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キプロスの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、キプロスの牛乳生産量は1961年の約32,603トンから、2022年には366,230トンまで増加しています。特に近年では、2016年以降急激な拡大傾向が見られ、2020年には347,400トン、2021年には382,700トンと最高値に達しました。ただし、2022年にはやや減少し、366,230トンとなっています。キプロスは小国であるものの、牛乳生産において長期的に成長を遂げ、近年の地域課題や地政学的影響にも耐えながら順調に拡大を続けています。

年度 生産量(トン)
2022年 366,230
2021年 382,700
2020年 347,400
2019年 310,350
2018年 294,650
2017年 279,018
2016年 253,573
2015年 213,553
2014年 208,534
2013年 204,928
2012年 205,584
2011年 210,723
2010年 191,908
2009年 193,511
2008年 194,981
2007年 183,480
2006年 187,800
2005年 193,420
2004年 213,220
2003年 220,340
2002年 200,687
2001年 199,400
2000年 193,800
1999年 178,000
1998年 177,900
1997年 177,800
1996年 180,300
1995年 180,900
1994年 167,100
1993年 157,700
1992年 146,600
1991年 143,700
1990年 141,900
1989年 132,000
1988年 122,500
1987年 118,200
1986年 112,500
1985年 107,400
1984年 100,200
1983年 93,100
1982年 83,870
1981年 76,809
1980年 71,883
1979年 65,989
1978年 61,468
1977年 54,255
1976年 48,971
1975年 43,180
1974年 68,072
1973年 77,470
1972年 81,992
1971年 75,794
1970年 65,024
1969年 61,570
1968年 55,880
1967年 50,800
1966年 48,260
1965年 44,196
1964年 37,592
1963年 36,982
1962年 35,143
1961年 32,603

キプロスにおける牛乳生産量は、1960年代からの初期成長期において毎年一貫した増加を記録しました。例えば、1961年から1971年にかけて生産量は32,603トンから75,794トンへと約2.3倍に増加しています。この時期は農業技術の向上や農地の拡大、家畜管理の近代化が主要な理由と考えられます。しかし、1974年にはトルコとの紛争が発生し、その影響で生産量は前年の77,470トンから68,072トンと大幅に減少しました。この年以降、一旦減少傾向を示しますが、経済や農業基盤の回復とともに1976年以降再び拡大し、1980年代には安定的な成長期に入りました。

1990年代以降はEU加盟前後の政策支援や農業補助金の影響でさらなる生産増加が見られ、1990年から2000年には141,900トンから193,800トンと著しい成長を遂げています。さらに、2003年には過去最高の220,340トンに達しました。しかし、2005年から2010年頃にかけては、世界金融危機の影響や地域的な競争激化などの要因によって一時停滞が見られました。それでも2010年以降になると、特に2016年からは急速な増加傾向を示し、2020年には347,400トンと記録的な生産量を達成しています。

このような増加は大規模酪農場の導入や、飼料や水資源の効率的な利用技術の開発のほか、キプロス特有の地域ブランド乳製品(特にハルーミチーズ)への国内外需要の増加が背景にあると考えられます。しかし、2022年には366,230トンと僅かに減少しました。この原因として、世界的な供給チェーンの混乱、エネルギー価格の高騰、また気候変動による異常気象の影響が挙げられるでしょう。

将来的な課題としては、まず地政学的なリスクの管理が重要です。隣国との関係悪化や政治的な緊張は、物流や生産基盤に影響を及ぼす可能性があり、この点を考慮した農業安定化政策の策定が必要です。また、気候変動への適応も重要であり、特に水不足対策や持続可能な飼料栽培技術の研究が必要です。さらに、キプロスの乳製品が国際的にも競争力を持つためには、生産量の増加に加えて質の向上や付加価値の創出が求められます。

国際的な視点に立つ場合、キプロスの牛乳生産規模は、日本などの主要生産国と比較すると小規模ですが、急速な発展を遂げている点が特徴的です。日本では2021年、国内牛乳生産量が約730万トンだったのに対し、キプロスの規模はまだその一部に過ぎません。しかし、その地理的条件や人口からみれば、効率的な生産基盤を構築している点は評価に値します。他の欧州諸国と比較すると、例えばドイツの2021年時点の3240万トンという規模とは大きな差があるものの、キプロスにおける高付加価値製品の影響力は今後さらに増大すると考えられます。

結論として、キプロスは今後も継続的な生産増加が見込まれる状況にありますが、環境負荷の削減や地域特有のリスクの管理が重要です。例えば、災害時の備蓄政策や近隣国との貿易協定強化、新技術の導入による効率化があげられます。これらの取り組みを進めながら、安定した生産拡大と国際市場でのブランド力強化を同時に追求することが望まれます。国際機関や地域パートナーとの協力も含め、これらの施策が持続可能な成長に寄与するでしょう。