中国、台湾 中国省のパイナップル生産量推移（1961年～2023年）

国連食糧農業機関（FAO）が発表した最新のデータによると、中国台湾省のパイナップル生産量は、1961年から2023年までの約60年間で大きな変動を経験しています。初期の1960年代は20万トン以下でしたが、1970年代の中頃には30万トン台に到達し、その後1980年代には減少期に転じました。21世紀に入り、2000年代半ば以降は再び上昇を見せ、ピークとなった2017年の約55万トンを記録した後、再び低下傾向を示しています。2023年の生産量は約37.5万トンと、ピーク時から約3割減少しています。この変動は地政学的な影響、政策の転換、気候変動、農業技術の進展など多様な要因が関連していると考えられます。

中国台湾省のパイナップル生産量の推移を見ると、数十年にわたって継続的な起伏があることが分かります。このデータは農業生産がいかに多層的な要因に支配されるかを示すものであり、特定の年や時代における顕著なパターンの背景にも注目する必要があります。

まず、1961年から1980年代前半にかけては、農業技術の未熟さと国内外市場の需要構造など、初期の発展段階での課題が反映されています。特に1976年から1983年にかけての生産量の大幅低下（278,830トンから115,194トンまでの減少）は、気候条件の悪化や政策変更、または輸出向け需要の低迷が要因として挙げられる可能性があります。その後、1984年以降は徐々に生産量が増加に転じ、2000年代初頭まで比較的安定した増加傾向を見せました。

特筆すべきは、2006年から2017年の持続的な成長期です。この期間の拡大は、品種改良や農業技術の進歩、また台湾パイナップルのブランド化を図る施策の成功と関連している可能性があります。農業部門の支援策に加え、中国本土への輸出や近隣諸国との経済関係の強化による輸出市場の拡大が拍車をかけたことが背景に考えられます。しかし、この時期を頂点に2017年の53万トン超を記録した後、翌年以降は生産量が再び減少に転じました。

現在の2023年の結果を見ると、近年の生産量は顕著な減少傾向を示しています。これは、まず気候変動による影響が指摘されています。台湾は亜熱帯気候に属するものの、台風や異常気象などの増加が農業作物の安定的な生産を妨げる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症COVID-19による物流や貿易の制約が間接的に影響した可能性も無視できません。さらに、2021年には台湾産パイナップルの輸出量の大部分を占める中国本土市場における輸入制限が課され、この影響が生産の刺激を抑制した一因と考えられます。

このような背景を踏まえると、台湾のパイナップル生産は競争力を維持しながらも、いかに市場リスクや自然災害の影響に適応するかが重要な課題となります。例えば、輸出先の多角化を進めることで特定市場への依存度を下げる戦略が必要です。また、気候変動に強い新品種の開発や農業のデジタライゼーションの推進による効率的な管理が期待されます。さらに国内消費の刺激策も有効で、地域ブランドのさらなる拡大や加工食品市場の成長を取り込むことが生産安定化への一助となります。

地域課題としては、農業従事者の高齢化や土地利用の変化にも注目する必要があります。政府や国際機関による若年層への支援金や土地利用の保全策を通じ、生産基盤の長期的な安定化を図るべきです。

結論として、中国台湾省のパイナップル産業は成長ポテンシャルを持つものの、外部環境の影響を大きく受けやすい構造的な問題を抱えています。今後、地元政府や農業団体、さらには国際協力機構が連携し、リスク分散と強靭な農業体制の構築に向けた取り組みが求められます。