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フランスのキノコ・トリュフ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、フランスのキノコ・トリュフ生産量は1960年代から1970年代にかけて急激に増加し、1980年代以降ピークを迎えた後、2005年頃から減少傾向にあります。2023年には94,550トンと、全盛期だった1990年代と比較すると約50%減少しました。一方で、近年では気象条件の変動や地政学的要因が生産量への影響を増大させています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 94,550
-7.12% ↓
2022年 101,800
-17.47% ↓
2021年 123,350
-6.66% ↓
2020年 132,150
50.93% ↑
2019年 87,560
5.52% ↑
2018年 82,980
-3.7% ↓
2017年 86,165
-13.76% ↓
2016年 99,914
-1.21% ↓
2015年 101,135
-6.93% ↓
2014年 108,671
4.03% ↑
2013年 104,461
-10.41% ↓
2012年 116,602
0.78% ↑
2011年 115,696
-3.08% ↓
2010年 119,373
4.66% ↑
2009年 114,054
-17.82% ↓
2008年 138,783
5.28% ↑
2007年 131,825
13.77% ↑
2006年 115,869
-16.37% ↓
2005年 138,541
-16.29% ↓
2004年 165,498
-2.52% ↓
2003年 169,770
-3.17% ↓
2002年 175,325
-10.49% ↓
2001年 195,866
-3.92% ↓
2000年 203,861
-1.84% ↓
1999年 207,687
4.4% ↑
1998年 198,934
-8.28% ↓
1997年 216,902
-4.92% ↓
1996年 228,131
27.96% ↑
1995年 178,279
-3.15% ↓
1994年 184,086
-6.32% ↓
1993年 196,507
-6.53% ↓
1992年 210,231
-0.19% ↓
1991年 210,622
7.62% ↑
1990年 195,700
0.57% ↑
1989年 194,600
-0.28% ↓
1988年 195,138
8.41% ↑
1987年 180,000
5.88% ↑
1986年 170,000
-0.58% ↓
1985年 171,000
-7.97% ↓
1984年 185,800
12.61% ↑
1983年 165,000
7.84% ↑
1982年 153,000
-5.44% ↓
1981年 161,800
6.29% ↑
1980年 152,224
1.44% ↑
1979年 150,060
17.84% ↑
1978年 127,340
4.69% ↑
1977年 121,632
-3.16% ↓
1976年 125,606
-1.1% ↓
1975年 127,000
-1.24% ↓
1974年 128,600
12.64% ↑
1973年 114,170
8.19% ↑
1972年 105,530
33.96% ↑
1971年 78,777
13.23% ↑
1970年 69,574
9.02% ↑
1969年 63,815
1.79% ↑
1968年 62,692
-2.88% ↓
1967年 64,553
18.33% ↑
1966年 54,555
9.56% ↑
1965年 49,794
7.94% ↑
1964年 46,130
13.14% ↑
1963年 40,774
18.43% ↑
1962年 34,428
6.45% ↑
1961年 32,342 -

1960年代から1970年代にかけてフランスのキノコ・トリュフ生産量は、農業技術の発展と農地面積の拡大を背景に順調に成長しました。特に1970年代には、生産量が150,000トンを超える年も多く見られ、1974年には128,600トン、1980年には最高値の161,800トンを記録しました。この時期はフランスがトリュフの世界的な主要生産国であることを示すものであり、輸出量の向上とも相まって、国内外で重要な地位を確立していました。

しかし、1990年代後半から徐々に減少の兆候が見られるようになり、2005年を境に生産量は顕著に低下しました。この背景にはいくつかの要因があります。まず主な要因としては気候変動の影響が挙げられます。フランスでは近年、夏季の異常な高温や降水量の減少が散見され、これがトリュフの栽培や生産に悪影響を及ぼしていると考えられます。特に乾燥した環境ではトリュフ菌の生育が抑制されるため、年間収穫量が大きく左右されやすい状況にあります。

また、農地の使い方が変化し、都市化や工業化が進むにつれて、トリュフ栽培に適した土地が減少したことも要素の一つと考えられます。さらに、トリュフの規模の小さい生産者が高齢化によって廃業するケースが増え、人手不足もより深刻な課題となっています。他方、地政学的リスクとして、特に最近の世界的な物流危機により農業関連資材や肥料の供給が滞る事態も影響を及ぼしています。

一方で、2020年には例外的に132,150トンと生産量が一時的に増加しました。この増加は、新型コロナウイルス感染症の影響により食料品に対する需要が高まったことや、農業部門で意識的な対応が取られたためとも考えられます。しかしながら、これは持続可能な増加ではなく、2021年以降は再び下降傾向に戻っています。

フランスがトリュフ生産量の停滞を打破するには、いくつかの課題克服と戦略的な施策が必要です。まず、小規模農家への支援を拡充し、彼らの生産活動を継続可能にすることが重要です。このためには、補助金や技術指導の提供、または新規農業従事者を確保するためのインセンティブ施策が有効です。次に、気候変動に適応するために、耐乾燥性の高いトリュフの栽培技術や新しい農業手法を導入し、土地利用を最適化することが挙げられます。さらに、国際的な協力やデータ共有を進め、トリュフ栽培のグローバルネットワークを活用することも鍵となるでしょう。

また、地政学的リスクについても深掘りする必要があります。近年の物流危機の解決に向けた国際的な調整や、国内供給チェーンの強化を図ることが不可欠です。これにより、農業資材の安定供給と効率的な生産プロセスを確立できます。

結論として、フランスのトリュフ生産量がピーク時に迫る水準まで回復するには、持続的な農業施策、気候適応技術、国際的な連携が必要です。上述の具体的対策を講じることで、フランスは再び世界的なトリュフ生産と輸出のリーダーとしての地位を築く可能性を持っています。国際機関やフランス政府、さらには地域コミュニティが一体となり、この貴重な食材の未来を守る取り組みを進めるべきでしょう。