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ギニアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによると、ギニアのパイナップル生産量は1960年代から一貫した増加傾向を見せ、2000年代初頭には10万トンを突破しました。しかし、2017年以降、全体的に生産量が減少し、2023年の生産量は74,175トンとなっています。これは2016年に記録した133,558トンを大きく下回ります。この背景には、農業インフラの不足、気候変動、地域の経済的・政治的課題などが関与していると考えられます。一方で、2020年以降は徐々に回復の兆しも見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 74,175
3.83% ↑
2022年 71,437
3.7% ↑
2021年 68,887
3.7% ↑
2020年 66,428
3.7% ↑
2019年 64,057
-24.36% ↓
2018年 84,690
-23.45% ↓
2017年 110,637
-17.16% ↓
2016年 133,558
1.57% ↑
2015年 131,497
1.31% ↑
2014年 129,801
2.37% ↑
2013年 126,798
3.01% ↑
2012年 123,089
3.79% ↑
2011年 118,600
3.93% ↑
2010年 114,113
5.66% ↑
2009年 108,000
-0.92% ↓
2008年 109,000
0.93% ↑
2007年 108,000
0.93% ↑
2006年 107,000
0.94% ↑
2005年 106,000
-0.93% ↓
2004年 107,000
1.9% ↑
2003年 105,000
2.98% ↑
2002年 101,961
19.95% ↑
2001年 85,000
18.88% ↑
2000年 71,500
-3.05% ↓
1999年 73,750
2.63% ↑
1998年 71,858
7.25% ↑
1997年 67,000
3.08% ↑
1996年 65,000
-3.48% ↓
1995年 67,346
0.37% ↑
1994年 67,098
16.58% ↑
1993年 57,553
1% ↑
1992年 56,984
17.83% ↑
1991年 48,360
-5.31% ↓
1990年 51,072
1.01% ↑
1989年 50,563
7.73% ↑
1988年 46,935
-6.13% ↓
1987年 50,000 -
1986年 50,000
25% ↑
1985年 40,000
33.33% ↑
1984年 30,000
66.67% ↑
1983年 18,000
2.86% ↑
1982年 17,500
2.94% ↑
1981年 17,000
3.03% ↑
1980年 16,500
3.13% ↑
1979年 16,000
3.23% ↑
1978年 15,500
3.33% ↑
1977年 15,000 -
1976年 15,000
-6.25% ↓
1975年 16,000
-5.88% ↓
1974年 17,000
-5.56% ↓
1973年 18,000
-28% ↓
1972年 25,000
8.7% ↑
1971年 23,000 -
1970年 23,000
9.52% ↑
1969年 21,000
16.67% ↑
1968年 18,000
12.5% ↑
1967年 16,000
6.67% ↑
1966年 15,000
15.38% ↑
1965年 13,000
18.18% ↑
1964年 11,000 -
1963年 11,000
-8.33% ↓
1962年 12,000
9.09% ↑
1961年 11,000 -

ギニアにおけるパイナップル生産は、1961年の11,000トンから始まり、その後、ゆっくりとした増加を見せてきました。特に1980年代に入ると飛躍的な成長が確認され、1984年の30,000トンから1986年には50,000トンへと短期間で急増しました。この伸びの要因として、農業技術の導入と輸出市場への積極的な参入が挙げられます。さらに1990年代以降も成長は続き、2002年には100,000トンを超える規模に達し、農業分野での重要な収益源となりました。

しかし、2017年以降のデータを見ると、急激に生産量が減少していることが特徴的です。この背景にはいくつかの理由があります。まず、気候変動の影響が考えられます。近年、ギニアを含む西アフリカ地域では異常気象の発生頻度が増加しており、これが農作物の生産に深刻な影響を及ぼした可能性があります。また、2014年から2016年の西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行やその後の経済停滞が、農業従事者の減少や農業インフラの劣化に結びついたことも要因の一つと考えられます。さらに、ギニア国内の政治的不安定さやインフラの老朽化も、持続的な農業生産の妨げとなっています。

注目すべき点として、2020年以降のデータを見ると、2020年の66,428トンから2023年の74,175トンへと回復傾向にあることが挙げられます。これは、ギニア政府による農業政策の改善や国際機関からの支援が一部成果を上げた結果と考えられます。具体的には土壌改良プログラムや灌漑技術の導入が進められ、農家の技術力向上にも寄与しています。ただし、この回復ペースが十分であるとは言えず、全盛期の水準にはまだ到達していません。

今後の課題としては、生産性向上のための農業技術やインフラ整備の強化が挙げられます。例えば、気候変動への抵抗力を強化するための耐久性のある農作物品種の導入や、灌漑システムの近代化が重要です。また、持続可能な生産を目指すため、農業技術者の育成や地域の協力体制の構築が必要です。さらに、輸出市場での競争力を維持することを目的として、パイナップルの付加価値を高める加工業や輸送インフラの整備も欠かせません。

政治的不安定さや地域衝突の影響も無視できません。政府が安定した土地所有や農業従事者への支援を保証しない限り、農業生産が再び停滞するリスクは高いです。また、地域間協力枠組みを構築し、近隣諸国との連携を強化することも重要でしょう。西アフリカ全体での農業市場の拡大に伴い、ギニアがその主役を担う可能性もありますが、それには国際的な支援が必要です。

結論として、ギニアのパイナップル生産は過去において持続的に成長してきたものの、近年は気候変動や社会的問題による停滞が観察されています。ただし、現在の回復の兆しを活かし、効率的かつ持続可能な農業の実現に向けた取り組みを進めることで、再び成長軌道に乗る可能性が十分にあります。これを実現するには、政府主導でのインフラ整備や国際協力、持続可能な技術導入が鍵となるでしょう。