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フランスのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、フランスのアーモンド生産量は1960年代から現在に至るまで大きな変動を示しています。1960年代には比較的低い水準で推移し、その後波のある増減を繰り返しながら最大で年間4,968トン(1991年)、最低で635トン(2011年)を記録しました。2010年以降、生産量は全体的に減少傾向にあるものの、近年の2020年以降は再び好転し、2022年には2,520トンを記録、2023年も2,130トンを維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,130
-15.48% ↓
2022年 2,520
29.9% ↑
2021年 1,940
-5.83% ↓
2020年 2,060
82.3% ↑
2019年 1,130 -
2018年 1,130
4.82% ↑
2017年 1,078
-5.36% ↓
2016年 1,139
46.03% ↑
2015年 780
-26.9% ↓
2014年 1,067
69.37% ↑
2013年 630
-36.26% ↓
2012年 988
55.58% ↑
2011年 635
-10.95% ↓
2010年 713
-35.13% ↓
2009年 1,100
5.54% ↑
2008年 1,042
-34.51% ↓
2007年 1,591
-10.62% ↓
2006年 1,780
-11.88% ↓
2005年 2,020
-10.52% ↓
2004年 2,257
18.29% ↑
2003年 1,908
-14.17% ↓
2002年 2,224
37.81% ↑
2001年 1,614
-20.32% ↓
2000年 2,025
9.15% ↑
1999年 1,855
12.46% ↑
1998年 1,650
-37.95% ↓
1997年 2,659
27.26% ↑
1996年 2,089
-5.82% ↓
1995年 2,218
-43.84% ↓
1994年 3,950
42.13% ↑
1993年 2,779
-39.98% ↓
1992年 4,631
-6.78% ↓
1991年 4,968
18.28% ↑
1990年 4,200
17.94% ↑
1989年 3,561
27.18% ↑
1988年 2,800
-37.78% ↓
1987年 4,500
4.9% ↑
1986年 4,290
7.25% ↑
1985年 4,000
33.33% ↑
1984年 3,000
-31.82% ↓
1983年 4,400
29.41% ↑
1982年 3,400
-2.86% ↓
1981年 3,500
-5.41% ↓
1980年 3,700
3.35% ↑
1979年 3,580
-7.73% ↓
1978年 3,880
203.13% ↑
1977年 1,280
-65.64% ↓
1976年 3,725
8.95% ↑
1975年 3,419
-19.74% ↓
1974年 4,260
6.5% ↑
1973年 4,000
2.83% ↑
1972年 3,890
76.02% ↑
1971年 2,210
-15.97% ↓
1970年 2,630
-0.27% ↓
1969年 2,637
31.19% ↑
1968年 2,010
29.01% ↑
1967年 1,558
16.27% ↑
1966年 1,340
-31.98% ↓
1965年 1,970
-1.01% ↓
1964年 1,990
-45.03% ↓
1963年 3,620
105.68% ↑
1962年 1,760
-52.17% ↓
1961年 3,680 -

フランスのアーモンド生産推移を分析すると、以下の特徴と背景が浮き彫りになります。まず、1961年から2023年にかけてのデータは、生産量が著しく変動していることを示しています。一方で、その変動を通じて全体としては減少傾向を描いており、この点には生産技術、政策、気候、国際競争力の変化が関係していると考えられます。

1991年の4,968トンというピーク時期は、技術革新や農業支援政策が寄与していた可能性があります。この時期は、EU内での農業補助金政策が活発で、フランスがその恩恵を受けていたと考えられます。しかし1990年代半ば以降、生産量は大きく落ち込み、その後の20年間は年間生産量が2,000トンを下回る年が増えました。この背景には競争力の低下が挙げられ、特に世界最大の生産国であるアメリカ、カリフォルニア州が集中的にアーモンドの生産を拡大し、価格競争力で優位に立ったことが影響していると考えられます。

地政学的な観点では、フランスのアーモンド生産は国際市場において限られた役割を果たしてきました。しかし、気候変動の影響が顕著な今日、ヨーロッパ全体で高温や干ばつによるアーモンド生産効率の低下が懸念され、これらがフランス国内でも課題となっています。2010年以降に記録された最低水準(2011年の635トン)は、気象条件の悪化を背景とする可能性が高く、同時期に地中海性気候を持つ地域全般で農業生産に悪影響を与えました。

2020年以降の持ち直しは注目に値します。特に2022年には2,520トンと比較的大幅な回復を見せましたが、これは政府の農業支援策の再強化や、生産方法の改善が影響している可能性があります。ただし、以前のピーク時期である1991年の水準に戻るにはほど遠く、依然として課題が山積しています。今後、フランスがアーモンド生産をさらに持続的で競争力のあるものにするには、いくつかの具体策が考えられます。

第一に、気候変動に対応する農業技術の導入が急務です。耐干ばつ性の高いアーモンドの品種開発や、灌漑技術の改善がその一例です。第二に、地域間協力を強化し、EU全体での気候関連の対策資金を活用することが重要です。そして第三に、国際市場での競争力を高めるためのブランディングや高付加価値製品の開発に焦点を当てるべきです。

また、アーモンド産業を支える労働力確保にも注目すべきです。フランスでは農村部の過疎化や人口の高齢化が深刻化しており、移民政策や若者の農業従事促進プログラムを通じて、生産現場での持続可能な労働環境を構築する必要があります。

結論として、フランスのアーモンド生産は、過去の依存的な構造を脱却し、気候変動への対応と国際競争力の強化を軸に、新たな方向性を模索する段階にあります。欧州内外の市場動向を注視しながら、政府や民間の協力による長期的な政策と投資が重要です。今後の持続可能な成長モデルの構築が、フランスの農産業全体における包括的な課題解決に寄与することが期待されます。

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