2024年7月に更新されたFAO(国際連合食糧農業機関)のデータによると、2021年度のオート麦生産量ランキングで1位となったのはロシア連邦で、約377万トンの生産量を記録しました。2位はカナダの約290万トン、3位はオーストラリアの約189万トンという結果でした。日本は310トンで70位にランクインしており、これらから世界のオート麦生産は主に北半球の寒冷地域で行われていることが示されています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 3,775,745 |
| 2 |
|
北アメリカ | 2,898,619 |
| 3 |
|
オセアニア | 1,897,990 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 1,625,100 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 1,194,500 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 1,123,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 1,092,473 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 803,060 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 766,500 |
| 10 |
|
アジア | 600,000 |
| 11 |
|
北アメリカ | 578,220 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 551,200 |
| 13 |
|
南アメリカ | 525,245 |
| 14 |
|
南アメリカ | 506,718 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 479,910 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 467,900 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 331,060 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 327,000 |
| 19 |
|
アジア | 276,000 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 269,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 239,530 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 229,460 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 209,850 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 194,750 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 182,900 |
| 26 |
|
アジア | 182,279 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 170,250 |
| 28 |
|
南アメリカ | 101,069 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 89,440 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 83,940 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 77,500 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 76,690 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 59,520 |
| 34 |
|
アフリカ | 59,010 |
| 35 |
|
アフリカ | 59,000 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 55,954 |
| 37 |
|
アジア | 53,714 |
| 38 |
|
アフリカ | 40,461 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 39,380 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 36,620 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 34,253 |
| 42 |
|
アジア | 33,150 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 33,082 |
| 44 |
|
南アメリカ | 30,749 |
| 45 |
|
オセアニア | 24,805 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 24,260 |
| 47 |
|
南アメリカ | 23,395 |
| 48 |
|
南アメリカ | 22,214 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 16,500 |
| 50 |
|
アジア | 14,381 |
| 51 |
|
アジア | 11,633 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 7,359 |
| 53 |
|
ヨーロッパ | 7,270 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 6,820 |
| 55 |
|
アフリカ | 6,390 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 5,563 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 4,120 |
| 58 |
|
アジア | 4,071 |
| 59 |
|
アフリカ | 3,761 |
| 60 |
|
アジア | 3,200 |
| 61 |
|
アジア | 2,967 |
| 62 |
|
ヨーロッパ | 2,400 |
| 63 |
|
アフリカ | 1,634 |
| 64 |
|
アジア | 1,094 |
| 65 |
|
南アメリカ | 879 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 597 |
| 67 |
|
アフリカ | 578 |
| 68 |
|
アジア | 390 |
| 69 |
|
アフリカ | 332 |
| 70 |
|
アジア | 310 |
| 71 |
|
アジア | 261 |
| 72 |
|
アジア | 140 |
| 73 |
|
アフリカ | 41 |
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2021年度におけるオート麦の生産量ランキングでは、上位10カ国が世界の総生産量の大半を占める状況でした。ロシア連邦は約377万トンで他を大きく引き離し、続くカナダとオーストラリアもそれぞれ約290万トン、189万トンを生産しており、北半球の広大で寒冷な地域がオート麦栽培の主な拠点となっている傾向が見て取れます。これらの地域では、オート麦が寒冷な気候ややせた土地でも適応力を発揮する耐性の高い作物という特性を活かして栽培されています。
欧州諸国もオート麦の生産で重要な役割を果たしています。ポーランド、スペイン、イギリスなどがそれぞれ100万トンを超える生産量を維持するなど、特にヨーロッパ北部および中部での栽培が盛んです。フィンランドやドイツなどがそれに続き、主に家畜の飼料や健康志向の食材として需要が多い地域では、生産・供給の効率化が行われています。
一方で、日本の生産量は310トンで、ランキングでは70位にとどまっています。この数字は自国生産が限定的である日本において、オート麦製品の大半が輸入に依存している現状を反映しています。この背景には、国内農地の不足、耕作に適した気候条件の不一致、そして輸入品との競争力の低さなどが挙げられます。
さらに、アメリカ合衆国における生産量も比較的少なく、578,220トンで10位圏外であることがわかります。これは、大規模な農地がとうもろこしや小麦といった他の主要作物の栽培に優先的に使用されているためです。また、中国に関しても、600,000トンで10位にランクインしましたが、国内の需要に対して自給率が十分ではなく、輸入依存が避けられない状況は他の大型消費国とも共通しています。
こうしたデータと背景を踏まえ、今後の課題として考えられる点はいくつかあります。まず、気候変動はオート麦の主な生産地域である寒冷帯・温帯エリアに大きな影響を及ぼす可能性があり、特に干ばつや極端な降雨が農作物の収穫に与える被害が懸念されています。これに対抗するため、持続可能な農業技術の導入や、気候変動に強いオート麦品種の開発が重要です。さらに、輸送コストの増大や貿易摩擦が生産・消費のバランスに影響を与える可能性もあります。
日本に特化すると、オート麦の自給力向上に向けた取り組みが求められます。たとえば、栽培に適した地域での試験的な生産や、地元産オート麦を使用した商品のブランド化が考えられます。また、農業分野でのデジタル化を進めることによって、収穫効率や管理コストを改善し、競争力を高めることが可能です。
総じて、オート麦生産量では国ごとにさまざまな特徴と課題が見られます。国際社会全体としては、世界的な需要の増加を背景に、主要な生産国間での市場調整や協力の枠組みを強化することが必要です。同時に、紛争や地政学的リスクを回避しながら、持続的な供給体制を築いていくことが求められます。こうした施策を通じて、今後のオート麦供給の安定性と生産の効率化を目指すことが国際的な課題となるでしょう。