国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2021年のフランスにおけるヨーグルトの生産量は450,930トンでした。1960年代から1970年代にかけてはヨーグルト生産量が急増し、その後は起伏を経ながら1980年代に急成長を遂げました。そして近年においても安定した高水準の生産量を維持しています。その一方で、各国の消費動向や生産コストの変化、国際市場への影響が、今後のフランスのヨーグルト産業の課題として注目されています。
フランスのヨーグルト生産量推移(1961年~2021年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2021年 | 450,930 |
-2.99% ↓
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2020年 | 464,850 |
4.11% ↑
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2019年 | 446,490 |
2225.47% ↑
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1987年 | 19,200 |
9.09% ↑
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1986年 | 17,600 |
4.76% ↑
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1985年 | 16,800 |
425% ↑
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1980年 | 3,200 |
33.33% ↑
|
1979年 | 2,400 | - |
1978年 | 2,400 |
-40% ↓
|
1977年 | 4,000 |
-28.57% ↓
|
1976年 | 5,600 | - |
1975年 | 5,600 |
16.67% ↑
|
1974年 | 4,800 |
20% ↑
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1973年 | 4,000 |
25% ↑
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1972年 | 3,200 |
900% ↑
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1971年 | 320 |
-20% ↓
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1970年 | 400 |
-75% ↓
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1969年 | 1,600 |
81.82% ↑
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1968年 | 880 |
-8.33% ↓
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1967年 | 960 |
50% ↑
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1966年 | 640 |
14.29% ↑
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1965年 | 560 |
40% ↑
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1964年 | 400 |
66.67% ↑
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1963年 | 240 | - |
1962年 | 240 | - |
1961年 | 240 | - |
フランスのヨーグルト生産量推移を振り返ると、1960年代は240トンから始まり、1970年代半ばには5,600トン以上に急拡大したことがわかります。この成長は、特にヨーグルトが西欧諸国で健康食品としての地位を確立し、消費者の需要が増加した時期と一致しています。一方で、この期間には、1970年の急激な生産量の落ち込みや、その後も起伏のある推移が見られるなど、産業基盤の未成熟による不安定さもうかがわれます。
注目すべきは1980年代の飛躍的な成長です。1980年に3,200トンだった生産量は1985年には16,800トン、1987年には19,200トンと、大幅に増加しました。この成長は、国内市場における乳製品の需要増加だけでなく、国際市場への輸出拡大が大きく寄与したものと考えられます。また、この時期にはフランス国内で乳製品の品質規制が強化され、高品質志向のヨーグルトが生産されるようになったことも要因といえます。
2019年以降のデータでは、生産量は40万トンを超え、2021年には450,930トンに達しています。このように安定した生産量の維持は、フランスのヨーグルトが国内外で依然として人気を保っていることを示唆しています。ただし、同時にヨーグルト市場に対する競争も激化しており、中国やアメリカなどの新興マーケットでの需要の伸びが、フランス産ヨーグルトの輸出戦略に影響を与えています。
近年、フランスのヨーグルト産業が直面する課題としては、生産コストの上昇、特に乳製品原料価格やエネルギーコストの変動が挙げられます。また、主にEU圏内での規制強化や環境への配慮により、持続可能性が求められる生産体制への移行も課題となっています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に需要が減少したことや、サプライチェーンの混乱も少なからず影響を及ぼしており、生産体制の回復力向上が必要とされています。
今後の対策としては、地元農家との協業を強化して安定した原材料供給を確保しつつ、先進的な製造技術やエネルギー効率の向上を追求することが挙げられます。また、エコロジー志向のパッケージデザインや、消費者の興味を引く健康志向の商品開発なども重要な方向性です。さらに、国際市場における競争力を高めるためには、アジアや南米などの新興市場におけるプロモーション活動や販売チャネルの拡大が欠かせません。
フランスのヨーグルト産業は、国内外の需要に応じて進化してきた歴史を持っていますが、これからの持続可能な成長には、新しい技術革新や市場への適応が必要です。今後、フランスがヨーグルト産業のリーダー的地位を維持し続けるためには、環境配慮型の政策やグローバルな視点を取り入れた戦略が欠かせないでしょう。