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キプロスのさくらんぼ生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に発表した最新データによると、キプロスのさくらんぼ生産量は、1960年代後半から1970年代初頭にかけてピークを迎え、1970年に2,540トンを記録しました。その後、全般的には減少傾向にあり、1980年代中盤からは年間生産量が1,000トン前後で推移し、2000年代にはさらに減少しました。2021年の最新データでは387トンとなり、少なくとも過去60年間で最も低い水準に近づいています。

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年度 生産量(トン) 増減率
2021年 387
3.2% ↑
2020年 375
6.23% ↑
2019年 353
3.22% ↑
2018年 342
-12.53% ↓
2017年 391
-2.01% ↓
2016年 399
-7.42% ↓
2015年 431
8.84% ↑
2014年 396
-7.26% ↓
2013年 427
-6.56% ↓
2012年 457
9.86% ↑
2011年 416
-6.09% ↓
2010年 443
-3.7% ↓
2009年 460
-8.18% ↓
2008年 501
-13.92% ↓
2007年 582
0.52% ↑
2006年 579
-1.53% ↓
2005年 588
-7.26% ↓
2004年 634
-6.76% ↓
2003年 680
13.33% ↑
2002年 600
-45.45% ↓
2001年 1,100
2.8% ↑
2000年 1,070
-2.73% ↓
1999年 1,100
-35.29% ↓
1998年 1,700
70% ↑
1997年 1,000
-23.08% ↓
1996年 1,300 -
1995年 1,300
-7.14% ↓
1994年 1,400
-22.22% ↓
1993年 1,800
125% ↑
1992年 800
-33.33% ↓
1991年 1,200
33.33% ↑
1990年 900
28.57% ↑
1989年 700
-46.15% ↓
1988年 1,300
62.5% ↑
1987年 800
-33.33% ↓
1986年 1,200
20% ↑
1985年 1,000
-9.09% ↓
1984年 1,100
-31.25% ↓
1983年 1,600
4.99% ↑
1982年 1,524
50% ↑
1981年 1,016
-16.65% ↓
1980年 1,219
-22.6% ↓
1979年 1,575
40.88% ↑
1978年 1,118
-35.26% ↓
1977年 1,727
54.47% ↑
1976年 1,118
-31.2% ↓
1975年 1,625
33.31% ↑
1974年 1,219
-40.01% ↓
1973年 2,032
-11.11% ↓
1972年 2,286
50% ↑
1971年 1,524
-40% ↓
1970年 2,540
150% ↑
1969年 1,016
-44.42% ↓
1968年 1,828
12.49% ↑
1967年 1,625
14.28% ↑
1966年 1,422
337.54% ↑
1965年 325
-54.29% ↓
1964年 711
11.97% ↑
1963年 635
13.8% ↑
1962年 558
-8.37% ↓
1961年 609 -
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キプロスのさくらんぼ生産の歴史を振り返ると、1960年代後半から1970年代序盤にかけて生産量が大きく拡大し、1970年には2,540トンのピークを記録しています。これは恐らく良好な気象条件や農業政策の成功、さらには地域の農業インフラが整備された時期であったことが関係していると考えられます。しかしその後、生産量は減少に転じ、1980年代中頃からは1,000トンをやや下回る年も増え、2000年以降は500トン以下で推移することが定着してきました。この長期的な減少は、地中海地域特有の気候変動や、農業従事者の減少、そして輸出市場での競争激化が要因として挙げられます。

特に、2000年代以降の急激な減少については、環境的要因が大きく寄与している可能性があります。地中海地域では気温上昇や降水量の変動幅拡大が顕著であり、乾燥化傾向が農産物の生産に深刻な影響を及ぼしています。また都市化や土地利用の変化も生産地の縮小につながったと推察されます。さらに、キプロスのさくらんぼ生産は規模が小さく、高度に効率化され大量生産を行う国々(例えばトルコやイランなど)と比較すると、競争力が低下していることも一因です。

特筆すべきは、2020年から2021年にかけて生産量がわずかに増加した点です。2020年には375トン、2021年には387トンとなり、低迷する生産量の中で軽微ながらも上昇が見られました。この回復はおそらく短期的な気象条件の改善やさくらんぼ生産に携わる農家の努力によるものと思われます。しかし、このような小幅な増加が持続可能なものかについては見通しが不透明です。

このデータから見える課題として、第一に、変動する気候の影響への適応が挙げられます。さくらんぼの栽培は、気温や降水量に敏感であるため、栽培地域に適した農業技術の導入や気候に強い品種の開発が必要です。また、灌漑設備の拡充や土壌改良、防風林の整備といったインフラの整備は極めて重要です。

次に、農業人口の高齢化や都市部への人口流出を受け、農業の担い手不足が深刻化しています。この問題に対応するには、新しい世代に農業の魅力を知ってもらうための教育プログラムや、農業の収益性を向上させる政策が求められます。例えば、さくらんぼの付加価値を高め、高級品種やオーガニック食品としてのブランド化を強化することが考えられます。

さらに、輸出市場での競争力を高めるための取り組みも欠かせません。他国、特にトルコやイランのさくらんぼ生産量が増加する中、高品質で差別化された商品を市場に提供し、需要を取り込むことが重要です。国際市場での競争力強化に向けたマーケティング戦略の改善や国際認証の取得を進める必要があります。

地政学的リスクも無視できない要素です。キプロスでは、分断問題やその影響による物資の流通問題が生産性と輸出に影響を与えてきました。この地域的な課題を解決し、南北間での経済協力を進めることが、農産業の安定にもつながると考えられます。

このように、キプロスのさくらんぼ生産量の減少は単なる農産物需要の問題ではなく、気候変動、地政学的要因、農業の持続可能性の課題が複雑に絡み合っています。長期的には気候変動に対応した農業技術の開発や農業政策の見直し、地域間での協力体制の強化が求められます。特に政府および国際機関は、持続可能な農業を目指した資金援助や研究開発への支援を積極的に行うべきです。このような多面的な取り組みによって、キプロスのさくらんぼ生産が再び活気を取り戻す一助となるでしょう。

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