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キプロスのメロン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年7月更新)によると、キプロスのメロン生産量は1960年代の約6,000~8,000トンを基準に始まり、その後は増減を繰り返しながらも1980年代から2000年代にかけて生産量が一定の上昇傾向を見せました。特に2010年台の最盛期には約11,200トンに達しましたが、2018年以降の生産量は減少傾向にあり、2023年には5,500トンにまで落ち込んでいます。この長期的なデータ分析から、地政学的や環境要因、経済的な困難が強く影響していることが示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,500
-34.29% ↓
2022年 8,370
28.77% ↑
2021年 6,500
-11.68% ↓
2020年 7,360
-7.88% ↓
2019年 7,990
-10.73% ↓
2018年 8,950
-13.07% ↓
2017年 10,296
-4.58% ↓
2016年 10,790
-9.99% ↓
2015年 11,988
19.71% ↑
2014年 10,014
-9.28% ↓
2013年 11,038
0.48% ↑
2012年 10,985
-1.74% ↓
2011年 11,180
-0.18% ↓
2010年 11,200
8.05% ↑
2009年 10,366
8.24% ↑
2008年 9,577
-4.9% ↓
2007年 10,070
-1.09% ↓
2006年 10,181
0.4% ↑
2005年 10,140
7.7% ↑
2004年 9,415
-12.01% ↓
2003年 10,700
0.94% ↑
2002年 10,600
4.95% ↑
2001年 10,100
9.78% ↑
2000年 9,200
-11.54% ↓
1999年 10,400
-0.95% ↓
1998年 10,500
16.67% ↑
1997年 9,000
-5.26% ↓
1996年 9,500
5.56% ↑
1995年 9,000
5.88% ↑
1994年 8,500
-6.59% ↓
1993年 9,100
2.25% ↑
1992年 8,900
-1.11% ↓
1991年 9,000
5.88% ↑
1990年 8,500
10.39% ↑
1989年 7,700
2.67% ↑
1988年 7,500
10.29% ↑
1987年 6,800
4.62% ↑
1986年 6,500
-12.16% ↓
1985年 7,400
18.4% ↑
1984年 6,250
22.55% ↑
1983年 5,100
4.57% ↑
1982年 4,877
-4% ↓
1981年 5,080
4.16% ↑
1980年 4,877
6.67% ↑
1979年 4,572
-15.1% ↓
1978年 5,385
10.42% ↑
1977年 4,877
26.31% ↑
1976年 3,861
-15.55% ↓
1975年 4,572
12.5% ↑
1974年 4,064
-33.33% ↓
1973年 6,096
-11.75% ↓
1972年 6,908
-9.34% ↓
1971年 7,620
15.38% ↑
1970年 6,604
-7.14% ↓
1969年 7,112 -
1968年 7,112 -
1967年 7,112
7.69% ↑
1966年 6,604
-7.14% ↓
1965年 7,112 -
1964年 7,112
-15.15% ↓
1963年 8,382
3.13% ↑
1962年 8,128
23.08% ↑
1961年 6,604 -

キプロスのメロン生産量推移は、この国の農業の変遷や外的要因を反映する重要な指標といえます。1960年代に6,000~8,000トン程度だった生産量は、農業技術の発展や経済成長の恩恵を受け、1980年代から徐々に上昇に転じました。特に2000年代には10,000トンを超える時期が続き、2010年には最高値の11,200トンを記録しています。この間、キプロス国内の農業政策の支援や、増加する観光産業による需要増加が背景として考えられます。

しかし、2018年以降、生産量は急激に低下しています。8,950トンを記録した2018年以降は、2019年に7,990トン、2020年にはさらに7,360トンまで下がり、2023年には過去最低値の5,500トンに落ち込みました。この急激な減少の要因として、複数の要因が考えられます。一つには気候変動に伴う高温や干ばつ、灌漑水不足が挙げられます。地中海性気候に属するキプロスでは、特に農業において雨量に頼ることが難しく、水資源への依存度が高いです。そのため、近年の水不足や熱波の頻発が、生産量の減少を引き起こしているとみられます。

さらに、地政学的なリスクも影響を与えています。キプロスは長期間に及ぶ南北分断問題を抱えており、政治的不安定さや国際的な経済制裁が農業セクターに負担をかけています。また、2020年以降のコロナ禍により労働力不足や輸送の停滞、新たな農業資材の供給困難が生じ、これもメロン生産の効率低下につながった可能性があります。

キプロスのメロン産業が直面する課題に対して、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動への柔軟な適応を進めることが急務です。灌漑システムの近代化や水資源管理の向上、耐干ばつ性の高い品種の開発が不可欠です。また、地域間協力を促進し、EU加盟国の技術援助プログラムを活用することで、資金やノウハウの不足を補う戦略も有効でしょう。さらに、若年労働者が農業分野に携わるためのインセンティブを提供し、高齢化する農業労働力の問題を解決することも重要です。

今後、これらの対策が適切に実施されることにより、キプロスのメロン生産は再び安定した成長軌道に戻る可能性があります。ただし、そのためには国内政策の整備に加え、地政学的リスクへの対応策が国際的な枠組みで確立される必要があります。農業セクターの回復と維持はキプロスの経済基盤を支える重要な鍵となるため、国際社会による包括的な支援も期待されます。その結果として、メロン生産が地元市場だけでなく輸出産業にも寄与し、さらなる発展が見込まれるでしょう。