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キプロスのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月更新データによると、キプロスのニンジン・カブ類の生産量は、1960年代から持続的な増減を伴いながら、現代においても変動がみられています。1961年には10,160トンという生産量から始まり、その後大幅な増加を記録しましたが、1970年代以降は減少傾向が続き、1980年代には生産量が安定的な低水準に落ち着きました。現代のデータでは、2018年に2,330トンを記録した後は、2022年に1,610トンまで減少し、2023年には2,200トンに再び回復を見せるなど、依然として生産量の変化が続いている状況にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,200
36.65% ↑
2022年 1,610
-25.12% ↓
2021年 2,150
-4.02% ↓
2020年 2,240
5.16% ↑
2019年 2,130
-8.58% ↓
2018年 2,330
40.45% ↑
2017年 1,659
-8.8% ↓
2016年 1,819
-20.29% ↓
2015年 2,282
12.41% ↑
2014年 2,030
18.64% ↑
2013年 1,711
-7.76% ↓
2012年 1,855
-1.9% ↓
2011年 1,891
-0.94% ↓
2010年 1,909
1.87% ↑
2009年 1,874
-1.32% ↓
2008年 1,899
1.06% ↑
2007年 1,879
4.68% ↑
2006年 1,795
-6.02% ↓
2005年 1,910
3.47% ↑
2004年 1,846
-7.7% ↓
2003年 2,000
8.11% ↑
2002年 1,850
-0.54% ↓
2001年 1,860
-1.59% ↓
2000年 1,890
2.16% ↑
1999年 1,850
-2.63% ↓
1998年 1,900
-5% ↓
1997年 2,000
-4.76% ↓
1996年 2,100
-4.55% ↓
1995年 2,200
10% ↑
1994年 2,000 -
1993年 2,000
-16.67% ↓
1992年 2,400
-4% ↓
1991年 2,500
25% ↑
1990年 2,000
-35.48% ↓
1989年 3,100
-29.55% ↓
1988年 4,400
-12% ↓
1987年 5,000
-20.63% ↓
1986年 6,300
11.5% ↑
1985年 5,650
-8.87% ↓
1984年 6,200
3.33% ↑
1983年 6,000
-37.17% ↓
1982年 9,550
8.04% ↑
1981年 8,839
19.17% ↑
1980年 7,417
-16.09% ↓
1979年 8,839
38.09% ↑
1978年 6,401
-45.69% ↓
1977年 11,786
18.37% ↑
1976年 9,957
206.27% ↑
1975年 3,251
-77.93% ↓
1974年 14,732
20.83% ↑
1973年 12,192
-27.27% ↓
1972年 16,764
10% ↑
1971年 15,240
-14.29% ↓
1970年 17,780
-23.91% ↓
1969年 23,368
48.39% ↑
1968年 15,748
-20.51% ↓
1967年 19,812
2.63% ↑
1966年 19,304
35.71% ↑
1965年 14,224
-17.65% ↓
1964年 17,272
-46.88% ↓
1963年 32,512
60% ↑
1962年 20,320
100% ↑
1961年 10,160 -

キプロスの主要農産物であるニンジン・カブ類の生産量は、1961年以降、国内外の経済変化や地政学的要因、栽培技術の進歩などの影響を受けて、長期的にその推移を見せてきました。特筆すべきは、1962年の急な増産(20,320トン)、さらに1963年の大幅な上昇(32,512トン)ですが、その後の1964年から1965年にかけて急激に14,224トンまで減少し、以降も安定した生産量を維持するのが難しい状況が続いています。その中でも、1975年には過去最低の3,251トンと、その生産環境には著しい変化があったことがうかがえます。地政学的に考慮すべき歴史的出来事、例えばキプロス紛争(1974年)などが生産と流通に大きく影響を与えたと推測されます。

1980年代以降、キプロスは農業生産の効率化を図るなかで、湿気や干ばつなどの環境要因、農地の限界、生産体制の近代化という課題に直面しました。データによると、1990年代には年間生産量が2,000トン前後に止まり、この期間は安定的ながら低水準を維持しています。この時期は、農業以外の経済分野への移行や、観光業など他産業の成長が農地縮小に影響を与えた可能性があります。

2010年代になると、主要な干ばつや気候変動の影響を受けつつも、2014年や2015年に一時的な生産量の増加が見られました。2018年には2,330トンを記録し、近年では生産量の回復傾向が見られましたが、直近の2022年には1,610トンと再び減少しています。これは、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行や、それに伴う農業労働力の不足、物流の制約が影響した可能性があります。また、気候変動による降水量の減少や高温の増加も、生産量の変動に寄与していると考えられます。

こうした背景を踏まえると、キプロスの今後の農業政策には、高効率栽培技術の導入や灌漑システムの近代化、さらには持続可能性を意識した農業改革の推進が求められます。例えば、水資源の効率的な利用を促進するドリップ灌漑技術の普及や、現地に適した新種の品種改良による作物耐性の向上が一案として挙げられます。また、農業従事者の高齢化も懸念される中、若い世代への農業普及活動を通じて労働人口の確保をすることが重要です。

加えて、国際的な視点では、EUの資金援助や技術協力を活用し、経済的利益だけでなく地域の食料安全保障に寄与する生産体制の確立も視野に入れるべきでしょう。特に、地中海地域特有の温暖な気候に対応可能な地域間協力が、将来の課題解決に大きく貢献する可能性があります。

結論として、キプロスのニンジン・カブ類の生産量推移が示すデータからは、気候変動をはじめとする環境要因や農村政策の影響が如実にうかがえます。今後も、適切な投資と技術革新、地域協力のフレームワークを構築しながら、持続可能な農業生産の発展を目指していく必要があります。この取り組みは、地域経済のみならず、地中海全体の農業の未来にとっても重要な意味を持つでしょう。