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キプロスのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、キプロスのオリーブ生産量は、1961年から2022年の間で大きな変動を見せています。初期の1961年では27,940トンという生産量でしたが、その後数年間で極端な減少や増加が繰り返され、特に1973年ではわずか1,524トンと記録的な低値を示しました。近年では2019年に25,520トンを記録し、これは過去20年間での最も高い水準となっていますが、その後はやや安定的で、2022年には21,140トンとなっています。全体的に見て、気候変動や地域社会の変化が生産量に影響している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 21,930
3.74% ↑
2022年 21,140
15.9% ↑
2021年 18,240
-17.13% ↓
2020年 22,010
-13.75% ↓
2019年 25,520
27.41% ↑
2018年 20,030
2.74% ↑
2017年 19,495
93.77% ↑
2016年 10,061
-25.01% ↓
2015年 13,416
-22.3% ↓
2014年 17,266
35.65% ↑
2013年 12,728
0.7% ↑
2012年 12,640
18.69% ↑
2011年 10,650
-28.39% ↓
2010年 14,873
11.58% ↑
2009年 13,329
-14.41% ↓
2008年 15,573
13.63% ↑
2007年 13,705
-41.43% ↓
2006年 23,400
42.55% ↑
2005年 16,415
-27.47% ↓
2004年 22,633
27.4% ↑
2003年 17,765
-35.4% ↓
2002年 27,500
57.14% ↑
2001年 17,500
-16.67% ↓
2000年 21,000
50% ↑
1999年 14,000
30.84% ↑
1998年 10,700
18.89% ↑
1997年 9,000
-28% ↓
1996年 12,500
-7.41% ↓
1995年 13,500
12.5% ↑
1994年 12,000
4.35% ↑
1993年 11,500
-39.47% ↓
1992年 19,000
171.43% ↑
1991年 7,000
-33.33% ↓
1990年 10,500
16.67% ↑
1989年 9,000
-50% ↓
1988年 18,000
125% ↑
1987年 8,000
-33.33% ↓
1986年 12,000
4.35% ↑
1985年 11,500
-4.17% ↓
1984年 12,000
300% ↑
1983年 3,000
-77.29% ↓
1982年 13,208
23.81% ↑
1981年 10,668
-30% ↓
1980年 15,240
42.86% ↑
1979年 10,668
2.94% ↑
1978年 10,363
20% ↑
1977年 8,636
-15% ↓
1976年 10,160
-23.08% ↓
1975年 13,208
62.5% ↑
1974年 8,128
433.33% ↑
1973年 1,524
-92.5% ↓
1972年 20,320
33.33% ↑
1971年 15,240
100% ↑
1970年 7,620
-60.53% ↓
1969年 19,304
26.67% ↑
1968年 15,240
-50% ↓
1967年 30,480
76.47% ↑
1966年 17,272
-27.04% ↓
1965年 23,673
258.46% ↑
1964年 6,604
-45.83% ↓
1963年 12,192
93.55% ↑
1962年 6,299
-77.46% ↓
1961年 27,940 -

キプロスのオリーブ生産推移を見ると、生産量は年間ごとに大きな変動を示しており、いくつかの要因がこの変動を引き起こしていることが考えられます。まず、キプロスは地中海性気候に属するため、オリーブ栽培に適した環境を持っていますが、この地域では干ばつや異常気象が頻繁に起こっています。オリーブは気候条件に敏感な作物であり、特に乾燥期や異常な降雨パターンは収穫量に直接的な影響を与えます。そのため、一部の年における極端な減少や増加は、自然災害や気候異常と関連している可能性があります。たとえば、1973年の1,524トンという著しい減少は、キプロスの地政学的背景や環境的な要因との関連が疑われます。

また、1974年にはキプロスでの紛争があり、その影響が農業生産にも及んだとみられます。紛争地域で発生する土地の喪失や農業活動の停止は、オリーブ生産量の変動を更に激化させた可能性があります。これに加えて、技術的なインフラの不十分さや投資不足も、中長期的な生産効率の低下を促進したと考えられます。

最近のデータでは、2019年以降に比較的高い生産量が維持されています。ただし、これが長期的に続くかどうかは不透明です。気候変動に伴う極端な天候の増加や、水資源不足などの課題がこの地域に深刻な影響を与える可能性があります。キプロスでは、水の確保を目的としたインフラ整備や、乾燥に強いオリーブの品種への転換が進められていますが、これらの取り組みがどの程度実効性を持つのか引き続き注目が必要です。

キプロスと他国を比較すると、たとえばスペインやイタリアなどの主要なオリーブ生産国が、近代的な農業技術や灌漑システムを活用して生産効率を高めていることがわかります。これに対し、キプロスでは小規模な農家が多いこともあり、これらの技術へのアクセスが遅れている状況です。この遅れが長期的に競争力の低下を招く可能性があります。対策として、国際的な協力による技術支援や、EUなど多国間の環境プロジェクトへの参加が求められるでしょう。

さらに、オリーブ産業を支えるためには、消費者需要とのバランスが重要です。世界的な健康志向の高まりに伴い、オリーブオイルの需要は増加していますが、品質やブランド力が鍵となります。キプロス産オリーブの独自性を訴えることは、国際市場での競争力を高めるために重要な戦略です。

結論として、キプロスのオリーブ生産量は、気候、地域の政治的リスク、技術革新の遅れといった課題に左右されています。今後の政策としては、気候変動への適応策の強化、新しい農業技術の導入、小規模農家への支援強化、国際市場向けのブランド力向上が求められます。これらはオリーブ産業だけでなく、地域経済全体の発展にも寄与するでしょう。