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キプロスのリンゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、キプロスのリンゴ生産量は1960年代から増加と減少を繰り返しており、1992年に最高値の12,000トンを記録しましたが、その後減少傾向となりました。2010年代中頃以降、リンゴの収穫量は特に急激に減少し、2018年には1,910トンと大きく落ち込みました。2020年代に入ると若干の回復が見られ、2021年には3,010トンに達したものの、2022年には再び2,900トンに低下しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,900 -
2022年 2,900
-3.65% ↓
2021年 3,010
12.73% ↑
2020年 2,670
45.11% ↑
2019年 1,840
-3.66% ↓
2018年 1,910
-49.63% ↓
2017年 3,792
-9.71% ↓
2016年 4,200
-13.93% ↓
2015年 4,880
0.66% ↑
2014年 4,848
-8.75% ↓
2013年 5,313
-22.35% ↓
2012年 6,842
-3.92% ↓
2011年 7,121
2.46% ↑
2010年 6,950
-4.45% ↓
2009年 7,274
11.17% ↑
2008年 6,543
-23.87% ↓
2007年 8,594
-20% ↓
2006年 10,742
-0.36% ↓
2005年 10,781
2.2% ↑
2004年 10,549
11.04% ↑
2003年 9,500
-12.04% ↓
2002年 10,800
16.13% ↑
2001年 9,300
-17.7% ↓
2000年 11,300
-1.74% ↓
1999年 11,500
4.55% ↑
1998年 11,000
15.79% ↑
1997年 9,500
-5% ↓
1996年 10,000
7.53% ↑
1995年 9,300
24% ↑
1994年 7,500
-31.82% ↓
1993年 11,000
-8.33% ↓
1992年 12,000
55.84% ↑
1991年 7,700
-5.52% ↓
1990年 8,150
-0.61% ↓
1989年 8,200
9.33% ↑
1988年 7,500
7.14% ↑
1987年 7,000
7.69% ↑
1986年 6,500
-7.14% ↓
1985年 7,000
-22.22% ↓
1984年 9,000 -
1983年 9,000
4.21% ↑
1982年 8,636
13.33% ↑
1981年 7,620
-16.67% ↓
1980年 9,144
-2.17% ↓
1979年 9,347
22.66% ↑
1978年 7,620
-27.19% ↓
1977年 10,465
-4.63% ↓
1976年 10,973
20% ↑
1975年 9,144
20% ↑
1974年 7,620
-19.35% ↓
1973年 9,448
-5.1% ↓
1972年 9,956
-6.67% ↓
1971年 10,668
41.9% ↑
1970年 7,518
-1.34% ↓
1969年 7,620
-6.25% ↓
1968年 8,128
-20% ↓
1967年 10,160
33.33% ↑
1966年 7,620
17.19% ↑
1965年 6,502
100% ↑
1964年 3,251
70.66% ↑
1963年 1,905
1.38% ↑
1962年 1,879
32.14% ↑
1961年 1,422 -

キプロスのリンゴ生産量の推移を見ると、1961年の1,422トンから始まり、1960年代後半から1970年代前半にかけて大きな成長を遂げました。この拡大は、農業技術の進展や灌漑の導入がその要因として考えられますが、一方で1974年のトルコとギリシャ間の対立によるキプロス紛争以降は、生産性に大きな波が見られるようになりました。特に、その後の地政学的リスクや農業政策の転換が生産量の維持に課題を残しました。

1992年には12,000トンに達するという歴史的な高水準を記録しましたが、その後徐々に下降線をたどっています。2010年代中盤以降はリンゴ生産量が顕著に低下しています。この減少の背景には、気候変動の影響、特に高温化と水資源不足が深刻な要因として挙げられます。キプロスは地中海地域に位置しており、乾燥した環境と限られた水資源による制約が農業全般に影響を及ぼしています。また、都市化の進行による農地減少と、高齢化や農業労働人口の減少も関連しています。さらに近年では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってサプライチェーンが混乱し、肥料や農業資材の入手困難が生じたことで、農業生産の低迷に拍車をかけた可能性があります。

2020年代に入ってからは若干の回復が見られるものの、2021年の3,010トンをピークに再び減少が始まっており、長期的な回復の流れには至っていません。今後のリンゴ生産の再建と安定を目指すためには、具体的かつ持続可能な対策が求められます。たとえば、乾燥に強い品種の導入や、灌漑技術の高度化を進めて限られた水資源を効率的に活用することが重要です。さらに、農業労働力の減少への対策として、若い世代を農業に引き込むための支援や研修制度の導入も有効と考えられます。

地域間協力の観点から、キプロスは同じ地中海気候を共有するイタリアやスペインと協力し、気候変動に適応するための技術や知識の共有を進めるべきです。また、国際機関や欧州連合(EU)からの財政支援を活用することも、生産の安定化に寄与するでしょう。長期的には、リンゴ生産に依存しすぎず、多様な農産物への転換を図り農業収入を多角化させることも選択肢の一つです。

結論として、キプロスのリンゴ生産量は気候変動や農業政策、高齢化による労働力の減少など複数の課題に直面しています。これらの克服に向けて先進的な農業技術の導入や国際的な協力が鍵を握ります。中長期的には、持続可能な農業を目指し、環境への負荷を軽減しつつも生産性を確保するための包括的な方策を講じる必要があります。