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ケニアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ケニアのパイナップル生産量は1961年の18,000トンから1999年の567,362トンへと急成長しました。その後、2000年代以降に一時的な減少と回復を挟み、2020年代に乏しい増加を見せたものの、2023年には97,400トンと劇的に減少しています。この変動の背景には、気候変動、政策変更、農業技術の進展不足などが関与している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 97,400
-62.1% ↓
2022年 257,022
-9.07% ↓
2021年 282,655
-14.43% ↓
2020年 330,331
-1.5% ↓
2019年 335,353
-4.03% ↓
2018年 349,431
-12.64% ↓
2017年 399,972
78.41% ↑
2016年 224,190
10.96% ↑
2015年 202,046
-3.09% ↓
2014年 208,494
72.49% ↑
2013年 120,876
-0.08% ↓
2012年 120,972
8.75% ↑
2011年 111,241
-59.14% ↓
2010年 272,230
5.67% ↑
2009年 257,623
-24.2% ↓
2008年 339,850
-20.79% ↓
2007年 429,065
2.68% ↑
2006年 417,860
4.02% ↑
2005年 401,729
-33.05% ↓
2004年 600,000
50.34% ↑
2003年 399,103
-35.61% ↓
2002年 619,860
1.24% ↑
2001年 612,248
0.95% ↑
2000年 606,516
6.9% ↑
1999年 567,362
3.7% ↑
1998年 547,117
83.33% ↑
1997年 298,438
-45.2% ↓
1996年 544,639
14.63% ↑
1995年 475,117
25.03% ↑
1994年 380,000
-30.98% ↓
1993年 550,554
43.69% ↑
1992年 383,147
56.39% ↑
1991年 245,000
8.89% ↑
1990年 225,000
5.97% ↑
1989年 212,330
10.99% ↑
1988年 191,300
-8.9% ↓
1987年 210,000
-9.09% ↓
1986年 231,000
38.32% ↑
1985年 167,000
-0.63% ↓
1984年 168,063
23.07% ↑
1983年 136,560
-32.51% ↓
1982年 202,355
6.5% ↑
1981年 190,000
5.56% ↑
1980年 180,000
12.5% ↑
1979年 160,000
14.29% ↑
1978年 140,000
12% ↑
1977年 125,000
25% ↑
1976年 100,000
36.99% ↑
1975年 73,000
65.91% ↑
1974年 44,000
-8.58% ↓
1973年 48,132
31.96% ↑
1972年 36,476
6.97% ↑
1971年 34,100
6.56% ↑
1970年 32,000
87.13% ↑
1969年 17,100
14.77% ↑
1968年 14,900
24.17% ↑
1967年 12,000
-55.56% ↓
1966年 27,000
-18.18% ↓
1965年 33,000
-8.33% ↓
1964年 36,000
20% ↑
1963年 30,000
7.14% ↑
1962年 28,000
55.56% ↑
1961年 18,000 -

ケニアのパイナップル生産量は1960年代から安定した成長をみせ、1970年代後半には14万トン、1980年代には20万トンを超える規模へと拡大しました。この成長は、ケニアの他の主要農産物と同様に、政府の農業振興政策や労働力豊富な農村地域の貢献に支えられていました。また、栽培地としての条件である豊富な日射量と適度な降雨量も、ケニアをパイナップル生産に適した地域に押し上げる要因でした。

1990年代において生産量はさらに加速し始め、1993年には過去最高の550,554トンを記録しました。この当時には、国内消費のみならず輸出市場も活発化し、特にヨーロッパ市場への輸出増加が顕著でした。一方で、1997年には再び顕著な生産量の減少が見られるなど、不安定な波動が生じています。これには、気象条件の変化やインフラ整備の遅れといった課題が影響していると考えられます。

2000年以降は、約60万トン近い生産水準が維持されましたが、2010年代に入ると再び減少傾向が明確化しました。2020年以降の生産量減少は特に深刻で、2023年には97,400トンと急激な低下が発生しました。この状況の背景として考えられるのは、気候変動がもたらす長期的な干ばつ、作付面積の減少、さらには農業関連の政策および投資不足です。ケニア農業を支える農民の多くが小規模経営者であるため、外的ショックに対する耐久力が低い点もこの変動の原因と考えられます。

地域の課題として、ケニアは他国、特にパイナップル輸出の競合国であるフィリピンやコスタリカと比較し、技術革新が遅れており、生産効率が依然として不十分であると言えます。例えば、最新の農業技術や肥料の使用、灌漑設備の不足が競合他国との差を広げる要因とされています。また、国内のインフラも脆弱で、採れたパイナップルを市場に輸送する過程でのロスも深刻な問題です。

今後、ケニアがこの状況を改善し、再び安定した生産量を取り戻すためには、複数の対策が必要です。第一に、気候変動への適応策として、耐乾燥性の高い品種の開発や導入を進めることが挙げられます。次に、政府や国際機関の支援を受け、農民への技術訓練や設備投資への補助を充実させるべきです。さらに、国内外の輸出市場を視野に入れたサプライチェーンの改善も重要です。例えば、食品ロスを削減するための気温管理型輸送や、パイナップル加工品の輸出を拡大する取り組みも有益です。

また、地政学的背景も無視できません。東アフリカ地域で頻発する自然災害や政治的不安のリスクが農業全般に影響を及ぼしています。加えて、漁業や森林減少と同じく、農業資源を巡る地域間での競争や紛争がパイナップル産業にも波及する可能性があります。これらのリスクを最小限にするためには、地域的な連携を重視し、隣接するタンザニアやウガンダなどと農業分野での協力をさらに深化させることが鍵となります。

結論として、ケニアのパイナップル生産量はかつての隆盛を支えた基盤を再構築するために、技術革新と政策支援の両輪が不可欠です。特に、気候変動への対応と農村地域の生活水準向上を両立させる新たなアプローチが必要です。国際機関や民間企業との協力も活用しつつ、長期的な視点での農業改革を推進すべきでしょう。