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ベリーズのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ベリーズのパイナップル生産量は近年大幅な増加を見せています。2021年以降は4,000トンを超え、2023年には4,258トンを記録しました。一方で、1990年代から2000年代初期の生産量は不安定で、大きな増減が見られていましたが、2015年後からは比較的安定的な増加傾向が観察されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,258
1.19% ↑
2022年 4,208
-5.25% ↓
2021年 4,441
16.01% ↑
2020年 3,828
6.78% ↑
2019年 3,585
19.58% ↑
2018年 2,998
59.21% ↑
2017年 1,883
32.23% ↑
2016年 1,424
-62.31% ↓
2015年 3,778
171.21% ↑
2014年 1,393
7.4% ↑
2013年 1,297
9.18% ↑
2012年 1,188
-19.29% ↓
2011年 1,472
-36.19% ↓
2010年 2,307
96.01% ↑
2009年 1,177
23.5% ↑
2008年 953
-58.13% ↓
2007年 2,276
58.72% ↑
2006年 1,434
-36.29% ↓
2005年 2,251
4.26% ↑
2004年 2,159
30.22% ↑
2003年 1,658
-13.15% ↓
2002年 1,909
-5.87% ↓
2001年 2,028
-7.9% ↓
2000年 2,202
40.79% ↑
1999年 1,564
69.45% ↑
1998年 923
-39.08% ↓
1997年 1,515
-6.13% ↓
1996年 1,614
7.6% ↑
1995年 1,500
3.31% ↑
1994年 1,452
-37.55% ↓
1993年 2,325
26.22% ↑
1992年 1,842
75.26% ↑
1991年 1,051
63.2% ↑
1990年 644
-65.89% ↓
1989年 1,888 -

ベリーズのパイナップル生産は、1989年の1,888トンを皮切りに、その後の10年間で大きな変動を続けました。1990年に記録的な低水準である644トンにまで減少しましたが、その後1990年代後半に向けて1,500トン前後に回復し、2000年には2,202トンを記録しました。この変動は、気候変動や農業インフラの制約、さらには国際市場の需要と価格変動の影響を受けた可能性があります。また、小規模な農家が中心となるベリーズの農業構造において、干ばつ、洪水、害虫被害などの自然災害が生産量の揺らぎを引き起こしたとも考えられます。

2015年以降は大きな転換期を迎え、特に2015年には3,778トンと過去に例を見ない伸びを記録しました。これは、ベリーズ政府が農業支援政策を強化し、作付面積の増加や灌漑設備の導入を推進した結果だと考えられます。また、輸出市場の開拓による需要増加も生産量増加に寄与しました。その後も年々生産量は増加し、2020年には3,828トンを達成し、2021年以降は4,000トンを超える高水準を保っています。

しかし、今後の課題として、地球温暖化による気候リスクが挙げられます。ベリーズのような熱帯地域では、降雨パターンの変化や気温上昇がパイナップルの生育に影響を及ぼす可能性が高いです。また、世界的な環境政策の中で農薬や化学肥料の使用が制限されることに伴い、生産技術の革新が急務となるでしょう。このような中、持続可能な農法への移行が求められ、政府だけでなく国際開発機関や民間セクターとの協力が鍵となります。

さらに、ベリーズのパイナップル産業は輸出依存度の高さも特徴的です。他国の輸入規制や国際市場の価格変動が収益に直結するため、輸出先の多様化が重要です。例えば、現在主に中南米諸国やアメリカ市場に依存している状況を脱却し、アジア市場、特に日本や中国への拡大を図ることは戦略的に価値があるでしょう。こうした市場拡大に伴い、品質基準の向上や付加価値商品の開発が競争力を強化するうえで必要です。

地政学的背景にも注目する必要があります。中南米地域では土地問題や治安問題が農業従事者に影響を与える可能性があります。これらの社会問題は労働力確保の困難さにもつながり、生産効率にも影響を与えるでしょう。そのため、地域的な紛争回避や労働者の権益を守る政策が中長期的な課題となります。

最終的に、ベリーズのパイナップル産業は収益性の確保と持続可能性の両立を目指す必要があります。国や農家が共同で、自然災害リスクへの備えや持続可能な農法の普及を進めるほか、国際市場の変化に対応するためのマーケティング戦略の強化が不可欠となります。これにより、世界市場における競争力を高めると同時に、国内の農業経済を安定させることができるでしょう。