国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2023年のオート麦生産量ランキングによると、首位はロシア連邦で生産量は330万トンに達し、世界のオート麦生産をけん引しています。2位のカナダ(約263.6万トン)と3位のポーランド(約150.3万トン)も主要産出国として目立ちます。一方で、日本は生産量315トンと世界69位に位置し、他の農産物と比べてオート麦の生産量が大幅に低いことがわかります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 3,300,000 |
| 2 |
|
北アメリカ | 2,635,574 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 1,503,440 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 1,019,720 |
| 5 |
|
オセアニア | 959,829 |
| 6 |
|
南アメリカ | 907,046 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 830,000 |
| 8 |
|
北アメリカ | 828,010 |
| 9 |
|
アジア | 600,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 464,140 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 452,000 |
| 12 |
|
南アメリカ | 428,884 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 427,270 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 411,500 |
| 15 |
|
アジア | 410,000 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 350,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 337,340 |
| 18 |
|
南アメリカ | 333,070 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 231,430 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 208,100 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 200,300 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 194,670 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 180,910 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 179,000 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 155,200 |
| 26 |
|
アジア | 149,706 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 118,590 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 80,690 |
| 29 |
|
アフリカ | 76,000 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 69,190 |
| 31 |
|
南アメリカ | 61,785 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 60,580 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 60,380 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 49,695 |
| 35 |
|
アフリカ | 47,931 |
| 36 |
|
アフリカ | 41,000 |
| 37 |
|
アフリカ | 36,290 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 34,490 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 34,423 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 34,110 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 31,020 |
| 42 |
|
オセアニア | 30,259 |
| 43 |
|
南アメリカ | 29,952 |
| 44 |
|
南アメリカ | 21,477 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 20,330 |
| 46 |
|
アジア | 18,801 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 14,620 |
| 48 |
|
アジア | 14,235 |
| 49 |
|
南アメリカ | 12,968 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 12,899 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 11,440 |
| 52 |
|
アジア | 10,893 |
| 53 |
|
アジア | 10,179 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 6,390 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 4,790 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 4,267 |
| 57 |
|
アフリカ | 3,749 |
| 58 |
|
アジア | 3,011 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 2,510 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 2,163 |
| 61 |
|
アジア | 1,700 |
| 62 |
|
アフリカ | 1,645 |
| 63 |
|
アジア | 1,298 |
| 64 |
|
南アメリカ | 870 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 617 |
| 66 |
|
アフリカ | 607 |
| 67 |
|
アジア | 410 |
| 68 |
|
アフリカ | 333 |
| 69 |
|
アジア | 315 |
| 70 |
|
アジア | 260 |
| 71 |
|
アジア | 254 |
| 72 |
|
アジア | 116 |
| 73 |
|
アフリカ | 41 |
| 74 |
|
アジア | 39 |
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2023年の統計データを基に、現在のオート麦生産量の世界的な分布とその背景を見ていきます。オート麦は主に食料や家畜用の飼料として広く利用され、寒冷地での栽培に適しているため、北半球の国々が特に重要な生産地となっています。ロシア連邦は330万トンという圧倒的な生産量で世界のトップに立ち、豊富な農地と寒冷地に適した気候条件がその背景にあります。さらに、カナダやポーランドといった国々も豊かな土地資源と農業技術を活用し、生産を伸ばしています。
他方、オセアニアではオーストラリアがフィンランドに続く5位にランクインしていますが、生産量は約96万トンで、北半球の主要国と比較すると差が見られます。南半球においては、ブラジルが顕著な成績を収め、907,046トンで6位となっています。これは、近年ブラジルが多角的な農業政策を進め、オート麦もその一環として強化しているためです。ただし、この地域は温暖な気候が主流であり、品種改良や技術が今後の成長の鍵といえるでしょう。
一方、東アジアに目を向けると、中国は600,000トンで9位となり、農地面積で優位を持つ国として一定の生産量を維持しています。しかし、日本の生産量はわずか315トンで69位と非常に低い順位に留まっています。これは日本の耕地面積の限界や、米や小麦といった他の作物に対してオート麦の優先順位が低いことが主因と考えられます。また、気候の制約や国内需要の少なさも相まって、生産規模が極めて小さい状況が続いています。
地域別に課題を見ると、気候変動の影響が顕著になりつつある点も挙げられます。欧州ではフィンランドやポーランドなどで安定した生産量が見られるものの、極端な寒暑や異常気象が続くことで、将来的な収穫量の変動が懸念されます。一方、南米地域では、ブラジルの生産拡大は目を見張るものの、熱帯地域でのオート麦栽培には構造的な困難が伴います。アフリカでは生産量が全体的に非常に低く、食料安全保障の観点からもより適応可能な作物選択や技術輸出が重要になっていくでしょう。
今後の課題を挙げると、オート麦栽培における持続可能性の向上、生産効率の強化、世界全体の需要と供給のバランス調整が重要です。各国において、品種改良や気候変動に適応した農業技術の導入が急務であると考えられます。特に日本のような耕地面積の限られる国々では、垂直農業や室内栽培技術の導入がオート麦の安定供給につながる可能性があります。
締めくくりに、地政学的な背景について触れると、世界の主要生産地のいくつかでは、紛争や貿易政策の不安定性が今後の供給に影響を与える可能性があります。特にウクライナやロシア連邦の動向は注視すべき点であり、国際社会による協力と安定化措置が求められます。オート麦は地域密着型の食料安全保障にも寄与する作物であるため、国連や地域ブロックが連携して農業インフラの強化を支援する必要があります。