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フランスのさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)

フランスのさくらんぼ生産量の推移データを分析すると、1961年をピークに中期的には大きな変動が見られるものの、近年では減少傾向が顕著です。特に2021年の12,490トンという低迷した生産量は過去最低の値を記録しており、1960年代から続いた高生産時代と比較して大幅な減少が確認されています。収量の減少には、気候変動や農業技術、国内外の市場環境の変化が影響している可能性が指摘されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 31,080
-11.17% ↓
2022年 34,990
180.14% ↑
2021年 12,490
-60.77% ↓
2020年 31,840
-0.87% ↓
2019年 32,120
9.36% ↑
2018年 29,370
-27.42% ↓
2017年 40,464
16.66% ↑
2016年 34,685
-16.87% ↓
2015年 41,726
-11.77% ↓
2014年 47,291
32.14% ↑
2013年 35,788
28.57% ↑
2012年 27,836
-38.34% ↓
2011年 45,145
2.37% ↑
2010年 44,099
-17.69% ↓
2009年 53,575
32.76% ↑
2008年 40,356
-11.91% ↓
2007年 45,810
-30.05% ↓
2006年 65,494
4.11% ↑
2005年 62,906
8.04% ↑
2004年 58,225
10.78% ↑
2003年 52,559
-18.76% ↓
2002年 64,697
16.74% ↑
2001年 55,420
-16.69% ↓
2000年 66,520
1.34% ↑
1999年 65,640
109.13% ↑
1998年 31,387
-48.26% ↓
1997年 60,667
-10.07% ↓
1996年 67,457
20.22% ↑
1995年 56,113
-20.65% ↓
1994年 70,718
9.34% ↑
1993年 64,675
-2.8% ↓
1992年 66,541
34.87% ↑
1991年 49,336
-40.14% ↓
1990年 82,422
-18.88% ↓
1989年 101,600
31.27% ↑
1988年 77,400
-23.52% ↓
1987年 101,200
10.24% ↑
1986年 91,800
-8.93% ↓
1985年 100,800
-12.2% ↓
1984年 114,800
16.9% ↑
1983年 98,200
-20.29% ↓
1982年 123,200
25.33% ↑
1981年 98,300
-12.78% ↓
1980年 112,700
-18.33% ↓
1979年 138,000
39.53% ↑
1978年 98,900
67.91% ↑
1977年 58,900
-56.72% ↓
1976年 136,100
52.54% ↑
1975年 89,220
-28.25% ↓
1974年 124,350
10.27% ↑
1973年 112,770
0.12% ↑
1972年 112,630
-7.1% ↓
1971年 121,240
0.41% ↑
1970年 120,750
1.79% ↑
1969年 118,630
-12.22% ↓
1968年 135,140
9.65% ↑
1967年 123,250
13.86% ↑
1966年 108,250
-8.04% ↓
1965年 117,710
2.64% ↑
1964年 114,680
-8.91% ↓
1963年 125,900
26.92% ↑
1962年 99,200
7.24% ↑
1961年 92,500 -

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、フランスのさくらんぼ生産量は近年大きな低迷を見せています。記録が始まった1961年、フランスのさくらんぼ生産量は92,500トンで、1968年には最高の135,140トンに達し、さくらんぼの安定した供給と農業生産の好調さがうかがえます。しかしながら、1980年代以降、特に1990年代後半からは深刻な減少傾向が現れ始め、生産量は年ごとに大きくばらつくようになりました。これには主に気候変動、農業経営の変化、害虫や疫病の流行、競争の激化など、複数の要因が影響していると考えられます。

ここ数年のデータを詳細に見ると、フランスのさくらんぼ生産量は直近の2023年に31,080トンという数値を記録していますが、依然として長期的な平均値には届いていません。2021年に記録した12,490トンという極端に低い生産量は特筆すべき異常で、この年、フランスをはじめとするヨーロッパの広範な地域で発生した霜害が大きな要因であったとされています。また、このような極端な気象事象の増加は、気候変動によるものと推測され、その頻度と影響が今後さらに深刻化する可能性があります。

さらに、地域ごとに異なる生産状況や経済条件も影響しています。フランスでは、農家の高齢化や農業従事者の減少が顕著な課題となっており、新しい技術や品種改良への投資が十分でない農業経営も多いと言われています。これに対して、日本やアメリカでは気候や市場ニーズに適応した品種改良や設備投資が行われており、比較するとフランスの競争力がやや遅れを取っていることも一因です。

また、地政学的な背景として、国際市場での競争や関税政策の影響も無視できません。特に中国やトルコといった新興生産国は、安価で大量生産可能な体制を強化しており、フランス産さくらんぼが価格競争で苦戦する状況に置かれています。国内消費においても、輸入品が占める割合が増加しているため、フランスの生産者にとってさらなる負担となっています。

この現状を踏まえ、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、気候変動に適応した品種改良や農業技術の導入が急務です。例えば、高温や霜害にも強い新品種を開発することが求められます。また、農業従事者に対する支援策として、若い世代の農業参入を促進するための補助金拡充や教育プログラムの強化も重要です。さらに、国内市場のシェア拡大を図るため、生産効率の向上と高付加価値商品の開発に取り組むことが必要です。

結論として、フランスのさくらんぼ生産は長期的に減少傾向にあるものの、適切な対策を講じることで生産の再活性化が可能です。今後も環境変化や市場動向に迅速に対応し、地域間の協力を進めることで、フランス農業の持続可能性を高めていく必要があります。また、国際的な協力体制の一環として、FAOやEU内での気候適応政策や農業研究の共有を通じてこの課題に立ち向かうべきです。