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南スーダンのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、南スーダンのパイナップル生産量は2012年の3,000トンから順調に増加し、2015年に4,500トンのピークに達しました。しかし、それ以降は減少や横ばいの傾向が見られ、2023年の生産量は4,215トンと微増にとどまっています。このデータは、南スーダンの農業分野における課題と地域情勢の影響を反映しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,215
0.3% ↑
2022年 4,203
-0.49% ↓
2021年 4,223
0.08% ↑
2020年 4,220
1.32% ↑
2019年 4,165
-2.8% ↓
2018年 4,285
1.78% ↑
2017年 4,210
5.25% ↑
2016年 4,000
-11.11% ↓
2015年 4,500
12.5% ↑
2014年 4,000
14.29% ↑
2013年 3,500
16.67% ↑
2012年 3,000 -

南スーダンのパイナップル生産量について分析すると、2012年から2015年までの期間は生産量が着実に増加し、毎年約500トンの伸びを記録していました。この期間は、国内農業が一定の安定性を保ちながら成長していたことを示しています。しかし2016年以降は、成長が停滞し、年度ごとに4,000トン台で推移している点が注目されます。

2015年のピーク以降の生産減少や停滞の背景には、南スーダンの地政学的状況が密接に影響していると考えられます。同国では、内戦や武力衝突が2013年から継続的に発生し、農地の荒廃や労働力喪失が懸念されます。また、気候変動やインフラ未整備も生産性の向上を妨げている一因です。例えば、道路や農業設備の不足により作物の収穫や流通が効率的に行われていない可能性があります。

2020年以降のデータでは、生産量がほぼ横ばいの状態が続いています。この時期には新型コロナウイルスの影響もあり、輸送や流通体制が国際的にも大きな打撃を受け、南スーダンの農業部門も例外ではなかったと推測されます。一方で、2022年以降のわずかな回復傾向は、地域の安定化や国際的援助による農業支援の可能性を示唆しているかもしれません。

国際比較の観点では、アフリカ大陸における主なパイナップル生産国であるガーナやナイジェリアには遠く及ばないものの、南スーダンにおけるパイナップル生産は国内需要を賄う重要な役割を果たしています。特に東アフリカ地域では農業が主要産業のひとつであり、パイナップルのような嗜好作物の生産量増加は、地域経済の発展にも貢献する可能性があります。

南スーダンのパイナップル生産を持続的に発展させるためには、以下の具体的な対策が求められます。まず、紛争解決を優先することで、農業従事者の安全を確保し、安定的な生産環境を整える必要があります。また、農業インフラ整備や灌漑設備の導入を進めることによって、気候変動への適応能力を高めることが重要です。さらに、国際機関やNGOの支援を受けて、最新の農業技術や効率的な栽培方法を導入すれば、収穫量向上が期待されます。市場流通の改善も課題であり、地域間の交通網整備や輸送手段の効率化が、生産物の売り上げ増加に寄与するでしょう。

2023年時点のデータからは、生産量の大幅な回復や増加の兆しは見えにくい状況ですが、上記の課題に取り組むことで、将来的には南スーダンにおけるパイナップル生産が国内外の需要を支える重要な産業となる可能性があります。国連やアフリカ連合などの国際団体との協力を深め、長期的な農業戦略を策定する必要があるといえます。これにより、国内経済の安定や人々の生計向上にもつながると期待されます。