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フランスのテンサイ(甜菜)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、フランスのテンサイ(甜菜)生産量は1961年から2023年まで変動を見せながらも、全体として増加傾向をたどっています。特に1980年代以降、生産量は飛躍的に増え、ピークは2017年の46,300,141トンに達しました。しかし、2020年以降はCOVID-19の影響や気候変動の影響を受け、生産がやや減少している状況です。2023年の生産量は30,580,680トンで、近年の平均水準に戻りつつあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 30,580,680
-2.91% ↓
2022年 31,496,750
-8.35% ↓
2021年 34,365,390
31.35% ↑
2020年 26,163,360
-31.19% ↓
2019年 38,024,390
-4.73% ↓
2018年 39,914,030
-13.79% ↓
2017年 46,300,141
33.92% ↑
2016年 34,573,877
3.18% ↑
2015年 33,507,670
-11.46% ↓
2014年 37,844,567
12.53% ↑
2013年 33,630,536
1.67% ↑
2012年 33,077,399
-12.83% ↓
2011年 37,944,864
19.04% ↑
2010年 31,874,920
-9.34% ↓
2009年 35,160,333
15.96% ↑
2008年 30,321,172
-8.75% ↓
2007年 33,229,782
11.24% ↑
2006年 29,871,449
-4.1% ↓
2005年 31,149,552
1.17% ↑
2004年 30,788,266
4.97% ↑
2003年 29,329,541
-12.35% ↓
2002年 33,463,755
24.65% ↑
2001年 26,847,121
-13.73% ↓
2000年 31,120,959
-4.17% ↓
1999年 32,473,614
5.47% ↑
1998年 30,789,880
-9.46% ↓
1997年 34,005,439
9.97% ↑
1996年 30,921,147
1.91% ↑
1995年 30,342,117
5% ↑
1994年 28,898,195
-8.61% ↓
1993年 31,619,824
0.27% ↑
1992年 31,534,288
7.22% ↑
1991年 29,409,896
-7.36% ↓
1990年 31,746,304
12.12% ↑
1989年 28,314,000
-0.96% ↓
1988年 28,588,080
8% ↑
1987年 26,471,008
2.48% ↑
1986年 25,830,000
-13.83% ↓
1985年 29,977,008
4.26% ↑
1984年 28,752,000
9.24% ↑
1983年 26,319,008
-18.6% ↓
1982年 32,331,008
-11.25% ↓
1981年 36,429,008
28.08% ↑
1980年 28,442,000
9.14% ↑
1979年 26,059,696
6.42% ↑
1978年 24,487,648
-9.75% ↓
1977年 27,132,688
18.65% ↑
1976年 22,868,784
-3.33% ↓
1975年 23,655,632
9.74% ↑
1974年 21,556,176
-4.99% ↓
1973年 22,688,576
17.71% ↑
1972年 19,275,648
-3.47% ↓
1971年 19,967,904
13.85% ↑
1970年 17,539,488
-2.01% ↓
1969年 17,900,144
1.96% ↑
1968年 17,556,848
37.5% ↑
1967年 12,768,740
-0.94% ↓
1966年 12,889,340
-24.01% ↓
1965年 16,960,944
4.43% ↑
1964年 16,241,370
16.41% ↑
1963年 13,951,370
20.64% ↑
1962年 11,564,700
-12.63% ↓
1961年 13,235,800 -

フランスは、ヨーロッパ最大規模のテンサイ生産国として知られ、この産業は主に砂糖生産や飼料としての利用を目的に支えられてきました。テンサイはフランスの農業の中で重要な作物であり、その生産量の推移を見ていくと、時代ごとの農業技術の進展や市場環境に応じて変化していることがわかります。

1961年から1980年代にかけては生産量が数百万トンから30百万トン前後まで増加しています。この背景には、農業機械の普及や品質の高いテンサイ種の導入といった農業技術の向上が大きな役割を果たしました。また、EU(ヨーロッパ連合)の共通農業政策(CAP)が進展したことも、農業支援の基盤として収穫量の安定化に寄与しています。

1981年以降、フランスのテンサイ生産量は再び急上昇し、1980年代中期には年平均30百万トンを超えるようになりました。この時期の成長要因として、施設投資の増加に加え、地域を超えた需要拡大が挙げられます。さらに、1990年代においても安定した生産量を維持しており、これがフランスのテンサイ産業の基盤を形成しました。

注意を引くのが2017年の46,300,141トンという記録的な生産量です。この急増の理由は、特に気象条件の好転や農地拡大、それに加え輸出需要の高まりといった市場要因が重なったことにあります。しかし、その後、2020年にかけて生産量は急激に減少し、26,163,360トンに落ち込みました。この背景には主に新型コロナウイルス感染症がもたらした物流の混乱、また異常気象の頻発と作物病害虫の増加が影響を与えています。

この減少傾向は、その後の回復努力によって2021年以降、再び30百万トン台に戻りつつあります。この回復の一因として、フランスの農業部門が迅速に適応策を講じたことが挙げられます。具体的には、病害虫対策を強化するための農薬規制の見直しや、災害時の補償制度をいち早く整備した点が挙げられます。

課題として、フランスを含むヨーロッパ全体が直面している気候変動の影響が挙げられます。特に干ばつや洪水といった気象リスクの増加がテンサイの生産量に及ぼす影響は無視できません。また、産業における輸出依存度が徐々に高まりつつある中、国際市場での競争の激化や貿易摩擦なども障壁となる可能性があります。さらに、持続可能な農業を求める世界的な趨勢に応じる必要性も重要なテーマの一つです。

解決策として、フランスは耕作地の効率化を図り、精密農業(ドローンやセンサー技術の導入による作物管理)を拡大する努力を進めるべきです。また、EU諸国との連携をさらに深め、協同で気候変動へ対応する枠組みを再構築することが急務です。さらに、国内の農業教育や技術支援を強化し、次世代の農業従事者を育成することで、持続的で競争力のある産業を維持できます。

結論として、フランスのテンサイ生産量は長年にわたり増加基調にありましたが、気候変動や疫病のリスクなどが克服すべき課題であり、これに対して新技術の活用や国際協力の深化が鍵となります。これらの対策が効果的に実施されれば、フランスのテンサイ産業はさらなる成長と安定性を実現できるでしょう。