Skip to main content

キプロスのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、キプロスのオリーブ油生産量は長期にわたり大きな変動を見せています。1961年時点では4,191トンでしたが、その後の数十年間では1,000トン以下に落ち込む年もありました。直近では2018年に5,600トン、2020年には4,800トンと比較的高い水準を維持しています。このデータは、キプロスが地中海地域においてオリーブ油生産の一角を担っていることを示す一方で、気候的・地政学的な要因に大きく影響を受けることも明らかにしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 5,000
4.17% ↑
2020年 4,800 -
2019年 4,800
-14.29% ↓
2018年 5,600
70.06% ↑
2017年 3,293
49.34% ↑
2016年 2,205
-9.33% ↓
2015年 2,432
-8.23% ↓
2014年 2,650
38.67% ↑
2013年 1,911
0.42% ↑
2012年 1,903
17.47% ↑
2011年 1,620
-32.78% ↓
2010年 2,410
23.91% ↑
2009年 1,945
8.06% ↑
2008年 1,800
20% ↑
2007年 1,500
-25% ↓
2006年 2,000
13.64% ↑
2005年 1,760
-41.33% ↓
2004年 3,000
70.45% ↑
2003年 1,760
-64.8% ↓
2002年 5,000
56.25% ↑
2001年 3,200
-11.11% ↓
2000年 3,600
63.64% ↑
1999年 2,200
41.94% ↑
1998年 1,550
10.71% ↑
1997年 1,400
-26.32% ↓
1996年 1,900
-5% ↓
1995年 2,000
17.65% ↑
1994年 1,700 -
1993年 1,700
-32% ↓
1992年 2,500
239.21% ↑
1991年 737
-53.06% ↓
1990年 1,570
39.93% ↑
1989年 1,122
-67.94% ↓
1988年 3,500
300% ↑
1987年 875
-40.68% ↓
1986年 1,475
-5.08% ↓
1985年 1,554
-12.5% ↓
1984年 1,776
294.67% ↑
1983年 450
-76.19% ↓
1982年 1,890
42.11% ↑
1981年 1,330
-40.09% ↓
1980年 2,220
66.92% ↑
1979年 1,330 -
1978年 1,330
49.44% ↑
1977年 890
-33.08% ↓
1976年 1,330
-33.5% ↓
1975年 2,000
124.72% ↑
1974年 890
338.42% ↑
1973年 203
-93.34% ↓
1972年 3,048
52.25% ↑
1971年 2,002
97.05% ↑
1970年 1,016
-54.54% ↓
1969年 2,235
3.52% ↑
1968年 2,159
-59.91% ↓
1967年 5,385
76.67% ↑
1966年 3,048
-14.29% ↓
1965年 3,556
366.67% ↑
1964年 762
-53.14% ↓
1963年 1,626
113.39% ↑
1962年 762
-81.82% ↓
1961年 4,191 -

キプロスのオリーブ油生産量の推移を見ると、1960年代からのデータにおいて非常に変動が激しいことが特徴的です。このデータには、農業生産に直接影響を与える天候や降水量、地中海地域特有の気候の変化、さらに地域的な紛争や経済状況の影響が反映されています。特に1963年以降の数年間は、大幅な生産量の減少が確認され、これは当時の地政学的緊張が農業サプライチェーンに影響を与えた可能性が示唆されます。また、1970年代も低迷が続き、特に1973年にはわずか203トンという、極めて低い生産量が記録されています。

その後、1990年代以降は一定の生産回復が見られ、2000年代には生産量の増加傾向が顕著となりました。例えば、2002年には5,000トンを記録し、その後も数年間、3,000トン以上の安定した水準が見られるようになりました。直近となる2021年には5,000トンと、持続的な高水準の生産が続いています。これは、技術革新や農業従事者による品質管理の向上、輸出市場の拡大に伴う需要の上昇が寄与した結果だと考えられます。

キプロスは地理的に地中海性気候の影響を受けやすいため、降水量の変化や温度上昇といった気候変動の影響が顕著に生産量に表れています。具体的には、雨不足の年や夏季の高温が続く年ではオリーブの作柄が悪化し、生産量の減少が見られることが多いです。また、2020年から2021年にかけてのデータでは、生産量が再び高水準に達しているものの、世界的な新型コロナウイルスの流行が労働力や物流に影響を及ぼした可能性も考えられます。幸いキプロスの場合、大規模な減少にはつながっていませんが、これも将来的な課題として注目すべき点です。

他国の例を挙げると、地中海地域ではイタリアやスペインが世界的なオリーブ油生産の主要国であり、年間数百万トン級の生産量を誇ります。これに比べると、キプロスの生産量は非常に小規模であるものの、地理的・文化的にオリーブ生産は国内で重要な産業地域を形成しています。特に品質の高さを武器に、輸出市場でのシェア拡大を目指す動きも見られます。

今後の課題として、気候変動に対する適応が挙げられます。持続可能な水管理技術や耐乾性の高いオリーブ品種の導入が進められており、これが生産安定化に寄与する可能性があります。また、小規模農家への資金援助や技術サポートを充実させる政策も検討の余地があります。地政学リスクについても、隣国との協力やEUの農業政策との連携を強め、外的衝撃に強いサプライチェーンを構築する必要があるでしょう。

結論として、キプロスのオリーブ油生産は長期的に見て一定の成長が見られる一方、高い変動性が示すように気候や地政学的なリスクが依然として課題となっています。これを克服するために、政府や農業関係者、そして国際的な支援機関が協働することが重要です。交換可能な知見や農業技術の導入を通じて、キプロスが地中海地域における高品質オリーブ油の地位をより強固なものにするための努力が求められます。