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フランスのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新発表したフランスのオリーブ油生産量データによると、フランスでは1961年から2021年にかけて生産量が大幅な変動を見せています。初期の生産量は148トンの規模でしたが、その後徐々に増加傾向を見せ、近年ではピーク時に6,600トン(2009年)に達しました。ただし、近年のデータを見ると年ごとの変動が依然大きく、2020年は3,800トン、2021年は4,500トンと前年から回復している傾向が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 4,500
18.42% ↑
2020年 3,800
-33.33% ↓
2019年 5,700
-3.39% ↓
2018年 5,900
73.53% ↑
2017年 3,400
-24.44% ↓
2016年 4,500
114.29% ↑
2015年 2,100
5% ↑
2014年 2,000
-58.33% ↓
2013年 4,800 -
2012年 4,800
50% ↑
2011年 3,200
-42.86% ↓
2010年 5,600
-15.15% ↓
2009年 6,600
20% ↑
2008年 5,500
48.65% ↑
2007年 3,700
-9.76% ↓
2006年 4,100
-16.33% ↓
2005年 4,900
44.12% ↑
2004年 3,400
-19.05% ↓
2003年 4,200
16.67% ↑
2002年 3,600
12.5% ↑
2001年 3,200
14.29% ↑
2000年 2,800
3.7% ↑
1999年 2,700
-6.9% ↓
1998年 2,900
11.54% ↑
1997年 2,600
8.33% ↑
1996年 2,400
4.35% ↑
1995年 2,300
16.75% ↑
1994年 1,970
23.13% ↑
1993年 1,600
-44.83% ↓
1992年 2,900
52.63% ↑
1991年 1,900
11.76% ↑
1990年 1,700
-10.53% ↓
1989年 1,900
58.33% ↑
1988年 1,200
-20% ↓
1987年 1,500
50% ↑
1986年 1,000 -
1985年 1,000
-50% ↓
1984年 2,000
33.33% ↑
1983年 1,500 -
1982年 1,500 -
1981年 1,500
-25% ↓
1980年 2,000 -
1979年 2,000
5.54% ↑
1978年 1,895
5.81% ↑
1977年 1,791
-43.63% ↓
1976年 3,177
50.57% ↑
1975年 2,110
24.12% ↑
1974年 1,700
-10.29% ↓
1973年 1,895
66.81% ↑
1972年 1,136
-64.34% ↓
1971年 3,186
541.05% ↑
1970年 497
-86.91% ↓
1969年 3,796
132.74% ↑
1968年 1,631
29.75% ↑
1967年 1,257
29.59% ↑
1966年 970
-13.62% ↓
1965年 1,123
110.69% ↑
1964年 533
-62.12% ↓
1963年 1,407
-12.28% ↓
1962年 1,604
983.78% ↑
1961年 148 -

フランスのオリーブ油生産量は、1961年の148トンという低いスタートから始まりました。その後、生産技術の発展や農業政策の改善により徐々に増加の傾向を示し、特に1990年代以降に生産量の成長がより顕著となっています。しかし、2009年の6,600トンをピークにして以降、フランスのオリーブ油生産量は年によって大きく変動する不安定な傾向が続いています。

この変動の背景には、地中海沿岸地域特有の気候変動の影響があります。近年、フランスでも異常気象や干ばつ、洪水などの自然災害が増加し、これがオリーブ栽培に直接的な影響を及ぼしています。特に2014年といった生産量が大幅に減少した年は、農業分野全般で気候的な試練が報告されています。同時に、フランスのオリーブ栽培はスペインやイタリアに比べて面積規模や機械化の度合いが小さいため、他国ほどの生産効率を確保できていないことも課題として挙げられます。

また、地政学的背景も影響に含まれます。オリーブ油市場では、フランスは主要な輸出国ではなく主に国内消費に依存していますが、この点で競争力の高いスペインやイタリアの圧倒的な輸出力によって市場の隅に追いやられています。EU農業政策の枠組み中で、フランスのオリーブ生産者は一定の補助を受けていますが、依然として他国に比べて規模拡大の伸び悩みが課題として残ります。

未来に向けた対策として、まずは気候変動リスクへの適応が重要です。これには耐乾燥性の強いオリーブ品種の採用や、灌漑システムの整備といった具体的な技術的投資が含まれます。また、オリーブ油の付加価値を高めるプロモーションを国内外で行い、生産者が高品質のオリーブ油を生産できるような教育・トレーニング制度を拡充することも重要です。さらに、EU内での協力を生かしてフランス独自のオリーブ油ブランドを築く取り組みが、他国からの輸入品との差別化と国内需給の安定化に寄与するでしょう。

いまやフランスでもオリーブ油の需要は高水準を維持しており、地中海料理の普及や健康志向の高まりによって市場規模が拡大しています。この機会を捉え、持続可能で効率的な生産体制を整えることは、産業全体の発展だけでなく、地元農業コミュニティの強化にもつながります。

結論として、フランスのオリーブ油生産量は過去60年間で増加しましたが、その成長は自然環境や市場競争の影響を大きく受ける状況にあります。ただし、適切な政策と技術革新により、効率的かつ持続可能な生産体制は実現可能です。今後、国内外の需要増加の波に適応しつつ、気候変動への対応や地域独自の強みに基づくブランド戦略が鍵となるでしょう。