Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月の最新データによると、フランスのカリフラワー・ブロッコリー生産量は、1961年には429,800トンであったものの、長期的な減少傾向が続いています。特に、2023年の生産量は208,660トンで、1960年代のピーク時と比較すると半分以下の水準となっています。1980年代から1990年代には年間約50万トンを超える生産量がみられた時期もありましたが、その後、顕著に減少しています。
フランスのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 208,660 |
-1.29% ↓
|
2022年 | 211,390 |
-20.65% ↓
|
2021年 | 266,410 |
4.98% ↑
|
2020年 | 253,770 |
-1.55% ↓
|
2019年 | 257,770 |
-10.29% ↓
|
2018年 | 287,330 |
-2.17% ↓
|
2017年 | 293,704 |
-6.06% ↓
|
2016年 | 312,634 |
0.97% ↑
|
2015年 | 309,633 |
-5.12% ↓
|
2014年 | 326,355 |
-9.65% ↓
|
2013年 | 361,202 |
0.89% ↑
|
2012年 | 358,021 |
-7.15% ↓
|
2011年 | 385,582 |
2.12% ↑
|
2010年 | 377,572 |
-11.05% ↓
|
2009年 | 424,456 |
1.61% ↑
|
2008年 | 417,740 |
-2% ↓
|
2007年 | 426,265 |
6.09% ↑
|
2006年 | 401,803 |
7.01% ↑
|
2005年 | 375,496 |
-16.06% ↓
|
2004年 | 447,344 |
-2.48% ↓
|
2003年 | 458,705 |
5.79% ↑
|
2002年 | 433,582 |
-4.5% ↓
|
2001年 | 454,007 |
9.51% ↑
|
2000年 | 414,585 |
-3.31% ↓
|
1999年 | 428,784 |
-3.07% ↓
|
1998年 | 442,369 |
-12.52% ↓
|
1997年 | 505,656 |
0.95% ↑
|
1996年 | 500,883 |
-6.26% ↓
|
1995年 | 534,339 |
0.47% ↑
|
1994年 | 531,844 |
-5.51% ↓
|
1993年 | 562,860 |
12.25% ↑
|
1992年 | 501,423 |
-11.75% ↓
|
1991年 | 568,154 |
27.95% ↑
|
1990年 | 444,060 |
-24.12% ↓
|
1989年 | 585,200 |
3.02% ↑
|
1988年 | 568,034 |
21.95% ↑
|
1987年 | 465,800 |
20.92% ↑
|
1986年 | 385,200 |
-26.77% ↓
|
1985年 | 526,000 |
41.32% ↑
|
1984年 | 372,200 |
-31.49% ↓
|
1983年 | 543,300 |
7.35% ↑
|
1982年 | 506,100 |
1.97% ↑
|
1981年 | 496,300 |
5.23% ↑
|
1980年 | 471,633 |
14.75% ↑
|
1979年 | 411,000 |
-18.13% ↓
|
1978年 | 502,000 |
33.53% ↑
|
1977年 | 375,959 |
-20.11% ↓
|
1976年 | 470,614 |
8.57% ↑
|
1975年 | 433,467 |
-9.69% ↓
|
1974年 | 479,990 |
12.19% ↑
|
1973年 | 427,830 |
-0.04% ↓
|
1972年 | 428,010 |
1.3% ↑
|
1971年 | 422,510 |
4.57% ↑
|
1970年 | 404,060 |
5.6% ↑
|
1969年 | 382,640 |
5.94% ↑
|
1968年 | 361,170 |
-7.84% ↓
|
1967年 | 391,900 |
23.6% ↑
|
1966年 | 317,070 |
31.09% ↑
|
1965年 | 241,870 |
-13.34% ↓
|
1964年 | 279,100 |
0.62% ↑
|
1963年 | 277,380 |
-24.22% ↓
|
1962年 | 366,050 |
-14.83% ↓
|
1961年 | 429,800 | - |
フランスのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移データを見ると、1961年から2023年の62年間で全体的な減少傾向が明瞭に確認できます。1961年の生産量は429,800トンでしたが、特に2020年以降の年平均減少率は急激に上昇し、2023年には208,660トンに留まっています。この変化には、生産環境、気候変動、農業政策の変化、輸出入の動向といった多くの要素が影響しています。
1960年代から1970年代にかけて、フランスのカリフラワー・ブロッコリー生産量は大きな変動を伴いながらもおおむね安定していました。当時は農業技術の発展や市場の需要に支えられ、生産量は年間約40万トン台を維持していました。その後、1980年代から1990年代にピーク時の生産量となっており、1989年には初めて年間58万5,200トンを記録しました。この時期は特に輸出市場も含めた需要の増加と、品種改良による生産効率の向上が寄与したと考えられます。
一方で、2000年代以降は減少が顕著となり、特に2015年以降の減少ペースは急速です。この背景には、多様な要因が絡んでいます。まず、気候変動による影響があります。フランスでは近年、気温上昇と降水量の変化、さらには極端な気象現象の増加が農業生産に影響を与えています。カリフラワーやブロッコリーは比較的冷涼で安定した気候を好む作物であり、気象条件が適さない場合、生育に悪影響を及ぼすことがあります。
また、農業従事者の高齢化や農地の縮小も課題とされています。若い世代が農業分野に参入する機会が限られており、都市化による農地の減少も生産量の低下につながっています。さらに、グローバル化の進展に伴い、スペインやイタリアなど競争力の高い隣国からの輸入品に押され、国内生産が圧迫されています。
加えて、新型コロナウイルスのパンデミックやロシア・ウクライナ戦争などの地政学的リスクが物流や経済に与える影響も、近年の農業生産量の減少に影響を及ぼした可能性があります。物流の混乱や肥料価格の高騰、エネルギーコストの上昇が生産コストを引き上げたため、生産活動が制約されたと考えられます。
今後の課題として、持続可能な農業の実現が求められます。具体的には、農業気候適応戦略を進めること、農業技術のさらなる革新、若年層農業従事者の育成政策の強化が重要です。また、EU内での農産物市場の安定化を図り、輸入品との競争に対応するための支援策を充実させるべきです。例えば、オランダが行っているような先進的な温室栽培技術の導入は、フランス農業にとっても参考となるでしょう。
結論として、フランスのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移からは、気候や経済環境の変化による課題への先進的な対応策が必要であることが示唆されています。食品安全保障と輸出競争力維持を両立させるためには、国際的な協力の強化や政策支援のさらなる拡充が欠かせません。これらの取り組みを通じて、フランスが農業分野での持続的な発展を実現することが期待されます。