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タイのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、タイにおけるマンゴー、マンゴスチン、グアバの総生産量は、1960年代の年間約32万トンから1990年代初頭に100万トンを超え、その後も右肩上がりに増加していました。2006年には初めて200万トンを突破し、2014年には350万トンを記録。しかしそれ以後の数年間は増減を繰り返しており、2018年以降は特に急激な生産量の減少に直面しています。2023年の時点では約162万トンと、2014年のピーク時の半分以下の水準に落ち込んでいます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,618,789
15.72% ↑
2022年 1,398,902
2.14% ↑
2021年 1,369,580
3.7% ↑
2020年 1,320,728
-19.62% ↓
2019年 1,643,058
4.23% ↑
2018年 1,576,419
-48.94% ↓
2017年 3,087,479
-7.31% ↓
2016年 3,331,113 -
2015年 3,331,113
-7.41% ↓
2014年 3,597,589
5.16% ↑
2013年 3,421,213
3.81% ↑
2012年 3,295,586
17.97% ↑
2011年 2,793,640
9.53% ↑
2010年 2,550,595
3.27% ↑
2009年 2,469,814
4.03% ↑
2008年 2,374,165
3.1% ↑
2007年 2,302,686
10.01% ↑
2006年 2,093,223
16.12% ↑
2005年 1,802,665
-8.73% ↓
2004年 1,975,016
1.01% ↑
2003年 1,955,308
10.13% ↑
2002年 1,775,531
7.37% ↑
2001年 1,653,718
1.88% ↑
2000年 1,623,141
11.04% ↑
1999年 1,461,773
34.38% ↑
1998年 1,087,776
-9.23% ↓
1997年 1,198,427
1.48% ↑
1996年 1,180,961
-0.87% ↓
1995年 1,191,381
-0.72% ↓
1994年 1,200,000
20% ↑
1993年 1,000,000
2.04% ↑
1992年 980,000
3.16% ↑
1991年 950,000
5.56% ↑
1990年 900,000
4.65% ↑
1989年 860,000
2.38% ↑
1988年 840,000
2.44% ↑
1987年 820,000
2.5% ↑
1986年 800,000
1.27% ↑
1985年 790,000
5.33% ↑
1984年 750,000
4.17% ↑
1983年 720,000
2.86% ↑
1982年 700,000
2.94% ↑
1981年 680,000
4.62% ↑
1980年 650,000
8.33% ↑
1979年 600,000
3.45% ↑
1978年 580,000
3.57% ↑
1977年 560,000
1.82% ↑
1976年 550,000
1.85% ↑
1975年 540,000
3.85% ↑
1974年 520,000
4% ↑
1973年 500,000
4.17% ↑
1972年 480,000
4.35% ↑
1971年 460,000
2.22% ↑
1970年 450,000
2.27% ↑
1969年 440,000
2.33% ↑
1968年 430,000
2.38% ↑
1967年 420,000
5% ↑
1966年 400,000
5.26% ↑
1965年 380,000
5.56% ↑
1964年 360,000
2.86% ↑
1963年 350,000 -
1962年 350,000
9.38% ↑
1961年 320,000 -

タイは世界有数の果物生産国として知られ、その中でもマンゴー、マンゴスチン、グアバは国内外での需要が特に高い果物です。生産量のデータを振り返ると、1960年代から長期にわたって着実に増加してきました。この成長は、タイの気候条件の適合性や農業技術の革新、輸出市場の拡大などが要因として挙げられます。1990年代にはグローバル市場でのタイ産果物の認知が広まり、生産基盤がさらに強化されました。

2000年代に入ると、生産量は急激に拡大し、2006年には200万トンを超えました。この成長は、同国の農業政策やインフラ整備の成果を反映しており、マンゴーのような需要の高い果物を中心に、タイがいかに農業大国としての地位を固めてきたかを物語っています。しかし、2015年以降、生産の伸び悩みが見られるようになり、2018年以降は150万トン台に大幅に減少する事態が発生しました。

生産量の急減には、多くの要因が絡んでいると考えられます。一つの要因として、気候変動による異常気象が挙げられます。例えば、洪水や干ばつといった自然災害の発生頻度が上昇し、農作物の生産に深刻な影響を与えています。また、土壌の質の劣化や土地の不適切な利用なども長期的な課題です。さらに、害虫の繁殖や病気の流行が一段と問題化しており、具体的には、マンゴーの花の散りやすさや果実の品質低下が報告されています。

近年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックもタイの農業セクターに影響を及ぼしました。社会的制約の中で労働力が不足し、農作物の管理が欠かせない時期に十分な手入れができなかったことが一因とされています。また、輸送の停滞や国際的な貿易の一時的な縮小もタイ果物の供給網を妨げました。

今後、タイが直面する課題は多岐にわたりますが、その中でも気候変動対策と持続可能な農業実践の重要性が際立ちます。まず、灌漑設備の改善や水資源の適切な分配を通じて、極端な気象条件への耐性を向上させる必要があります。また、土壌環境の分析を進め、有機農法や循環型農法の導入を促進することが重要です。さらに、温暖化の影響を受けにくい果樹品種の研究開発に投資することも求められるでしょう。

他の国との比較の観点では、インドや中国などアジア諸国においても果物の生産量が増加しています。これらの国々では、気候変動に強い農業モデルや先進技術を駆使した収穫効率改善の取り組みが進展しています。このような外的競争力の中でタイが国際的地位を維持するためには、地域間協力を強化し、動植物の病害に関する情報共有や共同研究プロジェクトを推進する枠組みを構築することが重要です。

結論として、タイにおけるマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量推移は、長期的には成長の例を示しつつも、近年の減少は対策を求める切迫した状況を反映しています。タイ政府および国際機関は、気候変動や経済的課題に取り組むための具体的な戦略を進化させるべき段階にあります。