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モーリシャスのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に発表した最新のデータによると、モーリシャスのパイナップル生産量は1961年から2023年の期間で大きな変動を記録しています。1960年代の生産量は数百トンと控えめな水準でしたが、1990年代以降急激に増加しました。特に1993年、2001年、2013年は飛躍的な生産量のピークを迎えました。一方で、2017年以降は生産量が減少傾向にあり、2022年にはピーク期の半分にも満たない水準となっています。これらの変化はモーリシャスの経済や農業政策、気候の影響を受けており、未来の生産の安定に向けた課題と対策が求められています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,918
6.08% ↑
2022年 5,579
-14.79% ↓
2021年 6,547
-32.32% ↓
2020年 9,674
14.36% ↑
2019年 8,459
-15.77% ↓
2018年 10,043
14.65% ↑
2017年 8,760
-9.76% ↓
2016年 9,707
-16.99% ↓
2015年 11,694
8.4% ↑
2014年 10,788
-32.39% ↓
2013年 15,957
13.01% ↑
2012年 14,120
29.28% ↑
2011年 10,922
67.28% ↑
2010年 6,529
-26.48% ↓
2009年 8,880
38.9% ↑
2008年 6,393
-0.08% ↓
2007年 6,398
15.2% ↑
2006年 5,554
13.69% ↑
2005年 4,885
8.8% ↑
2004年 4,490
-1.58% ↓
2003年 4,562
137.98% ↑
2002年 1,917
-68.13% ↓
2001年 6,016
76.11% ↑
2000年 3,416
236.88% ↑
1999年 1,014
-30.64% ↓
1998年 1,462
-6.22% ↓
1997年 1,559
-47.56% ↓
1996年 2,973
-29.2% ↓
1995年 4,199
8.03% ↑
1994年 3,887
-3.98% ↓
1993年 4,048
76% ↑
1992年 2,300
55.41% ↑
1991年 1,480
9.23% ↑
1990年 1,355
-12.01% ↓
1989年 1,540
5.12% ↑
1988年 1,465
44.33% ↑
1987年 1,015
3.57% ↑
1986年 980
24.05% ↑
1985年 790
47.66% ↑
1984年 535
25.88% ↑
1983年 425
-20.56% ↓
1982年 535
12.39% ↑
1981年 476
84.5% ↑
1980年 258
-42.92% ↓
1979年 452
-16.61% ↓
1978年 542
-10.71% ↓
1977年 607
-11.64% ↓
1976年 687
-4.58% ↓
1975年 720
-31.82% ↓
1974年 1,056
56.91% ↑
1973年 673
62.17% ↑
1972年 415
-49.08% ↓
1971年 815
49.54% ↑
1970年 545
-18.66% ↓
1969年 670
0.6% ↑
1968年 666
35.64% ↑
1967年 491
14.72% ↑
1966年 428
39.87% ↑
1965年 306
-25.91% ↓
1964年 413
-1.67% ↓
1963年 420
113.2% ↑
1962年 197
-3.9% ↓
1961年 205 -

モーリシャスのパイナップル生産量は、1961年から2023年までの約60年間で劇的な変動を示しており、複合的な要因がこの動態を形作っています。初期の1960年代では、年平均400トン未満の小規模な生産が続いていました。当時、輸出市場よりも国内での消費が中心であり、農業の生産効率も低いものでした。その後、1970年代から1980年代にかけて、生産量は徐々に増加。これには国内の農業手法の近代化や外需拡大が寄与したと考えられます。特に1980年代後半から1990年代の急増は、パイナップルの輸出が国の主要産品の一つとなり始めた影響を受けており、この間の生産量は一時4000トンを超える年も見られました。

1990年代後半から2000年にかけては生産量が波を打ちながら推移したものの、2001年には約6000トン、さらには2009年、2012年、2013年と三度のピークを迎えるなど、成長産業としての勢いが見られました。特に2013年の15,957トンという数値は、モーリシャスの歴史的な最高生産量であり、この時期にはヨーロッパ市場への輸出強化と、観光業向け需要の急拡大が重なったことが一因と言えます。

しかしながら、2017年以降は再び生産量が減少傾向に入り、2022年は5,579トンと、2013年の36%にまで落ち込みました。これは、多面的な課題が影響を及ぼしていると考えられます。気候変動による極端な天候の発生が作物に与えるダメージや、土地利用の競争激化による農業従事者の減少が主要な要因です。また、グローバル市場におけるパイナップルの価格変動や、競争力の高い他国、特にフィリピンやコスタリカなどの生産大国とのシェア争いで不利な立場に立たされたことも要因の一つです。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響も指摘されます。2020年以降、物流網の混乱や観光業の停滞により、パイナップルの輸出と需要が減少しました。この要因は2023年時点でも完全には解消されておらず、モーリシャス農業への回復の遅れが懸念されています。

産業としての未来を考えると、以下のような課題への対応が急務です。まず、気候変動への適応が不可欠です。耐乾燥性の高い新品種の開発や、水資源管理体制の強化がポイントとなります。また、土地の活用効率を向上させるため、技術援助や機械化を導入して生産性を向上させることが求められます。さらに、国内市場のみならず、持続可能で競争力の高い輸出産業へと転換するため、政府がサプライチェーンの強化と輸出政策の優遇を図ることが重要です。

国際的な支援や地域間協力も欠かせません。例えば、アフリカ諸国間での農業技術の共有や、ヨーロッパや中東など新しい市場への輸出ルートの開拓が望ましいです。そして、農家を支援するための教育プログラムや資格制度の拡充により、若い世代の従事者の確保を進めることが必要です。合わせて、観光産業との連携も効果が期待されます。パイナップル関連のイベントや体験型アグリツーリズムの推進は、海外からの認知度向上や付加価値創出に寄与するでしょう。

結論として、モーリシャスのパイナップル生産は歴史的に浮き沈みの激しい産業である一方、国内外での需要が堅実である限り、大きな成長のポテンシャルを秘めています。モーリシャス政府は、気候変動対策の強化や国際協力の推進、農業従事者への支援を通じて、持続可能な農業モデルの確立に向けて動くことが期待されています。これによって、同国経済と地域住民の暮らしにポジティブな影響をもたらすことができるでしょう。