FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、トーゴのパイナップル生産量は、1986年の500トンから2023年の1,901トンへと大幅に増加しています。初期には緩やかな成長が見られましたが、1990年代以降は加速度的な伸びを示しました。特に2000年代初頭以降、年間1,000トンを超える生産量を維持しています。しかし、2020年代に入ると生産量の成長が鈍化しており、近年では安定的ながら停滞気味の傾向が見られます。
トーゴのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,901 |
0.24% ↑
|
2022年 | 1,897 |
-0.55% ↓
|
2021年 | 1,907 |
0.36% ↑
|
2020年 | 1,900 |
0.92% ↑
|
2019年 | 1,883 |
-2.86% ↓
|
2018年 | 1,938 |
3.14% ↑
|
2017年 | 1,879 |
2.65% ↑
|
2016年 | 1,831 |
-2.55% ↓
|
2015年 | 1,879 |
2.79% ↑
|
2014年 | 1,828 |
2.34% ↑
|
2013年 | 1,786 |
2.05% ↑
|
2012年 | 1,750 |
2.94% ↑
|
2011年 | 1,700 |
6.25% ↑
|
2010年 | 1,600 |
0.95% ↑
|
2009年 | 1,585 |
5.67% ↑
|
2008年 | 1,500 |
0.06% ↑
|
2007年 | 1,499 |
2.55% ↑
|
2006年 | 1,462 |
-2.55% ↓
|
2005年 | 1,500 |
9.9% ↑
|
2004年 | 1,365 |
4.1% ↑
|
2003年 | 1,311 |
4.25% ↑
|
2002年 | 1,258 |
4.79% ↑
|
2001年 | 1,200 |
3.95% ↑
|
2000年 | 1,154 |
4.65% ↑
|
1999年 | 1,103 |
4.67% ↑
|
1998年 | 1,054 |
5.39% ↑
|
1997年 | 1,000 |
4.63% ↑
|
1996年 | 956 |
5.4% ↑
|
1995年 | 907 |
5.7% ↑
|
1994年 | 858 |
7.24% ↑
|
1993年 | 800 |
4.9% ↑
|
1992年 | 763 |
5.99% ↑
|
1991年 | 720 |
33.49% ↑
|
1990年 | 539 |
7.8% ↑
|
1989年 | 500 | - |
1988年 | 500 | - |
1987年 | 500 | - |
1986年 | 500 | - |
トーゴにおけるパイナップル生産量の推移を見ると、1986年から2023年の約40年間で生産量が4倍近くにまで増加しており、特に1990年代半ば以降の成長が顕著です。この成長は、国内市場の需要拡大に加え、地域輸出市場の開拓、農業技術の改善、そして農業支援政策の導入が寄与したことを反映しています。また、継続的な農地拡大や輸出インフラの拡充も、これらの成果を支えた要因の一つです。
しかし、2016年以降のデータを見ると、大きな伸びが減少し、1,800トン前後の生産量で安定していることが確認できます。この傾向は、土地や水資源への制約、気候変動の影響、さらには一部の農業技術の限界が背景にあると考えられます。近年、トーゴを含む西アフリカ地域では、気温の上昇や降水パターンの変化が農業生産に多大な影響を与えており、トーゴのパイナップル生産もこれを免れることはできませんでした。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大も、2020年以降の生産動向に影響を与えたと考えられます。国際市場の混乱や物流の停滞、農業従事者への影響は、国内市場の消費構造や輸出基盤にも影響を及ぼした可能性があります。2020年から2023年にかけてのデータでは、ほぼ横ばいの状態で推移しており、成長の勢いが鈍化していることが見受けられます。
トーゴのパイナップル産業における課題は明確です。まず、農地の持続可能な活用に向けた対策が急務となります。肥沃な土地の保全や試験的な新しい栽培技術の導入を進めることが、生産量を今後も増加させるために重要です。また、特に気候変動への適応が不可欠であり、たとえば乾燥に強い品種の開発や、農業用水利施設の整備が考えられます。
加えて、輸出市場の強化も今後の焦点の一つです。西アフリカ地域においては、ナイジェリアやガーナといった隣国を含めた域内貿易が依然として活発であり、トーゴは効率的な物流網の整備や国際基準に合致した品質保証体制の確立を進める必要があります。
さらに、政策面では、農業従事者への支援策拡充や教育プログラムを強化することが必要です。農業分野の知識や技術を地域社会に広く普及させることは、将来的な生産性向上に大きく貢献します。
総じて、トーゴのパイナップル生産量は歴史的には順調な成長を遂げており、今後も引き続き重要な農産業の柱として発展する可能性を秘めています。しかし、2020年代における成長の鈍化を踏まえると、現地の課題解決と積極的な政策対応、さらに環境変化への適応能力を向上させることが、より持続可能な発展に向けた鍵となるでしょう。ération