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カンボジアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

カンボジアのパイナップル生産量は1961年の20,000トンから始まり、1970年の32,800トンでピークに達しました。ただしその後、1975年の内戦期を境に大幅な減少を経験し、1980年代まで低迷が続きました。1990年代から少しずつ回復し、2006年以降は21,000トン前後で一定の生産量を維持しています。2023年においては24,219トンと、過去20年での最高値にまで回復していますが、伸びは緩やかです。このような推移は、カンボジアの歴史的背景や農業政策、経済環境が深く関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 24,219
1.25% ↑
2022年 23,920
-0.19% ↓
2021年 23,967
0.16% ↑
2020年 23,929
0.27% ↑
2019年 23,865
-1% ↓
2018年 24,106
1.21% ↑
2017年 23,817
0.61% ↑
2016年 23,672
-2.88% ↓
2015年 24,373
3.41% ↑
2014年 23,571
2.16% ↑
2013年 23,072
1.61% ↑
2012年 22,706
0.72% ↑
2011年 22,544
0.03% ↑
2010年 22,536
2.44% ↑
2009年 22,000
7.32% ↑
2008年 20,500
-2.38% ↓
2007年 21,000 -
2006年 21,000
8.9% ↑
2005年 19,283
6.16% ↑
2004年 18,164
9.21% ↑
2003年 16,632
-0.65% ↓
2002年 16,741
4.63% ↑
2001年 16,000 -
2000年 16,000 -
1999年 16,000 -
1998年 16,000
3.23% ↑
1997年 15,500
3.33% ↑
1996年 15,000
3.45% ↑
1995年 14,500
5.84% ↑
1994年 13,700
5.38% ↑
1993年 13,000
4% ↑
1992年 12,500
2.35% ↑
1991年 12,213
1.78% ↑
1990年 12,000
9.09% ↑
1989年 11,000
10% ↑
1988年 10,000
5.26% ↑
1987年 9,500
5.56% ↑
1986年 9,000
12.5% ↑
1985年 8,000
6.67% ↑
1984年 7,500
7.14% ↑
1983年 7,000
16.67% ↑
1982年 6,000
20% ↑
1981年 5,000
-10.71% ↓
1980年 5,600
12% ↑
1979年 5,000
-30.56% ↓
1978年 7,200
-15.29% ↓
1977年 8,500
-5.56% ↓
1976年 9,000
-10% ↓
1975年 10,000 -
1974年 10,000
-9.09% ↓
1973年 11,000
-9.84% ↓
1972年 12,200
-0.49% ↓
1971年 12,260
-62.62% ↓
1970年 32,800
43.99% ↑
1969年 22,780
3.08% ↑
1968年 22,100
9.95% ↑
1967年 20,100
31.37% ↑
1966年 15,300
11.52% ↑
1965年 13,720
-43.7% ↓
1964年 24,370
5.96% ↑
1963年 23,000
4.55% ↑
1962年 22,000
10% ↑
1961年 20,000 -

カンボジアのパイナップル生産量の推移を見ると、大きな変動と緩やかな回復の過程が浮かび上がります。1961年から1970年にかけて、農業技術の導入や国の比較的安定した状況により生産量は成長しましたが、その後の1970年代のポル・ポト政権による内戦期を迎えると、生産量は急激に低下しました。1969年の22,780トンから1979年にはわずか5,000トンにまで減少しており、この時代の生産低迷は明らかに政治的不安定性に起因しています。

1980年代から1990年代にかけて、徐々に生産量は回復を見せましたが、伸びはゆっくりとしたものでした。この時期には、国際的な援助を受けて農業の再建が進められた一方で、耕地の荒廃や農地の地雷除去など、戦争の遺産が農業の発展を阻害しました。また、農業インフラや輸送網が完全に復旧しない中、農家は規模を拡大するのが難しかったと考えられます。

2000年代以降になると、カンボジアは他の東南アジア諸国と同様に農業の近代化を進め、エクスポートを意識した農業振興策が採用されました。それに伴い、パイナップルの生産量は21,000トン前後で一定の水準を保ちながら、2023年には24,219トンにまで成長しました。ただし、この成長ペースは他の農業輸出国と比較すると控えめであり、生産性の向上や外需拡大に課題を抱えていると言えます。

現在の課題として、土地の効率的な利用やインフラ整備の遅れが挙げられます。特に道路網や倉庫施設の不備により、生産物が市場に届くまでのロスが発生しています。また、気候変動による影響も無視できず、雨季と乾季の不均衡や異常気象により収穫量が左右される事例が増えています。他国、例えばフィリピンやタイのような輸出主導型の農業モデルと比較すると、カンボジアの農業は未だ国内消費が中心であり、国際市場へのアクセスは限定的です。

政治的・社会的安定が継続するカンボジアですが、食糧農業機関(FAO)のデータを基にすると、今後生産量をさらに増加させるためには、より先進的な農法の導入や灌漑設備の整備などが必要です。また、農家への技術教育や融資プログラムの強化、パイナップルの作付けに適した地域の拡大といった施策も欠かせません。地域間協力としては、東南アジア地域の農業産品輸出枠組みを利用し、他国との競争力を高めることも有効でしょう。

地理的条件が恵まれているカンボジアは、今後パイナップルのような耐久性のある果実の生産拡大に取り組むことで、輸出産業としてのポテンシャルを開花させる可能性があります。一方で、国際市場における地位を築くためには、高品質な製品を安定して供給できる体制づくりが求められます。そのためにも、政府レベルでの長期的な農業政策の計画が必要です。

結論として、カンボジアのパイナップル生産量は回復と安定を見せているものの、さらに持続可能な成長を図るには、インフラ整備や国外市場へのアクセス向上など多角的な取り組みが必要です。地域全体での連携を強化しつつ、国際市場の需要を視野に入れることで、将来的な飛躍の可能性をつかむことができるでしょう。