国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2021年のパイナップル生産量ランキングによると、1位のコスタリカは約293万トンを生産し、その次にインドネシア(約289万トン)、フィリピン(約286万トン)が続きました。アメリカやヨーロッパ諸国の多くは生産量が少なく、日本もわずか6,990トンで順位は55位でした。主要生産国は熱帯地域に集中しており、世界全体の生産動向が気候条件や労働力の供給と深いつながりを持っています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
南アメリカ | 2,938,334 |
| 2 |
|
アジア | 2,886,417 |
| 3 |
|
アジア | 2,860,202 |
| 4 |
|
南アメリカ | 2,323,485 |
| 5 |
|
アジア | 1,899,000 |
| 6 |
|
アジア | 1,799,000 |
| 7 |
|
アジア | 1,750,630 |
| 8 |
|
アフリカ | 1,594,859 |
| 9 |
|
南アメリカ | 1,271,521 |
| 10 |
|
南アメリカ | 927,050 |
| 11 |
|
アジア | 723,915 |
| 12 |
|
アフリカ | 680,277 |
| 13 |
|
アフリカ | 663,263 |
| 14 |
|
南アメリカ | 588,841 |
| 15 |
|
南アメリカ | 475,512 |
| 16 |
|
南アメリカ | 443,226 |
| 17 |
|
アフリカ | 406,220 |
| 18 |
|
アジア | 402,836 |
| 19 |
|
アフリカ | 382,476 |
| 20 |
|
南アメリカ | 340,515 |
| 21 |
|
アフリカ | 333,929 |
| 22 |
|
アジア | 323,047 |
| 23 |
|
アフリカ | 289,079 |
| 24 |
|
アフリカ | 282,655 |
| 25 |
|
アジア | 208,141 |
| 26 |
|
南アメリカ | 206,660 |
| 27 |
|
アフリカ | 189,170 |
| 28 |
|
北アメリカ | 168,018 |
| 29 |
|
アフリカ | 128,623 |
| 30 |
|
南アメリカ | 105,000 |
| 31 |
|
アフリカ | 89,623 |
| 32 |
|
南アメリカ | 86,720 |
| 33 |
|
南アメリカ | 86,092 |
| 34 |
|
アジア | 74,600 |
| 35 |
|
オセアニア | 73,944 |
| 36 |
|
南アメリカ | 71,612 |
| 37 |
|
アフリカ | 68,887 |
| 38 |
|
南アメリカ | 67,492 |
| 39 |
|
アフリカ | 55,990 |
| 40 |
|
アジア | 49,106 |
| 41 |
|
南アメリカ | 48,634 |
| 42 |
|
アフリカ | 42,297 |
| 43 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 44 |
|
南アメリカ | 32,856 |
| 45 |
|
南アメリカ | 25,825 |
| 46 |
|
アジア | 23,967 |
| 47 |
|
オセアニア | 23,385 |
| 48 |
|
アフリカ | 20,787 |
| 49 |
|
アフリカ | 16,408 |
| 50 |
|
アフリカ | 15,824 |
| 51 |
|
アジア | 13,971 |
| 52 |
|
アフリカ | 9,667 |
| 53 |
|
アフリカ | 9,205 |
| 54 |
|
南アメリカ | 7,228 |
| 55 |
|
アジア | 6,990 |
| 56 |
|
アフリカ | 6,547 |
| 57 |
|
オセアニア | 6,350 |
| 58 |
|
アジア | 6,350 |
| 59 |
|
オセアニア | 4,586 |
| 60 |
|
南アメリカ | 4,441 |
| 61 |
|
オセアニア | 4,418 |
| 62 |
|
アフリカ | 4,223 |
| 63 |
|
南アメリカ | 3,827 |
| 64 |
|
アフリカ | 3,815 |
| 65 |
|
アフリカ | 3,805 |
| 66 |
|
南アメリカ | 3,246 |
| 67 |
|
南アメリカ | 3,106 |
| 68 |
|
南アメリカ | 2,366 |
| 69 |
|
アフリカ | 1,907 |
| 70 |
|
南アメリカ | 1,668 |
| 71 |
|
アフリカ | 1,270 |
| 72 |
|
アジア | 1,240 |
| 73 |
|
南アメリカ | 988 |
| 74 |
|
アジア | 972 |
| 75 |
|
アフリカ | 413 |
| 76 |
|
アフリカ | 287 |
| 77 |
|
アフリカ | 141 |
| 78 |
|
アジア | 134 |
| 79 |
|
アジア | 128 |
| 80 |
|
南アメリカ | 94 |
| 81 |
|
南アメリカ | 52 |
| 82 |
|
南アメリカ | 35 |
| 83 |
|
アフリカ | 32 |
| 84 |
|
オセアニア | 17 |
| 85 |
|
南アメリカ | 9 |
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2021年の世界のパイナップル生産量は、気候や地理的特性が大きな影響を与えた結果、熱帯地域に集中しました。このデータのトップであるコスタリカは、約293万トンを生産し、世界的なパイナップル輸出市場の主要な担い手となっています。輸出志向型農業を推進しているコスタリカは、欧米への輸出が盛んで、安定した収益を上げています。続くインドネシアとフィリピンもそれぞれ豊富な熱帯雨林と肥沃な土壌を活かして国内需要だけでなく国際市場にも供給し、その地位を固めています。
ランキングで注目すべきは、5位の中国と6位のインドの存在です。両国ともその広大な人口を抱え、消費市場が国内に集中している一方で、これらの生産量は世界のパイナップル供給の中では比較的中間に位置しており、輸出のウェイトが低いことがわかります。このような内需志向型の傾向は、今後も国内消費量の増加や所得レベルの上昇に伴いさらに強まる可能性があります。
一方、日本の生産量は55位で6,990トンにとどまり、これはほぼ自国消費に限定される微小な規模です。日本国内のパイナップル生産は、主に沖縄や南西諸島などの地域で行われていますが、熱帯特有の労働集約型農業を維持するには多くの課題があります。例えば、国内の農業人口減少や天候変動の影響が深刻化しており、競争力のある生産体制を構築するためには、より先進的な農業技術の導入や生産効率の向上が求められます。
アメリカはパイナップル生産でも先進国ですが、2021年の生産量は16.8万トンと上位国に比べて少なく、順位は28位でした。これは主にハワイを拠点とする小規模生産が中心であり、国内消費を補うために輸入への依存が強くなっています。
地理的背景を考えると、パイナップルは基本的に熱帯地域で栽培が行われ、そのため主要な生産国も赤道帯を中心に分布しています。ただし、近年の気候変動に伴う異常気象や災害により収穫パターンが変化しているため、長期的な収穫予測が難しくなっている現状があります。たとえば、フィリピンやタイなどアジア地域における台風の頻発は、生産量の不安定化を引き起こす大きな要因となっています。
また、社会・地政学的な背景がパイナップル市場にも影響を及ぼしています。ブラジルやナイジェリアのような豊かな土壌を持つ生産国では、農業インフラの整備不足がボトルネックとなっており、輸出拡大の潜在能力が十分には活用されていません。ナイジェリアにおいては、政治的な不安定さが国際市場での競争力に影響を与えており、ブラジルでも地域的な安全性や労働政策が課題として残っています。
このような背景を考慮すると、パイナップル生産の増加と国際競争力の向上にはいくつかの対策が考えられるでしょう。短期的には、生産国を中心に農業従事者への支援を強化し、効果的な災害リスク管理政策を導入することが必要です。長期的には、より持続可能で効率的な生産技術の採用や、地域間での協調型農業フレームワークを構築することが課題となります。
具体的には、気候変動への対応として、乾燥地帯や塩害に強い品種改良を進めたり、土壌管理技術を導入することが挙げられます。また、地政学的リスクを軽減するため、生産国間での協調的な貿易合意の策定や安定的な輸送ルートの確保も重要です。日本に関しては、消費者向けの高品質なブランド戦略を強化し、限られた生産量を付加価値の高い製品として展開することが、競争力向上の一助となるでしょう。
以上のデータから、パイナップル生産の主要な中心地である熱帯地域では、労働力不足や気候変動への適応が重要な課題であることがわかります。また、輸出指向型と内需中心型の国々間の生産構造の違いが際立っています。今後、各国が持続可能な生産を目指し、生産技術や国際協力を強化することで、こうした課題に対応していくことが期待されます。