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キプロスのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年の最新データによれば、キプロスのジャガイモ生産量は過去数十年で大きな変動を見せています。1961年には81,280トンであった生産量は、1970年代から1990年代までおおむね高いレベルを維持し1995年には234,000トンとピークに達しました。しかし2000年代以降、生産量は大きく減少し、特に2019年以降は約90,000トン前後で推移しています。このデータは、キプロスの農業政策や気候条件、経済的要因が農作物収穫にどのように影響しているかを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 90,000 -
2022年 90,000
-9.07% ↓
2021年 98,980
7.73% ↑
2020年 91,880
11.91% ↑
2019年 82,100
-22.05% ↓
2018年 105,330
-4.18% ↓
2017年 109,923
-10.49% ↓
2016年 122,803
28.03% ↑
2015年 95,921
-16.59% ↓
2014年 114,997
16.77% ↑
2013年 98,480
19.81% ↑
2012年 82,200
-34.8% ↓
2011年 126,080
53.76% ↑
2010年 82,000
-27.11% ↓
2009年 112,500
-2.17% ↓
2008年 115,000
-26.05% ↓
2007年 155,500
21.96% ↑
2006年 127,500
-16.39% ↓
2005年 152,500
15.84% ↑
2004年 131,650
3.25% ↑
2003年 127,500
-14.14% ↓
2002年 148,500
22.73% ↑
2001年 121,000
3.42% ↑
2000年 117,000
-27.55% ↓
1999年 161,500
16.95% ↑
1998年 138,092
69.44% ↑
1997年 81,500
-64.25% ↓
1996年 228,000
-2.56% ↓
1995年 234,000
73.33% ↑
1994年 135,000
-32.16% ↓
1993年 199,000
1.84% ↑
1992年 195,400
8.77% ↑
1991年 179,650
-3.36% ↓
1990年 185,900
-2.16% ↓
1989年 190,000
15.85% ↑
1988年 164,000
9.33% ↑
1987年 150,000
-12.79% ↓
1986年 172,000
34.38% ↑
1985年 128,000
-30.81% ↓
1984年 185,000
-1.6% ↓
1983年 188,000
9.49% ↑
1982年 171,704
-1.74% ↓
1981年 174,752
-8.51% ↓
1980年 191,008
10.59% ↑
1979年 172,720
17.24% ↑
1978年 147,320
-27.5% ↓
1977年 203,200
11.11% ↑
1976年 182,880
63.64% ↑
1975年 111,760
-26.67% ↓
1974年 152,400
-6.25% ↓
1973年 162,560
-6.98% ↓
1972年 174,752
-1.71% ↓
1971年 177,800
-14.63% ↓
1970年 208,280
28.13% ↑
1969年 162,560
-7.51% ↓
1968年 175,768
1.76% ↑
1967年 172,720
30.77% ↑
1966年 132,080
-4.97% ↓
1965年 138,988
5.23% ↑
1964年 132,080
23.81% ↑
1963年 106,680
-8.7% ↓
1962年 116,840
43.75% ↑
1961年 81,280 -

キプロスのジャガイモ生産量の推移を通して、この国における農業活動や経済環境の変化を考察することができます。データを見ると、1961年の81,280トンから1995年の234,000トンまで生産量は長らく増加傾向にありました。この増加は、農業技術の進歩や農地の活用拡大、輸出の需要向上が影響したと考えられます。特に、1995年のピークは地域的な需要の高まりや輸出競争力の強さによるものと推察されます。

しかし1995年以降、生産量は減少基調に入り、2000年代中頃からは10万トン台を下回ることも増えました。最近のデータでは、2022年の生産量が90,000トンとなり、特に2019年以降は低生産量が定着しつつあります。この下降傾向は、いくつかの内的および外的要因から説明できます。一つに、気候変動による異常気象が挙げられます。キプロスは地中海性気候であり干ばつや水不足の影響を強く受けやすい地理的位置にあります。このため、降水量不足が農作物全般の生産量に多大な影響を及ぼしている可能性があります。加えて、農地の縮小や塩害、土壌の劣化も考慮すべき点です。

また、経済的な要因として、労働力コストの高騰や輸出市場における競争力の低下も生産量の減少に影響していると考えられます。競合国の例として、近隣地域であるエジプトやトルコが国際市場での供給量を伸ばしている点が挙げられます。これらの国々は大規模農業を導入し、比較的低コストでジャガイモを供給できる体制を構築しているため、キプロスの農産物が市場で苦戦を強いられている可能性があります。

さらに、地政学的な背景も無視できません。1974年のキプロス紛争をはじめ、政治的な不安定性が農業や経済政策に間接的な影響を与えてきたと考えられます。例えば、紛争後の土地分配や農業基盤の再構築に課題が残っていること、EU加盟後の貿易政策の変化など、これらが複合的に影響していると考えられます。また、新型コロナウイルスの流行に伴う輸送物流の混乱や供給チェーンの影響も近年の生産減少の一因として挙げられるでしょう。

これらを考慮すると、キプロスのジャガイモ産業の今後にはいくつかの課題と対応策が必要です。一つの提案として、気候変動に対応した農業技術の導入が重要です。例えば、水不足対策としての効率的な灌漑システムの普及や、干ばつ耐性品種の育成が効果的である可能性があります。また、輸出競争力を高めるために、地理的表示(GI)の活用など、キプロス産のジャガイモのブランド価値を高める取り組みも有力な選択肢です。さらに、EUや近隣国との連携を強化し、地域間の協力枠組みを構築することも持続可能な農業の実現に寄与するでしょう。

総じてキプロスのジャガイモ生産量は、気候問題や政治的、経済的な背景と密接に結びついていることが分かります。最近の減少傾向が示す課題を克服するには、国家単位の取り組みにとどまらず、地域的や国際的な協力体制を築き、安定した農業基盤を確立することがカギとなるでしょう。このような対策を実施することで、ジャガイモ生産量の回復や地域農業の発展が期待できます。