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タンザニア連合共和国のパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、タンザニア連合共和国のパイナップルの生産量は、1961年の28,000トンから2023年には443,911トンまで増加しました。この間、生産量は一時停滞する年もありましたが、長期的には全体的に増加傾向にあります。特に2000年代以降の伸び幅は顕著であり、2023年には2022年と比較して約15%の大幅な上昇が見られました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 443,911
15.54% ↑
2022年 384,215
0.45% ↑
2021年 382,476
0.52% ↑
2020年 380,493
-2.36% ↓
2019年 389,678
3.29% ↑
2018年 377,257
0.72% ↑
2017年 374,543
0.82% ↑
2016年 371,484
0.97% ↑
2015年 367,927
1.03% ↑
2014年 364,179
1.65% ↑
2013年 358,253
3.84% ↑
2012年 345,000
4.55% ↑
2011年 330,000
3.13% ↑
2010年 320,000
6.67% ↑
2009年 300,000
3.45% ↑
2008年 290,000
18.37% ↑
2007年 245,000
22.5% ↑
2006年 200,000
17.65% ↑
2005年 170,000
30.77% ↑
2004年 130,000
36.84% ↑
2003年 95,000
22.58% ↑
2002年 77,500
1.45% ↑
2001年 76,390
0.51% ↑
2000年 76,000
1.33% ↑
1999年 75,000
1.35% ↑
1998年 74,000
1.37% ↑
1997年 73,000
-1.35% ↓
1996年 74,000
0.84% ↑
1995年 73,384
0.53% ↑
1994年 73,000
1.39% ↑
1993年 72,000
2.86% ↑
1992年 70,000
-2.78% ↓
1991年 72,000
2.86% ↑
1990年 70,000
2.94% ↑
1989年 68,000
3.03% ↑
1988年 66,000
1.54% ↑
1987年 65,000
8.33% ↑
1986年 60,000
20% ↑
1985年 50,000 -
1984年 50,000 -
1983年 50,000
2.04% ↑
1982年 49,000
2.08% ↑
1981年 48,000
2.13% ↑
1980年 47,000
2.17% ↑
1979年 46,000
2.22% ↑
1978年 45,000
-2.17% ↓
1977年 46,000
2.22% ↑
1976年 45,000 -
1975年 45,000
2.27% ↑
1974年 44,000
4.76% ↑
1973年 42,000
5% ↑
1972年 40,000
5.26% ↑
1971年 38,000
5.56% ↑
1970年 36,000 -
1969年 36,000
9.09% ↑
1968年 33,000
3.13% ↑
1967年 32,000
3.23% ↑
1966年 31,000 -
1965年 31,000
3.33% ↑
1964年 30,000 -
1963年 30,000
3.45% ↑
1962年 29,000
3.57% ↑
1961年 28,000 -

タンザニアにおけるパイナップル生産の歴史を見てみると、1960年代から1980年代にかけては年々わずかずつの増加が見られましたが、特に1986年以降は生産量が飛躍的に増加しています。1986年には60,000トン、1990年には70,000トンと、比較的緩やかなペースでの成長が続きました。その後、2003年の95,000トンを皮切りに急激な伸びを達成し、2006年には200,000トン台、2010年以降も毎年一貫した増加が続いています。特筆すべきは2023年には生産量が443,911トンに達しており、過去10年間で約30%の成長を遂げたことです。

この増加傾向にはいくつかの要因が考えられます。一つは、政府や国際的な支援機関による農業インフラへの投資拡充が挙げられます。灌漑技術や肥料の活用が進み、生産効率が向上しました。また、パイナップル生産が外貨獲得に寄与する重要な輸出産品とみなされ、栽培面積の拡大が行われたことも一因です。さらに地理的要因として、温暖な気候と肥沃な土壌が作物の成長を後押ししています。他国との関係にも注目すると、隣国ケニアやアフリカの他の市場の需要増加が、地元経済の成長とともに生産拡大をアシストした可能性があります。

一方、課題もいくつか存在します。まず、極端な気象変動、特に干ばつや豪雨の影響は依然として懸念材料です。例えば、2020年の生産量が前年度の389,678トンから380,493トンに減少した要因の一つには、気象条件が影響したと考えられます。さらに、農業技術や収穫後の流通インフラが依然として不十分な地域もあり、生産性を完全に引き出せていない状況があります。また、農薬や化学肥料の使用量も課題として挙げられ、長期的な環境影響への対策も必要です。

地政学的な観点から考えると、タンザニアの農業は近隣諸国との貿易や、アフリカ内陸部への輸送ネットワークに大きく依存しています。このため、地域的な政治的不安定や交通インフラの問題が生産活動に与える影響は無視できません。また、人口増加に伴う国内需要の増加が輸出量に影響を与える可能性もあります。

未来への課題としては、持続可能な農業への転換が鍵となります。たとえば、灌漑技術のさらなる改善や、小規模農家への教育プログラムの拡充は、効率的な生産を促進するのに有効です。また、国際貿易協定を活用し、新たな輸出市場の開拓を進めることも重要です。さらに、パイナップル加工品(ジュースや缶詰など)の産業化を進めることで、製品の付加価値を高め、農業から派生する雇用や収益を拡大することが期待できます。

結論として、タンザニアのパイナップル生産は、ここ数十年で顕著に成長しており、安定した基盤を築いています。しかし、それに伴う環境問題や気象リスク、輸出市場の多様化の必要性など、克服すべき課題も明確です。政府や国際機関が協力し、持続可能な生産技術の普及やインフラの充実を図ることで、この成長トレンドを持続できる可能性が高まるでしょう。