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フランスのキウイフルーツ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、フランスのキウイフルーツの生産量は1977年に76トンと極めて小規模だった一方で、1993年には85,406トンと大幅に増加しました。一方、2000年代後半から減少が目立ち始め、2023年には49,770トンとなり、1990年代以降のピーク時より約40%減少しています。この長期的な生産量の推移を見ると、フランスのキウイフルーツ産業は成長と停滞の周期を繰り返していることが明らかです。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 49,770
5.62% ↑
2022年 47,120
2.37% ↑
2021年 46,030
-9.44% ↓
2020年 50,830
-8.96% ↓
2019年 55,830
4.14% ↑
2018年 53,610
-1.48% ↓
2017年 54,416
-16.9% ↓
2016年 65,482
-2.37% ↓
2015年 67,074
11.1% ↑
2014年 60,375
-3.11% ↓
2013年 62,312
-7.03% ↓
2012年 67,023
-10.44% ↓
2011年 74,838
3.69% ↑
2010年 72,174
-3.94% ↓
2009年 75,130
14.41% ↑
2008年 65,670
7.08% ↑
2007年 61,327
-17.51% ↓
2006年 74,347
-0.92% ↓
2005年 75,037
-0.38% ↓
2004年 75,323
5.6% ↑
2003年 71,331
-4% ↓
2002年 74,302
-3.25% ↓
2001年 76,800
-5.32% ↓
2000年 81,118
1.79% ↑
1999年 79,693
8.74% ↑
1998年 73,291
-3.95% ↓
1997年 76,303
0.33% ↑
1996年 76,056
-2.99% ↓
1995年 78,402
-0.27% ↓
1994年 78,613
-7.95% ↓
1993年 85,406
5.75% ↑
1992年 80,762
35.34% ↑
1991年 59,671
9.73% ↑
1990年 54,380
11.66% ↑
1989年 48,700
26.82% ↑
1988年 38,400
22.29% ↑
1987年 31,400
38.94% ↑
1986年 22,600
64.96% ↑
1985年 13,700
-10.46% ↓
1984年 15,300
64.52% ↑
1983年 9,300
17.72% ↑
1982年 7,900
33.9% ↑
1981年 5,900
55.26% ↑
1980年 3,800
153.33% ↑
1979年 1,500
130.06% ↑
1978年 652
757.89% ↑
1977年 76 -

フランスのキウイフルーツ産業は、1970年代から急速に発展してきました。1977年当時の生産量はわずか76トンでしたが、その後、栽培技術の向上や需要の増大により、1980年代から1990年代初頭まで驚異的な成長を遂げました。特に1993年には85,406トンの生産を記録し、当時の欧州市場で重要な地位を占めるまでになりました。この成長は、地中海性気候を有するフランス南部の適切な栽培環境が大きく貢献したと考えられます。また、EU市場内の需要拡大に伴う輸出の増加も推進力となりました。

しかしながら、2000年代以降は停滞と減少の段階に入りました。特に、2010年代後半から2023年にかけては急激な生産量の低下が顕著です。この背景にはいくつかの要因が考えられます。一つは、気候変動による異常気象や季節の変動であり、これは生産性を大きく左右します。加えて、害虫や病害の発生が近年問題となっており、特にキウイフルーツで発生しやすい細菌感染症(Psa病)は、国内のキウイ産業に大きな悪影響を及ぼしています。さらに、多くの果実産業と同様に、労働力不足や栽培コストの増加といった経済的問題も課題となっています。他国メジャー産地との競争、特にイタリアやニュージーランドからの輸入圧力も影響を与えており、これによりフランス産キウイフルーツの国際競争力が低下しています。

一方で、国内外の消費者は依然としてキウイフルーツを求めており、特に健康志向の高まりによってその需要は続いています。この需要に対応するためには持続可能な農業方法を採用していくことが不可欠です。具体的な対策としては、まず農産業の災害対策や害虫対策を強化し、気候変動への適応力を高めることが重要です。たとえば、新しい耐病性品種の開発および導入を推進することで、生産量の安定化を図ることが期待されます。また、地域全体の生産性を確保するため、相互扶助的な農業協同組合の強化も効果的です。これにより、小規模生産者が気候変動や市場変化に柔軟に対応できる仕組みを構築できます。

国際的な視点では、他国との協力も重要です。例えばニュージーランドの事例では、Psa病対策として開発された特定品種(特にイエローフレッシュ系)が商業的成功を収めています。フランスもこれらの事例を参考にし、国際的な研究機関や他国の農業産業との連携を深めるべきです。

地政学的リスクに目を向けると、EU内における政策の変更や国際貿易の摩擦が、輸出の安定に影響を与える可能性があります。例えば、気候変動が進む中でEU全体で統一した農業支援政策が展開されれば、資本的な技術支援が期待できます。その一方で、紛争や災害によるサプライチェーンの制約は、新たな脅威として認識する必要があります。このため、フランスは国内での自給率を高めるために、地域生産基盤の整備と効率的な物流戦略を練るべきです。

総じて、生産量の減少は単なる国内問題にとどまらず、欧州および世界市場全体での地位に直結する課題です。フランスは新しい農業政策や技術革新を通じて、未来の生産拡大と市場の安定を目指していく必要があります。現在の趨勢を打開するためには、持続可能な農業体制と国際協力が鍵となるでしょう。

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