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タイのカシューナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、タイのカシューナッツ生産量は1961年から2023年に至るまで長期的に着実な成長を見せたものの、2005年をピーク(60,506トン)に減少に転じ、2023年には24,888トンと安定した低水準に留まっています。この動向から、タイのカシューナッツ生産は過去の高成長期を経て現在は横ばい状態であることが示されました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 24,888
-0.14% ↓
2022年 24,923
0.7% ↑
2021年 24,750
-0.97% ↓
2020年 24,991
-0.14% ↓
2019年 25,026
3.27% ↑
2018年 24,233
-5.76% ↓
2017年 25,715
2.33% ↑
2016年 25,130
13.92% ↑
2015年 22,060
-16.44% ↓
2014年 26,400
-1.97% ↓
2013年 26,930
-4.71% ↓
2012年 28,260
-2.75% ↓
2011年 29,060
-23.24% ↓
2010年 37,857
-0.86% ↓
2009年 38,184
-5.98% ↓
2008年 40,612
-5.66% ↓
2007年 43,048
-7.18% ↓
2006年 46,377
-23.35% ↓
2005年 60,506
43.63% ↑
2004年 42,126
-3.14% ↓
2003年 43,492
23.05% ↑
2002年 35,345
-9.54% ↓
2001年 39,071
-12.77% ↓
2000年 44,789
103.59% ↑
1999年 22,000
4.76% ↑
1998年 21,000
-6.25% ↓
1997年 22,401
12% ↑
1996年 20,000
1.35% ↑
1995年 19,734
9.64% ↑
1994年 18,000
5.31% ↑
1993年 17,093
9.36% ↑
1992年 15,630
4.2% ↑
1991年 15,000
26.58% ↑
1990年 11,850
18.5% ↑
1989年 10,000
-20% ↓
1988年 12,500
-16.67% ↓
1987年 15,000 -
1986年 15,000
57.89% ↑
1985年 9,500
-20.83% ↓
1984年 12,000
60% ↑
1983年 7,500
-11.76% ↓
1982年 8,500
28.79% ↑
1981年 6,600
46.67% ↑
1980年 4,500
28.57% ↑
1979年 3,500
40% ↑
1978年 2,500
25% ↑
1977年 2,000
5.26% ↑
1976年 1,900
5.56% ↑
1975年 1,800
5.88% ↑
1974年 1,700
6.25% ↑
1973年 1,600
6.67% ↑
1972年 1,500
7.14% ↑
1971年 1,400
7.69% ↑
1970年 1,300
8.33% ↑
1969年 1,200
9.09% ↑
1968年 1,100
10% ↑
1967年 1,000
11.11% ↑
1966年 900
12.5% ↑
1965年 800
14.29% ↑
1964年 700
16.67% ↑
1963年 600
20% ↑
1962年 500 -
1961年 500 -

タイのカシューナッツ生産量の推移を見ると、1960年代から1970年代まで生産規模は毎年着実に増加しており、1980年代から1990年代にかけてさらに拡大しました。特に、1980年以降は倍増に近い増加が見られ、経済的な需要拡大や生産技術の改善が要因と考えられます。しかし、2000年代以降にその成長は鈍化し、2005年をピークに生産量が減少し始めました。この減少傾向は以後も続き、2010年代から現在にかけておおむね24,000トンから25,000トン付近で横ばい状態にあります。

このような変化の背景としては、主に土地利用の変化、労働力不足、気候変動による影響が挙げられます。タイでは経済成長に伴い農業以外の産業が発展し、競争力の高い他の作物への転換が一部の農家で進んだ可能性があります。また、気候変動が雨季と乾季のバランスを変え、カシューナッツの生育に適した環境が減少したこともあるでしょう。さらに、カシューナッツの生産には労働集約的な工程が含まれるため、都市化による農村部の人口減少が影響を及ぼしていることが推測されます。

一方で、他国の状況と比較すると、タイの生産量はアジアにおける主要生産国であるインドやベトナムに比べてかなり低い水準にあります。インドやベトナムは生産量だけでなく、加工および輸出能力においても強みを持ち、国際市場での競争力を高めています。このため、タイの生産者は国際市場での競争に直面し、特に価格面での厳しい戦いを経験していると考えられます。

地政学的な背景を考慮すると、南シナ海周辺の地域的な緊張や貿易ルートの変動によって、カシューナッツの輸出市場にも影響が及ぶ可能性があります。また、過去数十年で頻発している自然災害も農業全体のリスクを高めています。

今後の課題として、気候適応型の農業技術の開発や政府による補助金の提供が挙げられます。高品質で耐久性のある品種の導入や、持続可能な農業の実践が重要です。また、地域間や国際的な協力の枠組みを活用して、タイ産カシューナッツのブランド強化や輸出促進を目指す必要があります。さらに、若い世代を農業に呼び戻すための取り組みも不可欠です。たとえば、テクノロジーを活用したスマート農業の展開は、農業の魅力を高める一助となるでしょう。

結論として、タイのカシューナッツ生産は経済的競争力のある産業として成長潜在力を秘めていますが、気候変動、農業人口の減少、国際競争といった複数の課題に直面しています。持続可能な生産体制の構築と国際市場での地位向上のために、目標を共有し、多角的な戦略を早急に実行する必要があります。

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