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プエルトリコのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、プエルトリコのパイナップル生産量は1960年代から2000年代にかけて大きく増減を繰り返しながら全体的に減少傾向にありました。とくに2010年代以降では非常に低い水準に停滞しました。一方で、2023年には約13,862トンと、前年の約4倍の増産を記録し、注目に値する急回復を見せています。これまでの長期的な低迷を乗り越えた兆しとして、今後の動向が期待されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 13,862
356.57% ↑
2022年 3,036
-2.25% ↓
2021年 3,106
5.96% ↑
2020年 2,931
-34.3% ↓
2019年 4,462
-5.57% ↓
2018年 4,725
-3.85% ↓
2017年 4,914
-1.52% ↓
2016年 4,990
3.16% ↑
2015年 4,837
49.44% ↑
2014年 3,237
26.44% ↑
2013年 2,560
17.11% ↑
2012年 2,186
-38.98% ↓
2011年 3,583
-31.77% ↓
2010年 5,251
-33.75% ↓
2009年 7,926
-21.2% ↓
2008年 10,059
-18.99% ↓
2007年 12,416
-11.63% ↓
2006年 14,050
-8.36% ↓
2005年 15,332
0.3% ↑
2004年 15,286
-11.77% ↓
2003年 17,325
-18.06% ↓
2002年 21,144
13.14% ↑
2001年 18,689
4.7% ↑
2000年 17,850
-7.61% ↓
1999年 19,321
36.16% ↑
1998年 14,190
-26.11% ↓
1997年 19,204
1.43% ↑
1996年 18,933
-21.32% ↓
1995年 24,063
-28.52% ↓
1994年 33,663
-37.08% ↓
1993年 53,500
-12.08% ↓
1992年 60,850
-2.63% ↓
1991年 62,491
33.49% ↑
1990年 46,812
-4.49% ↓
1989年 49,012
-29.72% ↓
1988年 69,740
26.13% ↑
1987年 55,290
22.62% ↑
1986年 45,091
3.21% ↑
1985年 43,689
10.54% ↑
1984年 39,525
2.99% ↑
1983年 38,376
8.71% ↑
1982年 35,300
-6.4% ↓
1981年 37,713
8.91% ↑
1980年 34,627
-12.42% ↓
1979年 39,536
17.68% ↑
1978年 33,595
-13.26% ↓
1977年 38,731
1.53% ↑
1976年 38,147
-10.44% ↓
1975年 42,592
7.44% ↑
1974年 39,644
4.05% ↑
1973年 38,102
-13.04% ↓
1972年 43,817
-16.11% ↓
1971年 52,233
6.55% ↑
1970年 49,021
1.64% ↑
1969年 48,231
-17.61% ↓
1968年 58,540
-10.34% ↓
1967年 65,292
-0.76% ↓
1966年 65,791
-9.5% ↓
1965年 72,700
11.48% ↑
1964年 65,212
11.08% ↑
1963年 58,708
13.95% ↑
1962年 51,521
2.38% ↑
1961年 50,325 -

プエルトリコのパイナップル生産量は、1961年の50,325トンを皮切りに、1960年代中頃には72,700トンのピークを迎え、その後断続的な減少を見せました。1970年代から1980年代後半にかけては、40,000―60,000トンの範囲で変動しましたが、1990年代に入り急激な縮小が顕著となりました。とくに1996年以降のデータでは、20,000トンを下回り、21世紀初頭にはさらに減少が強まります。そして2010年代に入ると、年間生産量は一桁台の千トン前半まで落ち込むまでになりました。この動向には、多様な要因が複合的に影響していると考えられます。

背景を探ると、第一に、農業技術や資源の最適化が他国と比較して進みにくかった事情が挙げられます。例えば、プエルトリコでは気候的な魅力がありながら、その地理的条件による土地コストの高さや、農業従事者の減少が経済的制約となった可能性があります。また、世界全体での輸送技術発展により、南米や東南アジアなど低コスト地域からの競争が激化したことも重大な役割を果たしました。

加えて、頻発する自然災害が生産量に深刻なダメージを与えた例も考えられます。ハリケーンや土壌の浸食といった環境リスクが、プエルトリコの農作物全般に対して持続的な影響を及ぼしてきたことが知られています。特にパイナップルのような栽培条件の厳しい作物は、その影響を直接的に受けやすいと言えます。

一方で、2023年のデータでは13,862トンという大幅な回復が見られました。この要因としては、政府や地域の農業関係者による効率的な農業技術の導入や、輸出を視野に入れたスケールアップ投資が考えられます。また、国際市場の需要が回復し、ローカル品種への注目が高まったことも背後にあるかもしれません。このような急回復は、これまでの困難を克服する礎となる希望の兆しと言えるでしょう。

しかし、現時点での生産量は全盛期であった1960年代後半の水準には遠く及びません。この現状を踏まえ、プエルトリコがパイナップル栽培をさらに発展させるためには、課題の克服が不可欠です。第一に、高品質なパイナップルを安定的に生産するために、生産技術の革新が必要です。土壌改良技術や病害虫対策を含めた科学的アプローチを推進することが有力な対策となるでしょう。また、ハリケーンなど自然災害時のリスク管理や災害後の迅速な農業インフラ復旧体制の整備も重要です。

さらに、パイナップルの収益性を高めることを目的に、海外市場向けのブランディングや輸出支援が求められます。近年、消費者の間で有機農産物や地域特産品への関心が高まっています。これを活かし、プエルトリコ特有の気候と土地から育まれるパイナップルを高付加価値商品としてアピールすることができれば、一層の需要拡大が期待できるでしょう。

結論として、プエルトリコのパイナップル生産はこれまでの長期的な下落傾向に苦しんできたものの、2023年の大幅な回復を契機に新たな発展の段階に移行しつつあります。この流れを維持し、さらに加速させるためには、地元および国際的な協力が不可欠です。特に、持続可能な農業モデルや国際市場への参加機会を拡大する政策展開が、今後の鍵を握ると考えます。政府、農業界、そして業界外の投資家が協力することで、プエルトリコのパイナップル産業は再生への道を歩む可能性があります。

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