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フランス領ポリネシアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、フランス領ポリネシアにおけるパイナップルの生産量は、1961年のわずか750トンから1980年代後半〜1990年代初頭にかけて大幅に増加し、1991年には6,285トンのピークを迎えました。その後、全体的には減少傾向に転じ、近年は年間4,000トン台で推移しています。しかし、2023年には3,296トンと直近5年間の平均生産量を下回る結果となっており、この減少が今後の課題として注目されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,296
-25.92% ↓
2022年 4,450
0.72% ↑
2021年 4,418
0.72% ↑
2020年 4,386
1.5% ↑
2019年 4,321
-2.77% ↓
2018年 4,444
0.41% ↑
2017年 4,426
2.45% ↑
2016年 4,321
-3.1% ↓
2015年 4,459
-0.92% ↓
2014年 4,500
4.65% ↑
2013年 4,300
-2.91% ↓
2012年 4,429
3.46% ↑
2011年 4,281
1.04% ↑
2010年 4,237
4.57% ↑
2009年 4,052
0.95% ↑
2008年 4,014
39.67% ↑
2007年 2,874
6.29% ↑
2006年 2,704
-37.78% ↓
2005年 4,346
10.56% ↑
2004年 3,931
14.91% ↑
2003年 3,421
-2.67% ↓
2002年 3,515
0.25% ↑
2001年 3,506
0.17% ↑
2000年 3,500
-5.61% ↓
1999年 3,708
22.54% ↑
1998年 3,026
-12.44% ↓
1997年 3,456
1.89% ↑
1996年 3,392
1.16% ↑
1995年 3,353
0.51% ↑
1994年 3,336
-17.89% ↓
1993年 4,063
-10.74% ↓
1992年 4,552
-27.57% ↓
1991年 6,285
23.24% ↑
1990年 5,100
4.81% ↑
1989年 4,866
33.17% ↑
1988年 3,654
57.77% ↑
1987年 2,316
0.56% ↑
1986年 2,303
-2.12% ↓
1985年 2,353
-12.95% ↓
1984年 2,703
43.55% ↑
1983年 1,883
53.71% ↑
1982年 1,225
6.71% ↑
1981年 1,148
-1.03% ↓
1980年 1,160
-26.54% ↓
1979年 1,579
22.02% ↑
1978年 1,294
22.54% ↑
1977年 1,056
-2.13% ↓
1976年 1,079
-4.6% ↓
1975年 1,131
15.76% ↑
1974年 977
28.55% ↑
1973年 760
40.22% ↑
1972年 542
69.38% ↑
1971年 320
-46.67% ↓
1970年 600
20% ↑
1969年 500 -
1968年 500
25% ↑
1967年 400 -
1966年 400
14.29% ↑
1965年 350
6.06% ↑
1964年 330
10% ↑
1963年 300
-61.54% ↓
1962年 780
4% ↑
1961年 750 -

1961年から2023年までのフランス領ポリネシアのパイナップル生産量データを見ると、生産量は大きく3つのフェーズに分けて分析できます。まず、1960年代から1970年代前半にかけては、生産が安定せず波があり、特に1963年には300トンまで下落する一方で、1975年以降は1,000トン以上に到達する成長も見られます。この期間は、技術の不足や生産地域の制約が要因と考えられます。当時のフランス領ポリネシアでは、農業技術や輸送インフラの整備が発展途上にあり、パイナップル栽培が安定していませんでした。

次に、1978年から1991年にかけては、生産が急激に増加しています。特に1988年から1991年にかけての伸びは顕著で、1991年には過去最高の6,285トンを記録しました。この時期の背景には、技術革新や市場の需要拡大が挙げられます。パイナップルはフランス本国や他のヨーロッパ市場への輸出作物として期待され、生産支援のための政策やインフラの整備が進められました。

1990年代以降は、生産量が概して減少に転じました。この原因として、国際市場での競争激化が挙げられます。他の熱帯地域、特にフィリピンやコスタリカなどの生産効率が高い国々が輸出市場を席巻し、フランス領ポリネシアのパイナップル産業は競争力を失いつつあります。また、地元農家の老齢化や若年層の農業離れも、生産量の減少を促進している要因です。

直近のデータを見ると、2010年以降は年間4,000トンを超える安定した生産が続いていますが、2023年には3,296トンと急激に減少しました。この要因として、新型コロナウイルス感染症による経済停滞が関係している可能性があります。パンデミックにより農業労働者の確保が困難になったり、輸出市場が縮小したりする影響を受けたと考えられます。さらに、近年の気候変動の影響で、洪水や異常気象などが生産現場に直接的な影響を及ぼした可能性も考えられます。

今後、この地域のパイナップル生産が再び成長軌道を描くには、いくつかの課題を解決する必要があります。まず、競争力の向上が求められます。生産効率を上げるために、より先進的な農業技術を取り入れたり、気候変動に強い作物の品種改良を行ったりする必要があります。また、地元若年層の関心を引きつけるために、農業教育や補助金制度を通じて農業参入を後押しすることが重要です。加えて、輸送コストの削減や輸出市場の多様化を進めることで、国際市場での競争力を取り戻す必要があります。

さらに、地政学的背景による影響も考慮する必要があります。フランス領ポリネシアは太平洋地域の一部として、中国やアメリカといった大国の影響を受けやすい位置にあります。このエリアの地政学的不安定が貿易や投資を妨げる可能性もあるため、地域間の協力体制を強化し、安定した輸出環境を整えることが不可欠です。

結論として、フランス領ポリネシアのパイナップル生産量の推移は、その地域固有の課題や地政学的要素と密接に関連しています。農業技術の向上や若年労働力の確保、輸出市場の多様化を通じて持続可能な発展を目指すとともに、地域間協力を通じて安定した経済状況を確保することが求められるでしょう。この取り組みは、地域の農業だけでなく全体の経済発展にも寄与するものです。