Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータによると、ブルネイ ダルサラームのパイナップル生産量は1961年に900トンからスタートし、2023年には1,266トンに達しました。このデータからは、生産量が初期には着実に増えた後、一時的な停滞や減少傾向を見せつつも、特に2000年代以降安定的な増加を続けていることが分かります。過去数十年を通じて、生産量の回復と成長パターンが見られます。
ブルネイ ダルサラームのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,266 |
1.83% ↑
|
2022年 | 1,243 |
0.2% ↑
|
2021年 | 1,240 |
-0.5% ↓
|
2020年 | 1,247 |
0.42% ↑
|
2019年 | 1,241 |
0.68% ↑
|
2018年 | 1,233 |
1.79% ↑
|
2017年 | 1,211 |
1.92% ↑
|
2016年 | 1,189 |
2.12% ↑
|
2015年 | 1,164 |
3% ↑
|
2014年 | 1,130 |
0.54% ↑
|
2013年 | 1,124 |
0.34% ↑
|
2012年 | 1,120 |
2.35% ↑
|
2011年 | 1,094 |
1.51% ↑
|
2010年 | 1,078 |
1.53% ↑
|
2009年 | 1,062 |
1.56% ↑
|
2008年 | 1,045 |
1.61% ↑
|
2007年 | 1,029 |
1.48% ↑
|
2006年 | 1,014 |
1.87% ↑
|
2005年 | 995 |
0.52% ↑
|
2004年 | 990 |
4.73% ↑
|
2003年 | 945 |
3.49% ↑
|
2002年 | 913 |
1.49% ↑
|
2001年 | 900 |
12.5% ↑
|
2000年 | 800 |
6.67% ↑
|
1999年 | 750 |
2.99% ↑
|
1998年 | 728 |
4.04% ↑
|
1997年 | 700 |
0.87% ↑
|
1996年 | 694 |
6.76% ↑
|
1995年 | 650 |
-4.25% ↓
|
1994年 | 679 |
-0.16% ↓
|
1993年 | 680 |
-0.25% ↓
|
1992年 | 682 |
-1.2% ↓
|
1991年 | 690 |
-4.17% ↓
|
1990年 | 720 |
-1.37% ↓
|
1989年 | 730 |
-8.75% ↓
|
1988年 | 800 |
2.56% ↑
|
1987年 | 780 |
-2.5% ↓
|
1986年 | 800 | - |
1985年 | 800 | - |
1984年 | 800 |
2.56% ↑
|
1983年 | 780 |
12.23% ↑
|
1982年 | 695 |
-18.24% ↓
|
1981年 | 850 |
39.34% ↑
|
1980年 | 610 |
-12.86% ↓
|
1979年 | 700 | - |
1978年 | 700 |
-12.5% ↓
|
1977年 | 800 |
14.29% ↑
|
1976年 | 700 |
-30% ↓
|
1975年 | 1,000 |
-9.09% ↓
|
1974年 | 1,100 |
-15.38% ↓
|
1973年 | 1,300 |
-13.33% ↓
|
1972年 | 1,500 |
-4.28% ↓
|
1971年 | 1,567 |
4.47% ↑
|
1970年 | 1,500 |
4.17% ↑
|
1969年 | 1,440 |
4.35% ↑
|
1968年 | 1,380 |
4.55% ↑
|
1967年 | 1,320 |
4.76% ↑
|
1966年 | 1,260 |
5% ↑
|
1965年 | 1,200 | - |
1964年 | 1,200 |
9.09% ↑
|
1963年 | 1,100 | - |
1962年 | 1,100 |
22.22% ↑
|
1961年 | 900 | - |
ブルネイ ダルサラームにおけるパイナップル生産量の長期的な推移を見ると、1960年代には生産量が毎年増加する成長期を迎え、1970年には1,500トンを記録しました。しかし、1970年代後半から1980年代半ばにかけて、生産量は急激に減少しています。この期間は700トン前後を下回る低迷期となり、小規模農業者の減少や気象条件、生産技術の問題などが原因として推測されます。このような減少は、ブルネイのパイナップル産業が当時の農業を取り巻く地政学的リスクや国の経済的な課題に直面していたことを示しています。
1990年代半ば以降、安定的な生産量の回復が見られ、特に2000年代以降は顕著です。2023年の1,266トンという数値は、60年を超えるデータ推移の中で最高値にあたります。この回復基調は、農業技術の向上や農業政策の見直し、輸出や地元消費市場の需要増加によるものと考えられます。また、地域課題としては、製品価値の向上や市場への供給の多様化による収益拡大が求められており、この点で2000年代以降の政府主導の農業支援策が成果を上げていると推察されます。
一方で、ブルネイのパイナップル生産量は他国と比較すると相対的に小規模です。例えば、同じアジア地域のフィリピンやタイなどの生産規模ははるかに大きく、それぞれ数百万トンを超える規模を持つことを考えると、ブルネイのパイナップル産業は地域市場に特化したニッチな存在となっています。しかしこれにより、高品質・プレミアム志向の商品化や地元ブランドの確立が可能です。
課題としては、気候変動や自然災害の影響をどのように克服するかという点があります。ブルネイのような小規模な国では、台風や干ばつといった自然災害の影響を受けやすいことが特徴です。さらに、現地生産の制約を改善するために、高効率な農業技術の導入や品種改良への投資が必要です。
未来への提言として、まず第一に地域政府が気候変動に対応した農業インフラの整備を進めることが挙げられます。例えば、灌漑設備や温室栽培技術の導入が有効です。また、デジタル技術を活用した生産・物流の効率化も期待されます。次に、地元農家の収益安定を図るため、輸出市場へのアクセスを改善するとともに、地元消費者へのマーケティングを強化することが重要です。また、パイナップルの付加価値製品(ジュースや菓子など)の開発や観光業との連携により経済的な収益の向上を目指すことができます。
最終的に、ブルネイ ダルサラームが安全で効率的な農業システムを確立し継続的に発展できれば、単なるパイナップルの生産だけでなく、農業全体の持続可能性に貢献することができます。そのためには、政府主導だけではなく、地域の農業コミュニティとの連携や国際的な技術協力を含む包括的な取り組みが欠かせません。