウェート	アジア	863
61	アイスランド	ヨーロッパ	790
62	ミャンマー	アジア	735
63	スイス	ヨーロッパ	718
64	パラグアイ	南アメリカ	600
65	ネパール	アジア	594
66	マリ	アフリカ	284
67	モンテネグロ	ヨーロッパ	250
68	マレーシア	アジア	163
69	ベラルーシ	ヨーロッパ	121
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羊の毛生産量に関する2018年のデータに基づくと、オーストラリアが最大の貢献を果たしており、その生産量は世界の羊毛産業を牽引しています。この高水準な生産量は、広大な土地の利用可能性や農業技術の進歩、産業への長年の投資といった複数の要因によるものと考えられます。同様に、中国とニュージーランドも上位に名を連ねており、世界市場における羊毛需要の大部分を支えています。中国の場合、羊毛生産量は主要輸出品というよりも、国内の繊維産業や衣料品市場用の原料供給に依存している点が特徴的です。一方でニュージーランドは、クオリティの高い羊毛を輸出することで知られています。

ランキングを見渡すと、ヨーロッパではイギリスが最も高い生産量を示しており、アフリカでは南アフリカやモロッコが目立っています。特定地域の気候条件や地理的条件が生産量に大きく影響しており、生産性の高い地域が限られていることが浮かび上がります。同時に、例えば南アフリカでは、柔らかいモヘアウールの産出で世界的に有名ですが、専業農家数の減少や気候変動の影響が課題となっています。

日本の場合は、このランキングには含まれていないことから、羊毛産業における役割はほぼ見られず、繊維原料としての羊毛を輸入に頼っている実態があります。これに比べてオーストラリアやニュージーランドでは、自国での生産基盤が繊維産業の強さを象徴すると言えます。一方でアメリカ合衆国もランキング下位の27位に位置しており、農業や畜産業が幅広い国策の一環で行われていることを考えると、実際の羊毛産業の規模は小さいと言えるでしょう。

地政学的な背景も見逃せません。たとえば中央アジアの多くの国々（ウズベキスタン、カザフスタンなど）が羊毛の供給源ですが、これらの国々ではインフラ不足や市場アクセスの制限が生産量や収益性に影響を与えています。さらに、特定の地域紛争や水資源の争奪が畜産業全般の成長を妨げており、こうしたリスクが将来の羊毛生産における不安要素となり得ます。

今後の課題について、気候変動が羊毛産業全体に与える影響には強い懸念が抱かれています。気温上昇や異常気象が放牧地の持続可能性に影響を与え、羊の健康と生産性を損なう可能性が指摘されています。対策として、持続可能な農業管理の推進や、新たなテクノロジーによる気象災害への耐性強化が急務です。国際機関や地域間の連携を通じて、これらの課題に共に取り組む姿勢が重要でしょう。

結論として、このデータは、羊毛生産が特定の主要生産国に大きく依存していること、また地域間の生産量格差が著しいことを示しています。日本を含めた低生産国では輸入依存度が高く、相互依存的な国際市場の中での課題が明確にされています。将来的には、生産国間の協力とともに、気候変動や資源管理の視点からの対策が羊毛産業の持続可能な発展に欠かせないでしょう。