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ラオス人民民主共和国のパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)のパイナップル生産量は、1961年の20,200トンから2023年の67,123トンへと長期的には成長していることがわかります。しかし、その成長は一貫しているわけではなく、時々の生産量に大きな変動が見られます。特に2000年代から目立つ増減があり、2011年や2019年以降の急激な増加が特筆されます。一方で、2017年や2023年などの減少も記録されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 67,123
-10.08% ↓
2022年 74,650
0.07% ↑
2021年 74,600
19.95% ↑
2020年 62,194
-7.01% ↓
2019年 66,885
95.4% ↑
2018年 34,230
5.42% ↑
2017年 32,470
-44.4% ↓
2016年 58,400
2.29% ↑
2015年 57,095
-7.46% ↓
2014年 61,695
69.7% ↑
2013年 36,355
-26.73% ↓
2012年 49,615
-17.48% ↓
2011年 60,125
42.11% ↑
2010年 42,310
-7.58% ↓
2009年 45,780
37.64% ↑
2008年 33,260
-21.74% ↓
2007年 42,500
1.19% ↑
2006年 42,000
2.44% ↑
2005年 41,000
-1.2% ↓
2004年 41,500
3.75% ↑
2003年 40,000 -
2002年 40,000
8.11% ↑
2001年 37,000
5.71% ↑
2000年 35,000
2.94% ↑
1999年 34,000 -
1998年 34,000
3.03% ↑
1997年 33,000
3.13% ↑
1996年 32,000
3.23% ↑
1995年 31,000
3.33% ↑
1994年 30,000
-11.76% ↓
1993年 34,000
3.03% ↑
1992年 33,000
4.13% ↑
1991年 31,691
-0.97% ↓
1990年 32,000
6.67% ↑
1989年 30,000
7.14% ↑
1988年 28,000
-12.5% ↓
1987年 32,000
-11.11% ↓
1986年 36,000
5.88% ↑
1985年 34,000
3.03% ↑
1984年 33,000
3.13% ↑
1983年 32,000
-5.88% ↓
1982年 34,000
6.25% ↑
1981年 32,000 -
1980年 32,000
6.67% ↑
1979年 30,000
15.38% ↑
1978年 26,000
-7.14% ↓
1977年 28,000
7.69% ↑
1976年 26,000
8.33% ↑
1975年 24,000
-9.43% ↓
1974年 26,500
1.92% ↑
1973年 26,000 -
1972年 26,000
4% ↑
1971年 25,000
-7.41% ↓
1970年 27,000
3.85% ↑
1969年 26,000
8.33% ↑
1968年 24,000
4.35% ↑
1967年 23,000
-2.13% ↓
1966年 23,500
11.9% ↑
1965年 21,000
-4.55% ↓
1964年 22,000
4.76% ↑
1963年 21,000
1.94% ↑
1962年 20,600
1.98% ↑
1961年 20,200 -

ラオスのパイナップル生産量推移を詳しく見ると、長期的な増加傾向がある一方で、特定の期間で大きな変動があることが特徴的です。1960年代から1980年代にかけては比較的緩やかな増加が見られますが、年間数千トン単位の増減があることで農業生産の安定性が課題となっていると考えられます。特に1971年と1975年のように生産量が急減している年は、もしかすると地域的な政治情勢や気象条件の影響、または農業技術の不安定さが影響している可能性があります。

2000年代に入ると、生産量は35,000トン前後で安定していましたが、2008年に大幅に減少し、その後2011年には最初の大きなピークである60,125トンへ急増しています。このような急増には、農業政策や技術革新、またパイナップルの輸出需要の高まりが関与していると推測されます。しかし、その後の数年間では再び生産量に不安定な傾向が見られ、2017年には32,470トンという低水準に戻りました。この減少は気候変動の影響や輸出市場における競争激化の影響が考えられます。

2019年以降、ラオスのパイナップル生産量は著しい成長を遂げています。2019年の66,885トンから2022年の74,650トンへと増加し、人口が増加するアジア地域への供給が需要を牽引した可能性が高いです。ただし、2023年には再び67,123トンに減少しており、前年までの高い水準を維持できなかったことがわかります。このような変化を分析するには、気象条件、農地面積、作物保護政策の実施状況、労働力供給状況などをさらに詳細に検討する必要があります。

ラオスのパイナップル生産は主に国内消費に加えて、タイや中国の市場をターゲットに輸出も行われていると考えられます。特に、パイナップルは加工品として利用されるため、国内での加工インフラの整備が輸出競争力を高める上で重要です。しかしながら、気候変動など地球規模の課題が生産量の変動を引き起こすリスクを増しており、種子開発や灌漑技術の向上が求められます。

また、パイナップル産業に関係する労働力の安定供給は無視できない課題の一つです。近年、若年労働者の農業離れが広がっていることから、農村部への投資や教育などを通じて次世代の農業従事者を育成する取り組みが必要です。

さらに、賢明な農業政策を支えるためには、特に隣接するタイやベトナムとの協調が欠かせません。これらの地域は農産物輸出の競争相手であると同時に、協力関係を構築することで国際市場における競争力を共に高める可能性を持っています。このような地域間の連携を通じて、安定した生産基盤の構築や輸出市場の多様化、さらには持続可能性を確保する手段を模索することが重要です。

未来を見据えた具体的な対策としては、1. 気候変動に対応した農業技術の導入、2. 生産プロセス全体の機械化と効率化、3. 国内外の市場需要に合わせた種苗開発、4. 貿易規制の緩和や支援制度の拡充が挙げられます。これらを進めることにより、ラオスのパイナップル農業は持続可能な成長を遂げるとともに、国内経済の発展や農村地域の繁栄にも寄与することが期待できます。