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東ティモールのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、東ティモールのパイナップル生産量は1990年代前半に一度大幅に増加したものの、その後は急激に減少しました。2000年代初頭から生産量は毎年ほとんど変化がなく安定していましたが、2010年以降やや増減を見せています。現在(2023年時点)では136トンにとどまっています。これは国際的に見ても非常に小規模な生産量であり、東ティモールにとっては今後発展の余地があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 136
-0.64% ↓
2022年 136
1.59% ↑
2021年 134
-1.22% ↓
2020年 136
-2.21% ↓
2019年 139
8.7% ↑
2018年 128
-9.25% ↓
2017年 141
-4.91% ↓
2016年 148
56.76% ↑
2015年 95
-47.49% ↓
2014年 180
5.88% ↑
2013年 170
3.03% ↑
2012年 165
65.9% ↑
2011年 99
-28.96% ↓
2010年 140
32.08% ↑
2009年 106
0.28% ↑
2008年 106
5.7% ↑
2007年 100 -
2006年 100 -
2005年 100 -
2004年 100 -
2003年 100 -
2002年 100 -
2001年 100
100% ↑
2000年 50
354.55% ↑
1999年 11
-85.53% ↓
1998年 76
-46.1% ↓
1997年 141
-43.6% ↓
1996年 250
0.81% ↑
1995年 248
-91.26% ↓
1994年 2,836
1250.48% ↑
1993年 210 -

東ティモールのパイナップル生産量を時系列で見ると、1993年の210トンから1994年には2836トンと記録的な生産量を達成したものの、その後1995年以降は急激に減少しました。そして1999年には11トンまで縮小し、2000年代初めにようやく年間50~100トンの安定した数値を記録するようになりました。このような変動の背景には、1999年に独立紛争を経て国として再建の道を歩んだ地政学的要因が影響を与えたと考えられます。この独立闘争により農業インフラが著しく損なわれ、生産が一時停止や縮小を余儀なくされた結果です。

また、2000年代半ばから2010年代にかけては、パイナップルの生産量が概ね100トン前後で停滞していました。しかし2010年以降、140~170トンの範囲でわずかな増加傾向を見せました。これは農業政策の調整や地域の農産品需要の変化による影響である可能性があります。一方で2015年には再び95トンに下がるなど、依然として不安定さが残っています。その後の2020年代では、136トン前後で横ばいとなっており、大規模な変動は見られなくなりました。

この数値を基にすると、東ティモールのパイナップル生産は地域の潜在的供給力を十分に活用できているとは言い難い状況です。東ティモールは農業人口が多く、熱帯気候であることからパイナップル栽培に適した条件を備えていますが、経済基盤の弱さや農業技術の遅れ、インフラ整備の不足が生産効率を低下させています。また、気候変動や世界市場の需要変化も、将来的な課題として考えられるでしょう。

他国と比較すると、例えばフィリピンやタイではパイナップルが重要な輸出品となっており、年間で数百万トンの生産量を誇っています。一方で東ティモールの生産量はこれらの国々に比べて極めて小規模で、国内消費をまかなう最低限の自給自足レベルにとどまっています。この差を埋めるためには、農業教育の強化、効率的な灌漑システムの導入、および地元・国際市場への流通ネットワークの構築が重要です。

特に、2020年前後に世界的に広がった新型コロナウイルス感染症は、東ティモールにおいても農産物流通に影響を与えた可能性があります。物流の停滞や市場アクセスの制限が生じたことで、生産にせよ貿易にせよ、大きな成長を見せることが難しい状況に陥ったと思われます。

今後、東ティモールがパイナップル産業の発展を目指すのであれば、持続可能な農業の実践、地域間協力を基にした生産者支援の枠組み策定、そして海外投資の誘致が必要です。加えて、農村地域の機械化を進めることで生産性を向上させることも重要でしょう。具体的には、輸出規模拡大を見据えた生産モデルを導入し、アジア全体での農産物競争力を高める努力も求められます。

結論として、東ティモールのパイナップル生産の歴史は、同国の近現代史や社会動向をそのまま映し出す鏡とも言えます。しかし、地理的条件や気候に恵まれていることを考えると、農業振興を通じた経済発展の可能性は十分に存在します。国際機関や援助団体、近隣諸国との協調を深めながら、適切な政策を講じていくことが求められるでしょう。