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タイのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新のデータによると、タイのココナッツ生産量は歴史的に変動を繰り返してきました。ピーク時の2004年には約2,125,839トンを記録しましたが、その後は減少傾向が続き、2020年には約618,246トンという大幅な落ち込みを見せました。しかし、2023年には約970,337トンまで回復しています。長期的な推移を見ると、近年の生産量は20世紀後半の水準に戻りつつあり、今後の政策や環境要因が生産の鍵を握ることが示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 970,337
42.86% ↑
2022年 679,232
4.2% ↑
2021年 651,866
5.44% ↑
2020年 618,246
-28.64% ↓
2019年 866,416
0.95% ↑
2018年 858,235
12.64% ↑
2017年 761,914
-15.73% ↓
2016年 904,094 -
2015年 904,094
-9.62% ↓
2014年 1,000,320
-0.96% ↓
2013年 1,010,033
-4.41% ↓
2012年 1,056,658
0.13% ↑
2011年 1,055,318
-18.71% ↓
2010年 1,298,147
-6% ↓
2009年 1,380,980
-6.94% ↓
2008年 1,483,927
-13.81% ↓
2007年 1,721,640
-5.16% ↓
2006年 1,815,392
-6.44% ↓
2005年 1,940,326
-8.73% ↓
2004年 2,125,839
0.4% ↑
2003年 2,117,296
3.93% ↑
2002年 2,037,150
5.3% ↑
2001年 1,934,537
7.76% ↑
2000年 1,795,269
30.04% ↑
1999年 1,380,505
0.62% ↑
1998年 1,372,000
-1.01% ↓
1997年 1,386,000
-2.33% ↓
1996年 1,419,000
0.45% ↑
1995年 1,412,600
-1.56% ↓
1994年 1,435,000
-1.85% ↓
1993年 1,462,000
3.61% ↑
1992年 1,411,000
2.32% ↑
1991年 1,379,000
-3.32% ↓
1990年 1,426,300
-0.72% ↓
1989年 1,436,640
4.28% ↑
1988年 1,377,692
5.13% ↑
1987年 1,310,486
2.41% ↑
1986年 1,279,600
4.37% ↑
1985年 1,226,000
8.67% ↑
1984年 1,128,200
2.42% ↑
1983年 1,101,500
2.38% ↑
1982年 1,075,900
21.26% ↑
1981年 887,300
32.22% ↑
1980年 671,100
-14.51% ↓
1979年 785,000
-6.88% ↓
1978年 843,000
-9.1% ↓
1977年 927,400
2.94% ↑
1976年 900,900
6.97% ↑
1975年 842,200
23.13% ↑
1974年 684,000
-1.01% ↓
1973年 691,000
-1.14% ↓
1972年 699,000
-0.99% ↓
1971年 706,000
-0.98% ↓
1970年 713,000
-1.11% ↓
1969年 721,000
-0.55% ↓
1968年 725,000
-9.03% ↓
1967年 797,000
-2.8% ↓
1966年 820,000
-4.16% ↓
1965年 855,600
-6.23% ↓
1964年 912,400
-6.86% ↓
1963年 979,600
-2.6% ↓
1962年 1,005,700
2.73% ↑
1961年 979,000 -

タイのココナッツ生産量は1960年代には約97万トンの水準で始まり、その後数十年間の間に徐々に成長を遂げ、特に1980年代後半から1990年代には年間生産量が100万トンを上回る安定期に入りました。2000年以降、より劇的な増加が見られ、2004年には約2,125,839トンという過去最高記録を達成しました。しかし、それ以降の生産量は大きな下降傾向をたどり、2020年にはわずか618,246トンにまで落ち込みました。2023年には約970,337トンまで回復したものの、依然として全盛期の水準にはほど遠い状況です。

この推移にはいくつかの要因が挙げられます。まず、タイ国内ではココナッツ栽培地の減少が問題視されています。これは、都市化による農地転用だけでなく、より収益性の高い作物やゴムなどに転換が進んだことにも起因します。また、地球温暖化や気候変動の進展により、生産に必要な適正な気象条件が大きく改革されていることも重要です。特に、台風や干ばつなどの異常気象は、生産量の急激な変動を引き起こす要因となっています。さらに、他国の安価なココナッツの輸入が国内市場を圧迫し、一定の競争力を失ったことも挙げられます。

2020年から2023年の期間に見られた急激な回復については、いくつかの要因が考えられます。この時期には、タイ政府がココナッツ産業の復興を目指し、補助金や技術支援を投入したほか、農業生産の効率向上を目的とした灌漑技術の普及や害虫駆除の強化が行われました。また、新型コロナウイルス感染症の影響で人々の健康志向が高まり、ココナッツオイルやココナッツ水などの製品の需要が増加したことも、産業の背景に貢献したと考えられます。

将来的には、ココナッツ生産を維持し、さらに向上させるためにはいくつかの課題を克服する必要があります。まず、効率的な農地利用と持続可能な生産体制を確立することが求められます。これには、農地の最適化や新種のココナッツの開発が不可欠です。特に病害虫に強く成長速度の速い品種を導入することが有効です。また、気候変動に適応するため、精密農業技術を導入し、農家が異常気象に迅速に対応できる体制を整備することも重要です。さらに、ココナッツの国際競争力を高めるために、サプライチェーン全体の効率化や、付加価値の高い製品の開発を進めるべきです。

地政学的な観点から見ると、東南アジア地域の他国、特にインドネシアやフィリピンがタイとの競争を激化させています。特にフィリピンはココナッツ生産が非常に盛んで、国際市場への影響力を持っています。一方で、地元市場や地域内での調整・協力が進められれば、東南アジアのリーダーシップを確保しながらココナッツ産業を成長させることも可能です。

今後は、農業従事者の教育に注力し、持続可能な農業のための技術と知識の普及を確立する必要があります。また、政府や国際機関は、ココナッツ生産における環境負荷を最小限に抑えつつ、地域間協力を強化する政策を立案するべきです。こうした取り組みを進めることで、タイは将来的に再び世界のココナッツ産業で主要な地位を占める可能性があります。

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