Skip to main content

マダガスカルのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、マダガスカルのパイナップル生産量は1961年の6,000トンから2023年の87,687トンへと大幅に増加しました。この60年以上の間で、生産量は大きな変動を経つつも、成長傾向をたどってきました。特に1970年代、1980年代、そして2010年代以降の生産量の伸びが顕著です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 87,687
-1.06% ↓
2022年 88,623
-1.12% ↓
2021年 89,623
1.09% ↑
2020年 88,658
1.22% ↑
2019年 87,588
3.07% ↑
2018年 84,983
0.17% ↑
2017年 84,839
1.67% ↑
2016年 83,446
-6.45% ↓
2015年 89,202
9.94% ↑
2014年 81,137
1.42% ↑
2013年 80,000
-1.23% ↓
2012年 81,000
8.27% ↑
2011年 74,816
6.88% ↑
2010年 70,000
-2.78% ↓
2009年 72,000
20% ↑
2008年 60,000
12.15% ↑
2007年 53,500
2.88% ↑
2006年 52,000
0.33% ↑
2005年 51,828
0.26% ↑
2004年 51,695
-0.63% ↓
2003年 52,021
0.47% ↑
2002年 51,779
0.63% ↑
2001年 51,457
0.9% ↑
2000年 51,000
-1.92% ↓
1999年 52,000
0.86% ↑
1998年 51,556
1.09% ↑
1997年 51,000
2% ↑
1996年 50,000
2.04% ↑
1995年 49,000
2.08% ↑
1994年 48,000
-4.57% ↓
1993年 50,300
0.2% ↑
1992年 50,200
0.2% ↑
1991年 50,100 -
1990年 50,100
0.14% ↑
1989年 50,030
-0.14% ↓
1988年 50,100
-1.38% ↓
1987年 50,800
0.29% ↑
1986年 50,655
-0.46% ↓
1985年 50,890
0.37% ↑
1984年 50,700
0.43% ↑
1983年 50,485
3.93% ↑
1982年 48,575
4.29% ↑
1981年 46,575
-12.98% ↓
1980年 53,520
10.59% ↑
1979年 48,395
3.7% ↑
1978年 46,670
14.85% ↑
1977年 40,635
5.45% ↑
1976年 38,535
-47.83% ↓
1975年 73,865
35.3% ↑
1974年 54,592
15.69% ↑
1973年 47,189
-0.97% ↓
1972年 47,650
3.62% ↑
1971年 45,985
29.57% ↑
1970年 35,490
1.07% ↑
1969年 35,115
-2.46% ↓
1968年 36,000
-5.9% ↓
1967年 38,256
378.2% ↑
1966年 8,000
14.29% ↑
1965年 7,000 -
1964年 7,000 -
1963年 7,000 -
1962年 7,000
16.67% ↑
1961年 6,000 -

マダガスカルのパイナップル生産量推移は、同国の農業の発展や地政学的背景、また世界の需要動向と密接に関わっています。1961年から開始されたデータは、最初はわずか6,000トンでしたが、1967年に38,256トン、1975年には73,865トンと大幅に成長しました。しかし、その後は1976年の38,535トンまで大きく減少し、その後の2~3年で再び徐々に回復しています。このような急激な増減については、当時の農業政策の変化や技術革新、また気候条件の影響が考えられます。

1980年代以降は比較的安定期に入り、50,000トン前後の生産量が続きました。この時期の安定には、インフラ整備や国際市場への一定の供給が確保されたことが背景にあると考えられます。ただし、1990年代後半から2000年代前半までの間には、再び微増または横ばいの傾向が見られています。これは世界市場での競争激化や、他の大規模生産国(例えばブラジルやフィリピン)との生産効率の格差が影響している可能性があります。

2010年代に入ると、パイナップル生産量は再び顕著な増加を見せ、2011年以降、多くの年で70,000トンを超える水準に達しました。この成長の要因の一つに、世界的な健康志向のトレンドの高まりに伴うパイナップルの需要増加が挙げられます。パイナップルはビタミンCを多く含む果物として知られ、消費国において加工品や生鮮果実の需要が増えたことで、輸出が生産の主な推進力となったと考えられます。

しかしながら、2022年および2023年には、再びわずかに減少が見られました。この減少は、気候変動による天候の不安定化や新型コロナウイルス感染症の影響で農業従事者や貿易に支障が出たことが要因の一部とされています。また、地政学的には、輸送コストの上昇や世界的な経済リセッション(景気後退)の影響も無視できない要因です。

現在の課題は、生産量のさらなる安定化と、競争力の強化にあります。同時に、気候変動による長期的なリスクへの対応が必要不可欠です。具体的には、新たな栽培手法の導入や、気候に強いパイナップルの品種改良を進めることが重要です。また、国内市場だけでなく、アジアやヨーロッパ、アメリカなどの潜在需要が期待される地域への輸出路拡大も求められます。他国と比較すると、ブラジルやフィリピンが世界のトップ生産国である中、マダガスカルのシェア向上には特化したブランド化や加工品の拡充が有効です。

さらに、国際機関や近隣諸国との協力を強化することが、今後の持続可能な発展において不可欠となります。例えば、地域間での農業研究交流や気候リスクへの共同対策が挙げられます。同国の農業従事者への教育や機械化支援も、生産効率の向上と若年層の参入促進に貢献すると考えられます。

結論として、マダガスカルのパイナップル生産は、過去数十年にわたり大きな波を描きつつも、全般的にはプラスの成長軌道を描いてきました。一方で、気候や市場動向といった内外の不確実性に対処するためには、政策的および技術的な側面での多面的なアプローチが求められます。長期的には、持続可能な農業を基盤に、国際的な競争力を高めることが同国の経済成長にも寄与するでしょう。